100.とんでもアイテム?
するとフィリアさんは、ワナワナと身体を震わし、それをユウマに投げ返してきたのである。
「あんたはなんて物を造ってんの!流石にそんな物を短時間で造ったらおかしいわよ。それは絶対にみんなの前で出しては駄目よ。はあっ・・・ブツブツ」
変人を見る様な目を向けられて、また盛大な溜息を吐いたあとブツブツと文句を言いながら、みんなの元に戻っていった。
ちなみにフィリアさんは、聞こえない様に小声で独り言を言ったのであるのだけど、ちゃんと聞こえていたのである。
その内容は『こんな物が他の人に見つかったら、錬金術ギルドの面目が丸つぶれになるじゃない。普通の聖銀星の水晶球でも半月ほど製作にかかるのに超レアな聖光玉を簡単に造るなんて一般人が見たら勘違いするじゃない。もう、それ以外は既に手遅れだけど』と長々とつぶやいていた。
そのなんともいえないオーラを出しているフィリアさんの背中を見ながら俺は言葉を漏らした。
「なんか俺、フィリアさんになんとも言えない視線を向けら怒られたけど・・・。嫌われたかな?もしかして・・・」
この時ユウマは、聖光玉を見せてこの反応なら、もう一個のとんでもないアイテムの神光玉は出さない方がいいだろうと思い、このアイテムはお蔵入りにしようと心に決めたのである。
「これを出したら、怒られるどころか・・・いや、考えるまい。そして、残念だか人知れず俺のアイテムボックス内で大人しくしていてくれ。まあ、いつかなんかで使おうかなこそっとばれないように・・・」
なんとも言えない事を考えながら、フィリアの後に続いて、みんなの元に戻っていった。
すると先程出したいた他のレアな水晶をヨーコが、1つ1つ鑑定していて、その結果を驚いた顔をして、なにやら戻ってきたフィリアに事細かく説明していた。
「おっ、おねえちゃん。あのね、これ・・・」
「ヨーコ、何も言わなくていいわよ。大体察しはつくから、これ以上ゴタゴタはごめんだわ。恐らく通常の性能と違うんでしょう」
フィリアが頭をかかえて、ヨーコに確認するとその事に関しては肯定してきたので、この後、ここにいるみんなにどう説明しようかと考えていた。
それから考えがまとまった用で、みんなの前に仁王立ちして話しだした。
「ここにいる全員に聞いて欲しいの!まずこれは命令と思って貰っていいわ。それでこの事・・・ここでユウマのしでかした事を口外する事を禁じます。これは正式にシルフォード冒険者ギルドのギルドマスター、フィリア・フィーリスの名において命令します。もし口外したらその時は・・・・」
その言葉を聞きここに居る全員が、無言で首を縦に振った。ただ2人だけはどう言うことか解っていなかったようである。
その2人とは、1人は事情が解らないミーアと、もう1人は俺と同じくこの世界に飛ばされた未菜であった。2人は仲良くみんなが無言で頷く中で、首を傾げ疑問符を頭に浮かべていたのである。
それからフィリアさんは、シルフィーさんの方を向き小声で、しかし俺には聞こえるように言葉を掛けた。
「シルフィー様、この馬鹿は、絶対公国に留めさせないと大変な事になるわよ」
「うげっ、馬鹿って言われた」
シュンとユウマが落ち込んでいると、未菜はそれが聞こえたのであろうか笑いを堪えて涙目になっている。
「ええ、解っておりますわ!フィリア様。決してユウマ様の事は手放しませんわ。それにシルフォード公国では私個人の・・・として。ずっと滞在して貰います。そして将来は・・・《ポォ》」
シルフィーが頬を染めてユウマに視線を向けこう言っている時、ユウマは落ち込んでいて、今の話を聞いていなかった。ついでに未菜我慢できずどこかに消えてしまった。どうせどこかで笑い転げているのだろう、そう言う正確だから間違いなくそうだと思う。
ユウマの考えは事実当たっていた。未菜は我慢できずにフィリア達と一緒に乗ってきた馬車に戻り、声を殺して笑い転げていたのだ。
『くくくくっ、ユウ兄・・・馬鹿だって、ぷっくく・・・いつもやり過ぎるから、いつか誰かに言われると思ったけど・・くくくっ、まさか、幼女姿のぷっくくくっ、フィリアさんに・・・』というように笑い転げていた。
それでユウマは落ち込んでいるままの状態で、そして未菜は馬車の中で笑い転げている中で、話はすすんでいたのだ。
結局話しはまとまり、今からミーアの村の近くまでこの団体で行く事になった。とりあえず近くまで行った後に、状況を確認して聖碑を修理にするかどうかを決める事になったようなのだ。