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奇跡≠偶然  作者: Yuma
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Chapter1-4 不穏

 目を開けると家とは違う天井が広がっていた。

 そうだった、俺は今遭難して洋館にいるんだった。

 休んでいたベッドから体を起こすと、なにやら少し体が重い。

 昨日は特に何も感じなかったが、こんな状況になって俺は案外疲弊しているらしい。

 そこで、ふと、気づいたことがあった。

 はたして本当に今は朝なのだろうか?

 いや、別に目覚ましがないと起きられないとか、親に起こしてもらわないと起きれないとか、そういうことではない。

 この部屋には窓がないのだ。

 日光が部屋に射し込んでこないため今が本当に朝なのか確証が持てない。

 そういえばこの洋館に着いてから窓というものを見ていない。

 窓がない作りなのだろうか? 

 もしそうなのならばこの洋館の設計者は相当ひねくれているに違いない。

 窓のないこんな閉塞的な空間なんて、まるで閉じ込められているようではないか。

 そんな少々不吉なことを考えていると、少し目も冴えてきた。


 (さてと、目も大分覚めたし広間に行ってみようかな)


 と、思っていると


 ドンッドンッドンッ


 とてつもなく大きな音がドアの方から聞こえた。

 誰かが俺の部屋のドアを叩いている。

 叩く音はどんどん強くどんどん間隔が早くなってきている。

 どことなく慌てているような気がする。

  

 (まあ、開けないわけにもいかないよな……)


 そう思い、俺は一応部屋の中にあった箒を持って、ドアを思いっきり開けた。


 「キャッ」


 という、今まで聞いたことのないような声を出しながら、俺の部屋に倒れこんできた。

 どうやら扉に全体重を掛けて叩いていたようだ。

 

 「イタタ……何で急にドアを開けるのよ!」


 「いやいや、未来あんなに大きくドア叩かれたら誰だって怖いから!、それよりあんなに叩くってことは何かあったんじゃないのか」


 そう俺が言うとさっきまで少し赤かった顔が一気に青ざめた。

 本当に何かあったらしい。

 

 「実は朝起きて、ふっと床をみたら……大きいゴ、ゴキブリがいたのよ。私、怖くて怖くて、日比谷さんまだすやすや眠ってるから起こすわけにもいかないし、ゴキブリを放っておくわけにもいかないから、颯汰に助けを求めに来たのよ。早く来て!」


 この時俺はどんな顔をしていたのだろうか。

 多分拍子抜けした顔をしていたのだろう。

 

 「えっ、それだけ?」


 あまりにも、予想外の解答につい、言ってしまった。

 それが彼女の逆鱗に触れたらしい。

 顔を真っ赤にして起こってきた。

 青になったり赤になったり忙しいやつだ。


 「そ、そんなことってなによ。いいから早く来て」


 未来に言われるがままに未来と日比谷さんが寝ていた部屋に入った。

 ゴキブリは特に見当たらない。

 多分逃げてしまったのだろう。

 日比谷さんはまだ寝ていた。

 他の人もまだ起きていなかったところを見るに俺が早く起きすぎただけなのだろう。

 確証はやはりないのだが。

 まあ、未来はいつも朝の5時に起きて朝練に行くらしいので、多分今は5時30分くらいだと思う。

 寝た時間が0時くらいならばの話だが……

 余談だが、日比谷さんの寝顔はかなり可愛かった。

 未来に女の子の寝顔をまじまじと見るなと顔を赤くして起こられてしまったが、可愛い寝顔を見れたのでよしとしよう。

 それから数分たった後だっただろうか、俺たちのやり取りがうるさかったのかもしれない、日比谷さんが起きた。

 最初は俺が居たことにビックリしていたが、事情を話すと、“あー、ゴキブリですか、昨日からそういえば居ましたね”と、たいして気にしても無さそうに言っていた。

 対人ではオドオドしている彼女だが、ゴキブリは平気らしい。

 何だか意外だ。

 未来は目を丸くして、嘘でしょという顔をしていたが……

 それから暫くはとりとめのない雑談をしていた。

 中学校では何をしていたか、とか、どうしてこの学校に来たのかとか。

 からかって、寝顔可愛かったなー、と言ったときには文字通り顔から煙が出るくらいに顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。

 未来は起こる気力も無くしたのかただただ呆れていたが……

 30分くらい話すと、未来からそろそろ広間に行こうか、という話になった。

 確かに昨日先生が起きたら広場に集まってこれからどうするか考えようと言っていた気がする……全く覚えていないが。

 

 「んー、じゃあ行こうか」


 「この時間だったら多分一番乗りだよね。私先に行ってるよ」


 そう言って未来は走って行ってしまった。

 やはり陸上部だから1番に執着があるのだろうか。

 未来が出ていった後、日比谷さんと後を追いかけるためにドアの外に出た瞬間だった。


 「キャアァアアアァァーーーーー」


 一時間ほど前、自分の部屋で聞いたような可愛い声ではない、完全な恐怖から出た未来の声が聞こえてきた。

 慌てて広場に行くと、未来がぺたんと座り込んでいた。

 彼女の目の先を見てみると、そこにはゴキブリなんて比べ物にならない光景が広がっていた。

 そこにあったのは、自分で自分の首を絞めるような体勢のまま、心臓を一突きにされて死んでいる先生の姿があった。

 

 Chapter1 END


 生存者 20 [人]

 キャラクタープロフィールno.05 日比谷灯ひびやあかり

 誕生日 11月17日

 血液型 O型

 身長 153cm

 体重 TOP SELECT!!

 引っ込み思案な性格で、友達を作ることが、苦手だが、友達思いの優しい性格をしている、

 また、普段の性格からはあまり想像できないがかなりの、怖いもの知らずで、虫や、魚はもちろん、幽霊などにも恐怖を示さない。

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