38.厄介事を回避、でもやりすぎ?
ハッキリ言ってここからの戦闘は、ほとんど一方敵な戦闘であった。
ユウマとしては親切心で行った行動なのだがゴロツキ達にとっては、災難でしかなかったなぜなら。
まず最初に、7人いる内のゴロツキの1人仮にAが、ユウマに襲い掛かってきたので横にかわし擦れ違いざまに、首の付近に手刀を《トン》と当て気絶させた。
流石に普通は無理だと思っていたが、相手の動きが遅く擦れ違ったときに、そっと《トン》と当てたら上手い具合にゴロツキAが白めを向いて気絶した。
「あれま、こんなに上手くいくとは・・・」
その後、ゴロツキBとCがナイフを出して吠えた。
「テメー、何しやがった。俺達を誰だと思ってやがる」
「覚悟しやがれ。クソガキがっ」
その間にDとEとFの3人が各々の武器を取り構えた。そして、リーダー格なのだろうかその男が喋りだした。
「なっ、なんだその動き。テメー、何者だ。その動き只者じゃねーな?冒険者か」
『えっ?何言ってんだこいつ。ただ避けて手刀を当てて気絶させただけなのに、こいつら見えてないの今の・・・』とユウマは思ったがリーダー格の男の質問に対して簡単に答えた。
「まあ、一応冒険者をやってるけど、そんなに驚くことか?」
冒険者だけど普通なはずだがと思い、顎を指でかきながら答えた。
「あぁぁ、なに余裕こいてんだテメー。1人倒したぐれぇで、いい気に成るなよ」
余裕とは思ってもないし、いい気にもなってないのだが?とユウマは思っていた。
だが、ゴロツキBとCはナイフを構え2人がかりで、ユウマに切りかかって来たので応戦しようとしたが、余りにも遅い動きで攻撃をしてくるので少し困惑しながら、ゴロツキBのナイフを持つ手にワンパンチ喰らわして、ゴロツキCには足払いをして転ばさせた。
すると痛みでナイフを落とした、ゴロツキBは手を押さえながら叫び転げ回っていた。
「いってー!ゆっ、指がっ、指がぁぁ」
ゴロツキBは叫んびながらのたうち回って五月蝿かったので、顔面に軽く一発蹴りをかましてやった。すると何故か勢いよく、後ろの壁の方に吹っ飛んでいって、そこに合った木箱を破壊した。
「えっ?・・・俺そんな強く蹴ってないのに大げさな」
などを思っていると先程転ばしたゴロツキCがユウマの足につかまり喋り掛けてきた。
「へへへ、捕まえたぜ!てめーは、もうごっ・・・」
ゴロツキCが何かを言う前に鳩尾付近に軽く蹴りを入れたら、さっきのゴロツキBと同じ様に勢い良く飛んでった。
何で?人間ってこんなに簡単に飛んだってけ?それとも俺がおかしいのかな?
なんて事をユウマが、考えていると未菜が念話で語りかけてきた。
『ユウ兄。普通そこまでやるの? たかだかの女の子二人を助けるために』
『いや、あのね未菜俺も出来るだけ手を抜いてるけどこいつらが勝手に・・・』
『あっ、危ないよユウ兄。うしろ!』
未菜との念話に気を取られていて、後ろからゴロツキDに切りかかられたが、やはり動きが遅すぎるので軽く避けて、通りすぎたそいつの背中に蹴りをいてるとまた勢い良く吹っ飛んでいった。
「テメー!何てことしやがる。もーゆるさねぇ、おめーら殺してもかまわね。本気でやれ」
リーダー格の男が、我慢ならら無くなったのか、本気で殺していいと命令を出した。
なるほどこいつら本気じゃなったのか、なら・・・。
さすがにユウマも本気を出され、殺されてはたまらないと思い、つい【超加速】のスキルを使い、【能力向上】の無属性魔法を唱えた。
だが、しかしこの後すぐに使う必要も無かったと思った。なぜならゴロツキEの1人目を倒した時点で、残りのゴロツキFはユウマの動きに驚き、リーダー格の男とお互いの顔を見て動きを止めてしまい、それから明らかに素人ですみたいな攻撃しか、してこなかったし動きも遅かった。
また魔法も使えないのか武器でしか攻撃してこない、しかも武器の扱いがわからないのか?使い方がめちゃくちゃだった。
たとえばゴロツキEが使用している槍なんか、こんな狭い場所で振り回したら意味が無いだろうと思っていたら、案の定壁に刺さり穂先が折れて使い物にならなくなり、大金槌を持っているゴロツキFは肩にのせ構えているがどうも担いでいるだけで、攻撃する時の動作が重さに任せて打ってくるだけだ、すごく避けやすいのである。
なのでユウマは、ゴロツキEが槍を駄目にした時点で、腹に軽くパンチを放ちふっ飛ばし、大金槌を持つゴロツキFの攻撃をかわして態勢を崩したFの首に軽く《トン》と手刀を当て気絶させた。
ユウマは、こいつらは馬鹿なのですかと思っていたが、まあリーダー格の男はそれなりに戦闘の経験があるのか動きはよかったが、ユウマの敵ではなかった。
取り合えず剣で攻撃してきたので、冗談半分で真剣白羽取りをしてみたが、手を合掌したらその時点でリーダー格の持っていた剣が折れてしまった。
周りから見たら面白半分でも、そんな事するなよと言いたいところなのだが、ユウマからしたら【超加速】と【能力向上】を使っているので、相手の攻撃自体が鈍く見えていた。
だから『あっ!これ白羽取りできるんじゃねー』と思って実行したに過ぎなかったのである。
そして、ゴロツキのリーダー格の男が折れた剣とユウマの顔を見てから声を震えながらあげた。
「あっ、あっ、ああ、あなた様は、何者ですか?」
などと聞いてきたのでユウマは考えてこう答えた。
「うーん、ただの冒険者ですけど、何か?」
そう言ってからリーダー格のおでこにデコピンをしたら白目をむいて気絶した。
そのユウマの戦闘を見ていた少女の2人も、ユウマの動きと戦闘を見て口をあけて驚いて何もいえない状態になっていた。
ユウマがちっとやりすぎたかなと思っていると、未菜が駆け寄ってきて俺に声をかけてきた。
「ユウ兄。早くここから立ち去った方がいいかも。警察みたいな人が来てるから」
「えっ、でも、別に悪い事して無いから良いんじゃない」
「いや、絶対厄介事に巻き込まれるからさっさと行こ。あなた達も気お付けてね。じゃぁ」
笛を吹きながらこの街の衛兵らしき騎士の人達がやってきたが、俺は未菜に手を引かれてその場を後にしたのであった。