36 入門審査と街へ?
この防衛門では、入門審査を受け許可を取らないと、街の中に入ってはいけないらしい。
その為、ユウマと未菜は防衛門の入門審査を受けるために馬車を降りて、他の人達が並んでいる通常の通路に並ぼうと騎士達のいる方向に歩いていたらレーネさんに呼び止められた。
「ユウマ様達は、そちらの通路に並ばなくてよろしいですよ。私達と一緒に来てください」
そう言われたが不思議に思い後について行った。
通常に通路とは別でレーネさんと進んだ通路は、おそらく重要人物や貴族等が通る通路の様で少し豪華ですぐに先へと通された。
そして、その先の豪華な扉の前にシルフィーが立って待っていた。
何故、俺達がこちら側につれてこられたのかを尋ねるとレーネさんが簡単に答えてくれた。
「えっとですね。ユウマ様とミナさんは、シルフィーの護衛と御友人と言う扱いになっておりますゆえ、こちらの特別通路を通って審査室で審査を受けて頂きたいとおもいまして」
「へっ?でも俺達は一般人ですよ。良いのですか?」
ユウマは、このとき護衛は依頼されたが、友人認定されてたのかと思っていた。まあ、未菜に関してはかなりシルフィーさんとは仲良くなっていたが、それでだろうかと思っていた。
「はい、そうですね。ユウマ様とミナさんには、こちらで審査を受けてもらいたいのと、ある登録をして貰いたいのですよ」
「そうですね、ユウマ様には、特に私の特別な騎士になっていただき護衛をお願いしたいのです。それにミナさんと共に友人なのですから特別ですよ♪」
ユウマは、自分が特別扱いさえる事が良く解らないと思っていると、未菜が声をかけてきた。
「いいじゃん、ユウ兄。折角のシルフィーさん達の厚意だよ。それにユウ兄は、シルフィーさんのナイト様だよ。みんなに知られたらヤキモチをやくだろうけどね」
そんな未菜の言葉の後にシルフィーさんが声をかけてきた。
「はい、おそらく通常だと時間が掛かると思いますし、私達の証言も必要と思いますので今回は特別と言うことです」
「なるほど、で?何故俺達だけが特別なんですか?」
なかば強引のような気がするが、何故かまだ納得できないユウマであったが、おそらくもう一度確認しても答えてくれそうに無かったので諦めた。
しかたなく勧められるままに、その部屋に入りシルフィー達に促されソファーに座った。すると俺と未菜が座ると、俺の横にシルフィーが座りレーネさんが後ろに陣取った。
するとみんなで入ってきたドアとは、別のドアから2人の女性が入って来た。
「お待たせしてすいません。シルフィー様」
「いえ、お気になさらないで下さい。ソフィーさん」
「ではさっそく、そちらの2人が今回入門審査と臨時の親衛隊に登録されるユウマ様とミナ様で、間違いないですか?」
「へっ、どういうこと?」
「えっと、どういう事ですか?それに・・・」
俺と未菜が不思議がっていると審査官の1人が答えてくれた。
「あっ!すいません、今回あなた達の審査と特別登録を行ないます。わたくしソフィリア・ディ・クライアントと申します。ここの審査官を勤めております。あと彼女は私の秘書を勤めているリラです。以後よろしくお願いします。ユウマ様、ミナ様っ」
「秘書のリラ・クエルバです。今回の記録と登録等で助手をさせて頂き説明を行います。よろしくお願いします」
「よろしくです。ミナでーす」
「えっと、あっ、ユウマです。こちらこそよろしくお願いします。ソフィリアさん、リラさん」
「あっ、ユウマ様、私の事は気軽にソフィーとお呼びください」
俺達が疑問に思い頭を傾けていたら、ソフィーが名乗り説明してくれ、もう1人の女性はリラと紹介してくれた。
そして、まず最初に審査を順調に進めるため、断罪の瞳という水晶に触れて欲しいと言われたので、それに俺と未菜の順番で触れていった。
この断罪の瞳は、犯罪履歴や危険なスキル等を確認できるアイテムだそうだ。
「はい、ユウマ様もミナ様も犯罪に関する記録も危険とされるスキルもお持ちありませんね。お2人とも問題ありません」
次々と審査に関わる事を行ない済ませていった。 それから俺と未菜を臨時の親衛隊に登録を行い、この護衛依頼が終わるまでは色々と融通が利くようにしてくれた。
そして、この防衛門での入門審査関係を終わらせたのであった。
追加で説明すると入門審査を受けた後、通常は入門税として銀貨2枚を徴収されるのだが、シルフィーの厚意で俺達の入門税を免除された。
それから防衛門を抜け、街の入り口まで皆で向かうと既に入門審査を終え、馬車で移動できる準備を行っていた騎士達面々と合流してからこの後どうするかを話し合うことにした。
するとシルフィー達から声をかけられた。
「私達は、これからこの街を治めています。領主に会いに行きますが?ユウマ様達も一緒に行きますか?」
シルフィー達は、どうもこの街のお偉いさんに会いに行くようだが、俺達が付いて行く訳には行かないので断る事ににした。
「いえ、俺達は少し観光と言うか転移門跡にも行ってみたいですし、あと冒険者ギルドに行ってみようかと考えていますので、すいませんがお断りします」
「なら、名残惜しいですが一旦お別れということで。あっ!でも宿はこちらで準備しますから。その時にまた」
シルフィーは、ユウマが一緒に行くことを断ったのを、少し残念そうに返事をして、宿は準備しているのでそちらで落ち合う事を約束させられた。
ちなみに宿の場所が解らないと説明したら、騎士隊長であるレオンさんの方から話しかけられ。
「ええ、なら私どもがユウマ殿達と冒険者ギルドで落ち合い、宿まで連れて行きます。丁度今まで討伐した魔獣の素材や魔石を収めに行きますからその後でも」
レオン達の用事とは、一旦宿に着いたら荷物等を片付けそこの用事を済ませ、その他の所用を済ませたら、冒険者ギルドの方の用事もあるので、その時落ち合い宿までつれて来てくれる事を約束してくれたのである。
するとその話しが終ると救援に来てくれていた騎士達がレオンさんに向けて語りかけてきた。
「それではレオン隊長どの、我々は一旦この男共を守衛所に引渡してきます。そのあと騎士の寄宿舎へ引き上げますので、これで失礼します」
「ああ、此度の救援ありがとう。後でそちらへ挨拶に行くので、団長殿によろしくと伝えておいてくれ」
そして、救援に来てくれた騎士達は、捕まえた男共を連行して引き上げて行った。
連行されていった男達には、既に犯罪者に付けられる隷属の首輪を、防衛門の入門審査時に取り付けられていた。
ちなみにこの隷属の首輪とは、犯罪者等を街に入れる際に取り付けられ、絶対に逃れなれないようにする物である。それにこれを付けられ何か悪い事をした時などは、これが動きを自動で拘束したり、もし仮に逃亡を許したとしても、首輪に取り付けられた水晶が追跡装置の役目を果たし、すぐに発見できるなどの機能があるので簡単に捕縛できるのである。
また、犯罪を犯していない者には、強引に取り付ける事は、不可能な品物になっている。間違って着けられても、その場で首から外れその場で無実を証明する構造となっていてる。
そして、隷属の首輪は犯罪者用だけとは限られず、他にも何かしらの奴隷の首輪が存在している。
この世界では、奴隷を作り奴隷を持つ事の出来る奴隷制度があり、また商品として扱っている奴隷商のギルドも存在している。
だが奴隷と言っても最低限の人間の保障がされている。
保障の内容は衣・食・住を最低限あたえ、なお病等に犯され、身体に悪影響がある状態になったりしたら、治療院や寺院で治療を無料で行う等の義務も発生するのだ。ただしその分の奉仕又は仕事をしていかないといけないのである。
また犯罪を起こした者については、特にきつい仕事をしなくてはならない。
それでも仕事先は奴隷専門の職業ギルドで請負い、そして絶対世話を行う等の保障もされている。
もしこの保障が破られる事などがあれば、首輪が即座に反応してその行為を行った相手は少なからず罰をあたえられるというシステムも存在している。
なので自分から奴隷になる人も存在している。その事を入門審査室で審査官の秘書であるリラ嬢に色々と詳しく教えて貰ったユウマ達である。
それで捕らえた襲撃者の男達を守衛所へ連行して罪状と過去の犯罪暦を調べて、その首に賞金がかかっていれば、その賞金も貰えるようなので、詳しく調べた後で渡してくれる事も去り際に教えてくれた。
この場で、みんな一旦解散して、それぞれの目的の場所へ散って行った。