35 襲撃者を捕らえて?
ユウマは【超加速】を使用して、姿を隠してこちらに近付いて来ていた男の背後に気配を消して回り込んでいた。
そしてシルフィー達の方に視線を向け、油断している男の肩をさ《トントン》と叩いて気が付かさせた。
すると驚きこちらに振り向いた男の肩に、手を置いた常態で頬に指をあてた。
その男はユウマの行動に驚いて、一瞬のうちに後ろに飛びのいて。
「なっ!何者 《ドン》 うっ!・・」
何かを喋ろうとしていたが、構わずまた背後に回り、首に手刀を当て気絶させた。
その男を事前に持って来ていたロープで、手足を縛り上げ引きずりながら、そのままレッドファングベアーと戦闘している場所まで行くことにした。
するとそこには、動かなくなったレッドファングベアーと、それを警戒している騎士達がいたので、騎士達に向けてユウマが声をかけた。
「その魔獣を使役していた男を気絶させました。今のうちに魔獣の止めを刺してください」
その様に声をかけると、騎士達全員でいっきに詰め寄りレッドファングベアーに止めを刺した。
一方そのころ、未菜とシルフィー達の4人は、攻撃魔法を同時に放ちもう1人の使役者がいたであろう、木の上を吹き飛ばしていた。
木の上にいたファングベアーの使役者は、丁度騎士たちにファングベアーが止めを刺されると思い、攻撃魔法を打ち込み邪魔をしようとしていたしてので、未菜とシルフィー達の魔法攻撃に気が付かず、まともに4人の攻撃魔法を喰らい落下していた。
この時未菜とシルフィー達が放った魔法は、かなり豪快に使役者と周囲の木々に直撃して爆散していた。
そして木の破片が周りに飛び散り、ものすごい音と同時に騎士たちは、ファングベアーに止めを刺していたが、派手な爆発音に驚きその方向に視線を向けた。そこには木々の破片と共に落ちてくる衣服が黒焦げの男が吹き飛んで落ちてきていた。
騎士達皆は、その男を見ながら「えっ!」と呟きを落下するまで呆けて見ていた。
それから地上に落ちて、丸焦げの男をみて「可愛そうに」と誰でもなくそう言葉に出し捕らえていた。その後騎士達はシルフィー達のいる馬車の元に戻ってきて、この一件は一旦片付いた。
それで、捕らえた男2人はやはり闇ギルドの【暗闇の猫】の刺客であった。しかも数日前にあった獣の戦いにも関与していたみたいだった。
その方法はいたって簡単、ダークファングを自分達の使役していた魔獣を、けしかけダークファングの群れを誘導して襲撃を仕掛けたのだった。しかしまさかすべて倒せて、傷を覆ってないとは思ってなかったと悔しがっていた。
ちなみに今回の統べて襲撃の内容を話したのは、ユウマが捕まえた男では無く、未菜とシルフィー達で攻撃した男の方であり、その男は攻撃魔法をすべて喰らい真っ黒焦げになったうえ、木から落ちて大怪我をして虫の息だった。
取り合えずそいつを治してやると感謝して、これまでの事をペラペラと話し出した。
しかも、これまでの襲撃はシルフィーを誘拐して、レオニール皇国との同盟の信書の奪取が目的だと、聞いてもいないことまで話しだした。
そして、騎士隊長であるレオンさんがその男に今後の襲撃について尋ねた。
「いや我々は3人で実行していたので、すぐには・・」
なぜか正直に、今後の襲撃の内容を答えていったのである。
よっぽど大怪我を治してやった男は、自分の所属していた闇ギルドに不満を持っていたのか、聞いていない事も色々とレオン達に話していたのであった。
そして、昼ぐらいにトライアの街に到着して、現在防衛門の前に来ている。