幼馴染み、だったね。
リーンゴーン、リーンゴーン(鐘の音)
わぁぁ、と拍手がなり響く。
『...おめでとう、蓮...』
~22年前~
『うぎゃぁ!うぎゃぁ!』
ある小さな街に僕達は産まれた。
僕には優しく、広い心を持つように「優心 ゆうしん」と名前がついた。
僕の幼馴染みには、皆に愛されるように「愛莉 あいり」と名前がついた。
僕の家はケーキ屋、愛莉の家は歯医者で家が隣で小さい頃はよく一緒に遊んでいた。愛莉は強くて元気な女の子だった。
そんな愛莉を僕はずっと好きだった。
~13年後~
それから、僕達は中学生になり、お互い友達付き合いも変わり、2人で遊ぶ事がなくなってしまった。クラスも離れてしまったため、会話すらも減っていったのが寂しかった。。。
『そう思っていたのは僕だけだろうか?』
~4年後~
僕らは高校生になり、距離もだんだん開いていった。それでも僕は彼女がずっと好きだった。
~2年後~
僕らはそれぞれの行きたい大学へ受かった。
そんなある日、僕が店を手伝っていると、大学の友達がケーキを買いに来てくれた。
「この、ほうれん草ケーキくれよ」彼の名前は蓮、結構な変わり者だったがとてもいい友達だ。
しばらく2人で話していると、家の前を愛莉とカホが話しているのが見えた。それから2人が通り過ぎるのを見つめていた。カホは僕と蓮と同じ大学で、愛莉の親友だ。
通り過ぎたのを確認して話を戻そうとした。
『...ッ!』
蓮が頬を赤らめ愛莉達が通り過ぎたその方向をずっと見つめていた。
僕は何も言えなくなってその後は何を話したか全く覚えていない。
その夜、むしゃくしゃして散歩がてら近くの自販機にジュースを買いに行った。
『あいつがもし、もし、愛莉と...』
『あーだめだめ!考えない、考えない!』
そのまま、しゃがみ込んでぶつぶつ言っていると、、
「優心、大丈夫?」
ばっ...!
振り返ると、そこには愛莉がいた。
『べ、べべ、別にだ、大丈夫だよ!!』
いきなりで、びっくりして言葉がカタコトになってしまった。
「ぷっ、なにそれ(笑)」
彼女が口元に手をあて笑った。
自販機の灯で彼女の頬が少しピンクに染まっているのが見えた。
僕は心の中で
『なんなんだ、この可愛い生き物は!』
と思わず叫んだ。
今すぐに抱きしめたい。
そう、思った。
「久しぶりに話すね、元気にしてた?」
『あぁ、うん、元気だよ、愛莉は?』
「うん、変わらず(笑)」
と、また彼女が笑った。
なんだか、それ以外なにを話せばいいかお互い分からなくなって沈黙が続いた。。
「じゃ、じゃあまたね!」
と愛莉が手を振って僕に背中を向けた。
僕はとっさに、『待って!!』とコントロール出来ない声量で愛莉を呼び止めた。
「な、何...?」愛莉もびっくりしていた。
どうしよう、とっさに呼び止めてしまった。
何て言えばいいのだろう。
さっきの声大きかったかな。
夜だし、近所迷惑だったかな。
頭の中がそんな事でいっぱいになった。
「ドクン、ドクン、ドクン...」((うわぁ、すげぇ心臓の音、顔も熱いし、今から告白でもするのかよ...
告白...?好きって伝えるのか...?
いや、伝えるんだ、言うんだ!!
『あ、あの、さ、』((あぁ、俺どんな顔してるんだろ
『その、えっとな、』((顔、赤いのバレてないかな
『『ずっと好きだった!俺と付き合ってほしい!愛莉の事、絶対幸せにするから!!』』((あぁ、もうどうでもいいや...!
言った、言ってしまった...((ドクン、ドクン
チラッ、返事がないので彼女をみた。
『.....ッ!!』
彼女は口を抑えて、目には涙が見える、
耳まで真っ赤になっているのが暗くてもよく分かった。
「わ、私.......」
~3年後~
リーンゴーン、リーンゴーン(鐘の音)
『蓮、おめでとう。幸せになれよ。』
「あぁ、ありがとな!」
「いや、でも本当に幸せだ。あいつと結婚できて、家族になれて、やっぱりあの時気持ち伝えて良かった。」
『おぉ、幸せにしてやれよ、カホの事!』
「あぁ、当たり前だ。つか、カホのウェディング姿めっちゃ可愛いくね!?」
『おい、いきなりのろけんなよ(笑)』
「ふん、ま、お前も幸せになれよ?」
と、胸ポケットに入ってる箱を肘で当てられた。
『おう、任せとけ。』
「いやー、すごくいい式だったね!カホも可愛かったし、蓮号泣してたしっ!(笑)」
結婚式の帰り道、夕暮れ時を愛莉と歩いて帰っていた。
俺は愛莉の後ろを歩いていた。
『あ、あのさ、』
「ん?」愛莉が振り返る
僕は膝まづき、胸ポケットから小さな箱を出し、それを開いて言った。
『僕と結婚して下さい。』
夕陽が沈む風景を後ろに彼女は僕に抱きついた。
こうして僕の幼馴染みは好きな人から愛する人になった。