28.悪漢達を倒して?
するとそんな事とは、お構い無しに男達・・・いや、悪漢達は倒れてしまった男に近付き笑い出した。
「おいおいマジかよ!こいついきなりクルクル踊りだしたかと思ったら・・・くくく、白目むいてション便漏らしてやんよ。情けねな弱いのに一丁前に出て踊って倒れるなんてよ。はははは・・・」
「おいおい、でもよぉ、何でこいつ・・・いきなり倒れたんだ?」
「それになんだよこれ?こいつの顔面・・いや頬の手形・・!?それになんで・・・こんなに滅茶苦茶腫れてるんだ?」
「おっ、おい!・・・・」
どうやら悪漢達には、鈴香が行なった攻撃がまったく見えて無かった様だ。
そして、何が起こったか解らない悪漢共が一斉に言い放った。
「「「テメー、何かしやがったのか?このアマっ!」」」
「ひっ!」
「きゃっ!」
悪漢達の声に2人の少女が怯えて、震えながら小さな悲鳴をあげた。
しかし、このときまだ鈴香は両手を見ながら色々と考えていたので、悪漢たちの声はほとんど聞いていなかった。
『もしかして・・・私って、めっちゃ強くなってるの? でも流石にチートみたいな力があるとは思えないけど』
でもこの力があれば・・・こんな馬鹿共一掃できるのではと思っていた。
『あっ、でもこの子達がいるから、ちょっと無理っぽいかな・・たははっ』
鈴香は色々考えたが無理かなと、苦笑いを浮かべていた。
何人かの悪漢達はその場を動かずに、この女は何かおかしい変に強いぞと考え距離を取って近くに有った棍棒や石などの武器を手に取り出した。そして、また奥の家の中にいたであろう悪漢達の仲間がぞろぞろ出てきたのであった。
流石にこの人数を相手に1人ではと考え悪漢たちとで対峙していると、そこへ・・・。
「リンちゃん大丈夫?」
「リン姉っ!助けに来たよ」
そこへ非常に心強い援軍がやって来た。
「リン姉さまっ!きゃっ」
しかし、一番最後に現れた唯香の周りに悪漢達が群がり、みんながやって来た道を塞いだのであった。
最後にやって来た唯香を、馬鹿な男が後ろから襲い掛かってきた。
「何するですか!この糞虫め!」
だが背後から襲い掛かって来た男の腕は空を切っていた。唯香は後にいた男をジャンプでかわし、回し蹴りをお見舞いしたのだった。
唯香は見た目、可憐でかよわい、いかにもお姫様みたいに見える可愛い少女だが、その姿とは裏腹で空手の有段者であり、大人顔負けの技の持ち主あったのである。
その蹴りを喰らった男は、数人を巻き込んで吹き飛んでいった。
「相変わらず、怒らしたら怖いよねっ。いっつもとんでも無い事するから、ユイっちは」
「はっ!あらあら、いけませんわ。私ったら~、はしたない事を、てへっ」
その場でウインクをして舌を出した。
そのとき愛美にも、悪漢の魔の手が伸びてきて愛美が突然声を出した。
「いやっ!触らないでこの変態!」
その男を思いっきりグーパンチで殴った瞬間、何故かその男はすごい勢いで後方に飛んで行き、近くにいた数人の悪漢を巻き込んで吹っ飛んでいった。
『えっ、私・・・ただ手を当ただけなのに?』
疑問符を浮かべ、自分の手を《グッパッ、グッパッ》として不思議そうに手を確認していた。
それとは別に攻撃すると面白いように当たり、それを楽しみながら悪漢達を吹き飛ばし楽しんで攻撃している、一人の少女結愛が信じられない言葉を吐きながら悪漢の中に突っ込んで行った。
「あはははっ、こんな悪い奴ら全部たたきのめしてやるです♪あーはっは・・・」
完全に戦闘狂と化してしまってる結愛の方を見ながら唯香が言葉を漏らした。
「あらまあ結愛ちゃんたらぁ、何かに取り憑かれたみたいに、変貌しちゃってますわね? ホントに夢中になったら別人みたくなりますわね。私も結愛ちゃんの将来が少々心配になってきますわ」
唯香が結愛の将来の事を心配しながら溜息を吐いて、鈴香の元に愛美と共に向かっていた。
「リン姉様っ!大丈夫?みたいですね。それよりその子達がこの馬鹿共に襲われていた子ですか?」
「うん、そだよ唯香ちゃん」
「ならリンちゃん。この子達は私達に任せてあなたも行ってきたら。何故か結愛ちゃんを見て、その場に行きたそうに見えるのよ」
「えっ・・・・でも?」
3人が話しをしている間も、たまに悪漢が攻撃してくるが、あっけらかんと反撃して返り討ちにしている3人であった。
「あなた達も、それで良いわよね」
愛美が少女達にそう声をかけたら、少女達は笑顔で「うん」答え頷いた。
「それじゃあ、リン姉様!行ってらっしゃい。早く行かないと結愛ちゃんが全部倒しちゃいますよ」
笑顔で唯香がそう言うと、確かに結愛が全部倒してしまいそうな勢いで、襲いかかっている悪漢達を次々と倒し、結愛笑い声と悪漢のなんともいえない悲鳴が聞こえてきていた。