【卒業試験】婚約破棄
急展開ものです。
「これらの理由によりリーシェとの婚約を破棄!そしてアリアとの婚約をここに宣言する!」
学園の卒業パーティにて声高らかに宣言したのはこの国の第2王子であるリューゲル。
そのリューゲルの腕にすがりつき口元にえみを浮かべるのは一年前に学園に転入してきた男爵令嬢のアリア。
パーティ会場にブザー音が響き渡る
なんだなんだと慌てるのは王子と一部の学生たちのみで他の者たちは拍手喝采喜びの声を上げている。
「アリア大丈夫、だ…」
きっと音に怯えているであろうアリアに安心させようと声をかけたリューゲルは言葉を失ってしまった。
アリアが嬉しそうに満面の笑みを浮かべリューゲルの腕を放しリーシェに駆け寄るのをを見てしまったからだ。
「私やりました!!!やり遂げましたよリーシェ様褒めてくださいませ!」
「ええずっと見させてもらいましたあなたが頑張っている姿を。よくやりましたね偉いですよ」
まるで飼い犬と飼い主のようなやり取りをしている悪役令嬢であったリーシェと悪役令嬢にいじめられてきたアリア。
「どういうことだ説明しろリーシェ!」
何がなんだか分からずついつい大声でリーシェに叫んでしまう王子だが
「…ああ貴方も受験者でしたわね。随分役にのめり込んでしまったようで哀れですわ」
「?どういうことだ説明しろ!」
「アリアと貴方を含む半数の生徒は影武者と諜報員・スパイを志す者たちでこの学園で過ごす最後の一年を最終試験期間として役になりきるのですがのめり込みすぎて自分が本当にその人物だと思い込んでしまい元に戻れなくなる哀れな人が少数出てしまうのです。そして貴方はその少数に入ってしまった」
「そんな与太話信じられるか!私はこの国の第二王子のリューゲルだぞ!」
「この国とは?どんな名前ですか?」
「自分の国の名前も知らないのか!この国の名は 名は…?」
国の名前が出てこず頭を抱え膝をつく
「そういうことです。架空の国の第2王子。私は架空の国の公爵令嬢。彼女は架空の国の男爵令嬢。試験会場であった学園は存在していますが」
「もうやめてあげましょうよ可哀想です…」
「そうですねそれにここまでのめり込んでしまっては廃棄しないと」
「…廃棄とはどういうことですか」
「そのままの意味です。そこまでのめり込んでしまっては今元に戻っても任務でまた同じことを繰り返されると面倒くさいので」
「やめろ!!!!」
「決定事項なので悪しからず。それではごきげんよう」
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