1.人助け、そして白い空間の部屋へ・・・?
この物語の主人公のごく平凡な大学生である桜花 ユウマ(19歳)ひょんなことに異世界召喚に巻き込まれてしまった。
今まさに、この地球がある世界と違う世界へ、いわゆる異世界に召喚、転移されようとしていた。
しかも死んだ訳でもなく、誰かにお願いされたり、何かの条件で召喚された訳でもない。
ただ単に巻き込まれただけだった。そして今いる空間から仕方なくと言うより、他の子をほっとく訳には行かなくて、一緒に他の星に転移されようとしていた。
その転移される予定の世界は、魔法が存在して色んな種族の人種が存在する世界だ。
その世界で自由気ままに人生を過ごす事になるのだが、それには色々な事に巻き込まれていくと言う、理不尽な人生を送る主人公の旅が始まるのだった。
そして主人公が巻き込まれて召喚され、そして転移する原因となった事の始まりは、ほんの少し前のある出来事があったからである・・・・・・。
☆-☆-☆
その日は買い物を済ませ何も考えずいつもの帰宅コースから外れ、学園都市の通学路を徒歩で帰宅していた。そこには授業や部活の終った学生が、道々会話をしながら帰宅中であった。
その帰宅途中で、後の方から尋常でない悲鳴と車のスキール音が響きわり、なにが起きているか解らず慌ててうしろを振り返ってみた。
するとその目に入ったのは、従姉妹の双子ちゃんである桜花未菜ちゃんと結愛ちゃん、それと二人の親友で俺の家の近所に住む結城 唯香ちゃん達の3人も目にしたのだった。
ちなみに未菜ちゃんと結愛ちゃんの双子は家で預かっていると言うより、一緒に住んでいる。双子の両親は小さい時に事故で亡くなっているので、ウチの両親が2人を引き取り一緒に住んでいたが2年前に両親が海外に移住してしまい、事実上、今は俺が保護者と言う事になる。
そして、今現在その3人に迫ってきている軽自動車を遠くに目撃したのだ、まだ距離はあるが確実的に3人に近づいている。
その車はどうもコントロールを失い運転手もパニックなっている、しかし3人のいる方向には着実に向かってきていた。
その双子ちゃんと唯香ちゃんは、慌てて逃げようとしてが唯香ちゃんだけが、なぜか何もない場所で転倒して逃げ遅れてしまっていた。
その光景を見た俺は助けようと急いで駆け出し、地面を渾身の力で蹴った。
すると駆け出したと、同時くらいに不思議な現象が起こったのだった。
まず最初に俺の目に映る景色全体が、停止・・と言うよりもスローモションの様に遅くなったような感覚にとらわれた。
その瞬間・・・・・!? 自分でも信じられない程、速く動け周りがよく見え周囲の状況が観察できた。
そして唯香ちゃんの近くまで来た時に、とっさに自分の持っていたカバンを車の方(前方付近)に投げ捨てて、車に接触する寸前の唯香ちゃんを通りさながら抱上げ助けた。
すると接触寸前の車が、運よく先程投げ捨てたカバンを踏みつけ著しく方向が変わった。
これはチャンスと思い、その方向が変わった車の前方に蹴りをいれ、間一髪車を交わすのに成功した。
そして勢いを殺せないまま、双子ちゃんのそばの壁に唯香ちゃんを抱えたまま背中から壁に激突してしまった。もちろん助けた唯香ちゃんを守る様に激突したのだ。
ううっ、でも・・・さすがに背中が痛い。
コントロールを失った車の方は、そちらも運が良く反対側の電柱に激突しており、周りにも余り被害がないことが解った。
唯香ちゃんを抱えたまま、車の運転席の部分に視線を向けたら、ちゃんとエアバックが作動して膨らんでいるのが見えたので安心した。
この時、軽自動車の運転手の女性は幸いちゃんとシートベルトを使用していて、エアバックも安全に動作したのでカスリ傷一つもなく無事だった。
周りにいた人達も幸い、被害はない様だった。
そして、双子ちゃんがこちらに近づいてきて声を掛けてきた。
「「だっ、大丈夫、ユイっち!それと・・・」」
双子の未菜ちゃんと結愛ちゃんが心配して近づき俺の方に視線を向けて。
「えっ!ユウ兄ぃ」
未菜ちゃんが、唯香ちゃんを助け出したのが俺だと気が付き驚いていた。
すると俺だと解っていた結愛ちゃんが、心配してくれて声をかけてきてくれた。
「二人とも大丈夫ですか?」
それで未菜ちゃんと結愛ちゃんの二人に向けていた視線を、一旦唯香ちゃんに向けて優しく微笑んで語りかけた。
「痛いところは無い?唯香ちゃん」
ユウマが唯香ちゃんの身体に異常が無いかを尋ねた。その時少し離れた場所で《ドゴーンンンンッ》と爆発音かした。
その爆発音と同時に、辺り一面がまばゆい光に包み込まれた。
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そして、気が付くとただ真っ白いだけの部屋の中にいたのである。
ユウマは、いち早く周りを確かめて状況を慌てず確認した。
『どっ、どうなってんだここは?白い空間に、俺を含め8人の人がいるだけか?と言うよりもここは何処だ?』
そう一瞬慌てそうになったが、今、自分の周りにいる少女達を不安がらせないように落着いて、この場所を確認した。そこには俺達の他に4人いる事以外は、まったく何も解らない状況だった。
『なぜ!こんな場所に、さっきまで帰宅途中の道路にいたはずだし、事故はどうなったのか?』
ユウマが落ち着いて現状の状態を見渡して確認をしていると、腕の中にいた唯香ちゃんが、もぞもぞと動きこちらに顔を上げてユウマと目をあわせた。
「あっ!ユ、ユウ兄さま大丈夫です。助けてくれてありがとうございます」
唯香ちゃんが頬を赤くして照れたようして、それから双子の方に視線を向けた。
「どうしたのですか2人とも・・・?」
双子の方を見比べ、不思議に思い尋ねてみた。
「「ここ、どこ・・?」」
未菜ちゃんと結愛が不思議がり同時に声を出して、それを聞いた唯香ちゃんが、不思議そうに俺に抱かれた状態で周りを見渡した。
「何処ですの、ここ? 辺り一面、真っ白ですの」
ユウマにしがみ付いたまま思った事を声に出した。
そして、3人の声を聞きながら、冷静に辺りを見渡して考え事をしていた。
この空間にいるのは俺の近くに未菜ちゃんと結愛ちゃんと唯香ちゃんの4人と、少し離れた場所に女子高生。えっ、よく見たら鈴香ちゃんじゃないか・・・。まああの子の事はおいといて、あとOL風の女性と少し遠くに学生の男子が2人の計8人か。他にはいないみたいだ。
ユウマは何故か訳の解らない場所にいるのに、慌てず冷静に状況を確認していた。
OL風の女性の方に視線を向けて考えて、たぶんあの人は車を運転して事故を起こした女性だろうなと思っていた。なぜかと言うと座った状態のまま、辺りをキョロキョロと見渡しているからである。
そして、離れた位置で辺りを見渡していた鈴香ちゃんが、俺達に気が付きこちらに近づき向かって来ているのが見えた。
あと2人いた男子の1人は中学生ぐらいでオロオロしている。もう1人は高校生だろうか、何故かこちらの方を見ている。と言うより睨みつけガンをとばしてきている。
その姿をみて、何で睨まれているのかさっぱり解らず考えた。
睨まれているのは、なぜだ?俺あの少年になにかしたっけ?
そんな事を思っていると少女達三人がこちらに視線を向けていたので、ユウマが状況を冷静に確認して三人に語りかけた。
「う~ん、何処だろうね。そう言えば唯香ちゃん大丈夫。立てる?」
唯香にそう声をかけたら、慌てて返事をしつつ何故か残念そうな顔をして、その場で無理に立とうとしていたので手を貸し立たせた。 そして自分も身体を起こして立とうとしていると、上の方を見上げていた未菜ちゃんが何かに気が付き声をかけてきた。
「なに、あの子・・・。天使?」
ユウマの服の裾を引きながら聞いてきたので、その方向を見てみると確かに翼の生えた少女、天使の様な少女が羽ばたきながら舞降りて来た。
するとその少女はみんなを見渡せる位置に停止して浮いた状態のままで、首を傾け可愛らしく口の下に人差し指をあてがえて、頭上にハテナマークを出していそうな感じで周囲を見渡していた。
そしてその天使みたいな翼のある少女は、浮遊した状態のまま小声で喋り出した。
「あれ、確か転生者って7人だったよね・・・? ま、いっか」
改めて姿勢を正して現在の状況を語りだしたのである。