25.異世界で始めての食事。そして出発・・・?
色々たわいの無い話をしていて突然シルフィーがユウマにどうしても聞きたい事を聞いてきた。
「あのう、ユウマ様は、何故私たちを助けてくれましたの?」
「へっ、ああぁ、えーとですね・・・」
顔を近づけて来て助けてくれたのは何故かと尋ねられた。なのでその綺麗な目を見て答えようとしていたら、何も無い空間に紅い光の玉が現れた。
『たっだいまぁ!あっ、シルフィー。やっと精霊気と魔力が回復したから帰ってきたよぉ♪』
炎の妖精のフレイが突然姿を現しシルフィーの顔に飛びつき頬を重ねスリスリしていた。
『あっ、ユウマもおひさぁ、それとシルフィー達を助けてくれてありがとねー♪あと、ミナは?』
何が起きたか解らず驚いた顔をしていたが、フレイと分かり安心して答えた。
「何だっ、フレイか、びっくりするだろ突然!それに未菜なら寝てるよ。そこで」
フレイに気付き、何気なく会話していると、シルフィーが驚いた顔をして尋ねてきた。
「えっ、ユウマ様。フレイの姿が見えているのですか?」
「へっ、はい、何故ですか。結構前からはっきり見えてますし、もともと助けを求めてきたのがフレイでしたから?」
元々助けを求めてきたのは、妖精であるフレイである事を話すと、いきなりシルフィーさんが俺の頬に手で挟むようにして、瞳を《ジーッ》と見つめた。
「|はに、ほろへはんでほは《なに、するんですか》?」
「黙っていてください。それと私の瞳を見てください。お願いします」
シルフィーに言われたとおりに、恥ずかしながら瞳を見つめていると・・・。
自然と自分の目の辺りが熱くなるのを感じて、そしてシルフィーの赤い瞳の中に六芒星の模様が浮き上がった。
「やっぱり!ユウマ様も魔眼の持ち主でしたのね。しかも黒い瞳から赤色に変化する特殊なケースみたいですね。あと、私と同じ火属性の魔眼ですね♪」
ニコニコと嬉しそうに笑顔をユウマに向けて、ホントに嬉しそうにしていた。
魔眼の持ち主と言われたが、ユウマとしては何の事かさっぱり解らず、その場で魔眼について聞いてみた。
するとシルフィーは魔眼の持ち主か強力な魔力の持ち主でないと妖精などの姿が見えず声も聞こえないと、ただしまれに魔力の無い者でも姿が見え、声も聞き取れると教えてくれた。
「あとですね、ユウマ様。妖精と契約するとその契約した妖精の属性の力を使えますし、瞳の色も属性の色に依存して変化しますの」
それから、ユウマとシルフィーそしてフレイの3人で色々話しをしているところへ。
「食事の準備が出来ましたよ。ユウマ様達もどうぞ簡単な食事ですがご一緒にどうぞ」
そう言ってレーネさんが呼びに来てくれた。一緒にどうぞと誘われたので御相伴になろうとまず未菜を起して向かう事にした。
「おーい、未菜起きれるかぁ」
「うにゅぅ、ユウ兄抱っこ」
「おいおい、寝ぼけるな。ここは家じゃないんだぞ・・・」
「ふへっ、・・・・ここどこ?・・・あれ?夢じゃなかったの」
どうやら寝てる間に先程まで起こっていた事は夢だと思っていた様だ。
そして食事の場所に行くと、重症で寝ていた騎士達も全員が回復して一緒に食事を取った。
食事に入る前に重症で動けなかった騎士達と軽傷だった騎士達が、揃って頭を下げ俺と未菜に。お礼を言ってきてみんなで仲良く食事をした。
食事と言っても干し肉を煮込んだスープと、とてつもなく硬いパンであった。
それらを食べていたら未菜が【念話】で語りかけてきた。
『ユウ兄このパンかたいよぉ、それにこのスープ味が薄いハッキリ言って、まずい』
『うっ、確かに硬いが・・・まあ、みんなみたいにスープに浸して食べな。とりあえずは腹は膨らむから・・・』
まあ、俺だけで良いならこれでも良いのだが・・・流石に未菜には酷かな・・。
しかし、現時点ではアイテムボックス内にある物も、同じ様なものであるのでしょうがないと思う。
そして、食事を終えたあとに上級回復薬をみんなに配り飲ませていた。その効果は絶大で一気に傷と力が全快したらしく、今まで重症だった人達も合わせて夜番を交代しながら就寝に付く事になった。
もちろん男性陣は屋根だけの天幕の下で、女性陣は馬車の横に設置したテントみたいな天幕の中で就寝した。もちろん未菜もその中にいる。
何故か妖精のフレイは、ユウマの就寝の時はお腹の上で寝ていたのである。
そして、夜が明けまずは近くの街、トライアへ向けて出発する事になった。
ただ馬の数は、元々騎士1人に対し1頭いたらしいのだが2頭が行方不明になっていて、今は全部で7頭だけだそうだ。
で、その内1頭は騎士ダントが救援を呼びに先に出発している。馬車を引くためには最低でも2頭必要なので、その2頭をつないだため、残りは4頭となる、その4頭を男性騎士達が騎乗する事になった。
ただどうしても、この場合は馬車には6名乗らなくてはいけなくなり、しかも全員女性と言うことになる。
なので俺は失礼ながら馬車の屋根と言うより馭者台にいさせてもらう事にした。それで馭者台には現在、俺とセリカさんが乗り込んでいる。残りの5名は馬車内に乗り込んでいる。
そして、トライアの街へ向けて出発した。