34.また、怪しい奴が現れました。
それからしばらく移動してからの4日目の昼ごろに、また襲撃があった。
今度の相手は、魔獣だった。
馬車が急停止したので、何かなと降りて前方の方を確認してみたら、坂の上の方に魔獣がいた。
その魔獣を見て未菜が言葉を漏らした。
「うっわー!でっかい熊さんだよ。ユウ兄」
「いえ、未菜様。あれは熊ですけど?ファングベアーと言う熊種の魔獣ですね。でも、この辺にはいないはずの種なんですけど。どうして?」
レーネさんが襲撃してきた魔獣の名前を教えてくれたが、どうもこの辺に生息していない熊種であると不思議に思い考えていた。
あれ!前にも似たような内容の事があったような?
ユウマは、なぜか今回襲ってきた魔獣とレーネさんが漏らした言葉で何か引っ掛かって考えていると。
今度は後方で魔獣の熊みたいな咆哮がしたので振り向くと、もう1匹俺達が来た方向に熊がいた。
そいつは今騎士達が闘っているのと、同じような熊なのだが色が違いこちらは赤い色の熊だ。
「うっわぁぁ、もう1匹熊さんが後ろに現れたよ。ユウ兄」
未菜は、なんでそんなに落ち着いて俺に説明しているのかは、解らないがそんな俺も何気に落ち着いて考えてる。
「えっ!こっちはレッドファングベアーですって!何で?」
「そんな、ファングベアーの上位種なんて、何でこんな場所に?」
馬車の近くで待機してきた女性騎士のレイナさんとセイカさんが後方の熊をみて驚き、こちらの種もこの辺に生息していない熊種であると言葉にしていた。
前方の熊は男性騎士達が何とか戦闘を続けて、こちらの後方の熊には女性騎士達が向かう事になった。
ユウマはいつものように状況と内容を確認しようとすると、何故かその時点で【鑑定眼】のスキルを取得できた。
とりあえず両方の熊の状態を確認する事にした。
するとファングベアーは格下の熊で何者かに使役されていて、同じくレッドファングベアーも使役されていた。こいつも俺とは格下であった。
それから使役と確認できたので、周りを注意して見ていると、2人ほど黒ずくめの人族がいる事が解った。
もちろんその両方とも、格下である事も解っていた。
「あの、みなさんちょっと小声で良いですか?」
「「えっ、何ですか?」」
「えっ、何?ユウ兄」
小声で3人がユウマの方を向いた。そして、いつの間に現れてたのか妖精のフレイが、シルフィーの肩に座ってユウマに注目していた。
「えっとですね!どうもこの襲撃も前回と同じ気がして周りを確認してみたのですけど、当たりだったようです」
「「「えっ?」」」と3人が驚いたが、ユウマは構わず話しを続けた。
「今回の襲撃に加担しているのは、2人ですね。前方の熊の方角に、ちょうど木の上に1人潜んでいます。もう1人は何故かこちらに気が付かれないように近づいて来ています」
「何ですって!」
そう声を出しレーネさん、前方にいる熊の周りの木の上を必死に探している。
「何処ですか?まったく解りません」
「やっぱり、見えないんですね。シルフィーさんは見えますか?」
「ええ、確かに木の上に何かのオーラいえ人の気配があるような?」
『あれ、魔眼では見えないのかな?でも認識は出来るのか?』とユウマが考えていると。
「あっ!ユウ兄が言うように木の上に人がいるね。それにもう1人は、すぐそこまで来てるよ。どうするのユウ兄」
いつの間にか1人はすぐそこまで来ていたようだ。
しかし翌々考えたら未菜も解ってるのかよ。
「それでですね。お2人に聞きたいのは、この場合魔獣の使役者を先に気絶させたらどうなるんですか?」
「えっ!確か魔獣は使役者が、気絶した場合は確か・・・」
『うーとね!使役されてる従魔や魔獣は使役者が気絶又は死亡した場合、一旦動かなくなってから、確か使役から解放されるはずだよ』
「ああ、そうです気絶した後に使役から解放されるはずです」
なるほど使役者がどうかなった場合、使役されていた奴は自由になるのか。
「なら、後ろの奴は俺がどうにかしますので、木の上の奴を魔法か何かでやっちゃってください」
「了解なの。ユウ兄」
「はい、解りました」
「任せてください」
3人に了承をもらえたので小声でフレイにも一声かけた。
「フレイも頼むな」と言ったら『まっかせてぇ』と元気に返事をしてくれた。
あっ、ひと言未菜に言うの忘れてた。手加減しろと言う事を忘れてた。
まっいっかもう既に今いる人達にはばれてるし。
そして、ユウマの声で5人が一斉に行動を開始した。