グリーティングカード
ぼくの手にある いちまいのカード
きれいな絵の 描かれた
これを いつかあなたに 贈りましょう
あなたのゆく道が このカードの絵のように
うつくしく ありますように
その道程で 良き友に出会えますように
あなたが通る後には 豊かな実りがありますように
まぼろしの理想郷めざし 歩かないあなた
たどり着きさえすれば 幸福になれる そんな場所
あなたはそんなもの 存在しないことを 知っている
あなたは地べたを這い 進むことそのものを めざす
ぼくに用意できたのは
飲むと余計に渇く 甘ったるいソーダ水のような幸福
だけどあなたが欲しかったのは
グラス一杯の 冷たい澄んだ水
あなたは言います
ただ にんげんで ありたいのだと
だけど
誰の付属品にもなりたくない女は 愛されません
それでも あなたは ゆくのですか それでも
生活や人生を象徴する それ以外の何かを
あなたは 探そうと いうのですか
男は 自分が幸せにしてやることのできない女を いずれは憎み始めます
ぼくに あなたの背を 見送らせてください
ぼくがあなたを憎まぬうちに どうぞ
手に入れるか 入れないか
支配するか しないか
ぼくの未熟な愛は 未だそこで 行き止まりなのです
だけど いつか きっといつか
うつくしいあなたを 愛するのではなく
あなたのうつくしさを ただ愛せるようになったとき
所有せずに愛することを 覚えるくらい ぼくが歳をとったとき
たぶん 85歳くらいに なったとき
きっときっと この素敵なカードを あなたに 送りましょう