32.トライアの街に入るまで?
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護衛依頼を受け騎士団と共に行動しだしてもう5日目だった。そして、実を言うとトライアと呼ばれる街の防衛門の前までやって来きていた。
確かあのとき女神フィーナ様の話では、この街まで来るには徒歩で一週間以上は掛かるだろうと言っていたが、それよりもかなり早く街についた。
やはり馬と馬車での行動だからかなり速いようだ。
「馬車に乗せて貰って良かったね。ユウ兄♪」
「うん、そうだね。馬車は徒歩よりかなり移動が早いな。もう街に着くなんて」
「あら、本当ならあの場所からでは、もう少し早くこのトライアの街に着いていますよ」
馭者台に一緒に座っていたレーネさんが、俺と未菜にそう教えてくれた。
「ええっ、そんなに早く着くの?レーネさん」
「ええ、今回は何故か色々とトラブルがありましたしたから」
「はい、そうですね。でもホントにみんな無事でこの町に到着して良かったですわ」
馭者台の後にある入口の扉から顔を覗かせて、シルフィーが声をかけてきた。
実を言うとここに来るまでの道中、いろんな事があった。
それは簡単に説明するとこんな内容である。
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まず、あの戦闘のあった場所を朝早く出発した。それは森の中を明るいうちに移動するのが目的であった。
しかし森の中に入ってからすぐに魔獣ではない獣の群れに出くわし、その群れに襲われて戦闘になってしまった。
その襲ってきた獣はダークファングと言う狼種で、体長は地球にいた狼より一回り大きな獣であった。
これらは俺と未菜が手を出す前に、騎士団のみんなで倒してしまった。
まあ襲ってきた数は少数でありながら、かなり強く統率の取れた種だったそうなのだが、それを簡単に騎士団の人達は倒していった。
そのとき戦闘が終った後、騎士達がおかしな事を話してしていた。
何でも丁度森に入って、周りが少し暗くなってきてから10匹ぐらいのダークファングの群れが襲ってきたらしいのだが、どうも様子がおかしく狂ったように攻撃をしてきたそうだ。
だから簡単に倒せたたそうだ。
「えっ、そんなにおかしな事なのですか?」
「ええ、普段はもっと警戒してすぐには襲ってこないはずです。それに統率がまったく取れてませんでした」
「そうなんだよな。隊長が言うように、こいつらは結構厄介なんだけど今回は簡単に倒せたもんな」
騎士隊長のレオンさんが説明してくれた後に、あの時死に掛けていたマークさんが近付いてきてから語りかけてきた。
その時はその事についても警戒しながら森の中を進んでいった。
すると森のかなり奥まで進んできたあたりで、またダークファングの集団に出くわした。
だがその集団は、なかなか襲って来ないで、少し離れた所で警戒していた。
なので今回はこちらから先制攻撃を仕掛けるため、隊長のレオンが馬車に近付き声をかけてきた。
「ダークファングに囲まれる前に、今から我々で先制攻撃を仕掛けます」
「あのぉ、レオンさん俺達も一緒に戦いましょうか?」
「いえ、ユウマ殿達には、このままシルフィー様の護衛をお願いします。もし馬車が襲われそうになったら、その時はよろしくお願いします」
一緒に戦おうとしたが、馬車に乗るシルフィーの事をお願いして駆けて行った。
すると今度はレーネさんが、馬車から出てきて。
「それでは、私も馬車の外で待機してますので、何かあればお声を掛けます。その時はユウマ様と未菜さん、シルフィーをお願いしますね」
それから数分後ダークファングは、大量の仲間を引き連れて襲ってきた。
しかも馬に乗った騎士達がいなくなった、スキをついてである。
このときは、さすがヤバイと思いユウマも鋼製の長剣を借り戦闘に参加していた。
未菜に関しては、俺が参加する前からチョクチョク魔法でダークファングを倒していた。
しかも離れているダークファングに魔法を当て次々と大量に始末していた。