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世界樹の花嫁 ~プラント・ワールド~ 9

   ディナー・タイム~メイン・ディッシュ~


     1 (あぶ)り部屋


 不良グループが入って行った男子トイレからは物音ひとつ響いてこなかった。ボソボソという囁きすらも響いてこない。

 大会の決勝戦が始まった直後、イヨコは破滅への一歩をたどっていた。


 イヨコの能力――太陽光。光を反射する眼球状の物体を空中に設置し、凝縮させた熱射線を眼球の視線の先に飛ばすことができる。太陽の表面温度約六千度。イヨコが全力を出せば、それくらいは可能。


 少し不審に思いながらも、イヨコは男子トイレへと歩を進めた。

 中に入ると、眼の前に白い壁。道は右に折れており、その先には鏡。青ざめた自分の顔が映っている。そのまま進み左手に曲がる。開ける視界。床に横たわる男子生徒たちが眼に飛び込んできた。

 中央にフードを羽織った大きな男。その右手にはひとりの男子生徒が首を絞められ持ち上げられている。

 マントの男から尾? それが大きく湾曲して、男子生徒の背に突き刺さっていた。

 男子生徒は恍惚の表情を浮かべ、口からはヨダレがダラダラと流れ出ていた。その異様な光景に、イヨコは動くこと、眼をそらすこと、時間の意味を忘れていた。

 ゆっくりと首を曲げるフードの男。

 陰から覗く赤い光。それが、イヨコの眼をとらえる。

 ガクガクと膝が震えだす。

 ふと、イヨコの脳裏にマサムの顔が浮かんだ。その瞬間、芯からチカラがみなぎってきた。その勢いを利用して、彼女は外へと駆け出した。

 イヨコの身体は普通の女の子となんら変わらない。身体を変化させる能力者からすると貧弱そのものなのだ。接近戦はご法度。そのため、マサムの暗殺部隊に身をあずけたのだ。

 だから、『逃げる』という判断は正しかった。

 イヨコがトイレから出た瞬間、背後で壁が破壊された。ヤツは男子生徒を投げたのだ。グチャグチャにつぶれた生徒が壁をやぶり、廊下をつっきり、外への窓をも突き破り、そして、下へと落ちていった。

 マントの男が破壊された壁から、ゆっくり、と姿を現した。

 イヨコはそこで背後を振り返った。口元には震えながらも笑みがもれている。

「あんたをこのまま野放しには出来ないわ。死になさい、アンニュイ!」

 正直、本能は対峙せずに逃げろと叫んでいる。だけどイヨコにはそれが出来なかった。生徒会を守るという使命、否、マサムを守るという決意がイヨコの足を止めさせたのだ。

 男が割れた窓の外を見た。そこには茶色でビリヤードの球くらいの眼球が浮遊していた。そして眼が、強烈な光を発したと思うと、その刹那、フードの男は炎に包まれた。

「骨の髄まで燃え尽きなさい」

 眼から放たれた太陽光は、男をつらぬき、壁をも溶かしていった。

 アイツの正体が何だったのか、今となってはわからないが、イヨコはそれでいいと思った。安堵感に、イヨコは大きな息を吐いた。そのときだった。男は死んではいなかったのだ。いや、無傷。フードだけは焼け落ち、彼の素肌を露出させていた。

 全身を黒い骨格で覆っていて、黒光りする尾がユラユラと揺れている。肩甲骨あたりにコブ状のハサミ、眼は赤いビー玉がついているみたいだった。

 イヨコは即座に昆虫を連想した。何かに似ている。

 サソリ。

 サソリと人間を足したような『怪物』は、身体にこびりついている衣類の燃えカスをはたいて落とした。

 すべてを燃やして消し炭にしてしまう太陽の熱、それすらも効かない相手だ。逃げなくては、そう思うが身体が動かない。恐怖に直面し、身体が硬直している。脳の指令が届かない。

 イヨコの脳髄はただ、『警告』だけを発動しつづけていた。


     ☆


 羽生高校を壊滅に追い込んだ『カマキリに似た怪物』は、大通りに出ると、背中の骨格をガバッ開いた。そこから透明な羽が開き、空へと飛び立った。

 方角は東。

 瞬く間に、怪物の姿は見えなくなった。


     ☆


『サソリ』は黒光りする尾をゆっくりと頭上に持ち上げた。先端から突き出ている巨大な針が、まっすぐイヨコを狙っている。

 マサム、ごめん。

 イヨコは瞳をとじた。

「雑魚は引っ込んでろ」

 突然背後から声が響いた。

 振り返ると、男と色白の女。すぐには彼らが誰だかわからなかった。しかし、少し思案するとすぐに思い出した。カノコが警戒していた転校生、ノリムネ。

 ノリムネは首を左右に振り、ゴキゴキと鳴らし、その顔を今度は後方にクイッとやった。逃げろという合図だ。ノリムネの背後にいる女性は誰だかわからないが、白い顔をさらに白くしていて、ノリムネとは違い、ひどくおびえているようだ。

 イヨコは再び『サソリ』に視線を戻し、ゆっくりと下がった。

『サソリ』はターゲットをノリムネに変え、イヨコには見向きもしない。いや、正確にはノリムネの背後にいる女性を見ているようだ。

『サソリ』の口からギッギッという音がもれた。どうやらそれが笑い声らしい。

「こいつが、お前の云っていた『捕食者』か?」

 ノリムネに問いかけられた女性は、コクコクと小刻みに頷いた。

「面白い。どれだけ強いかためしてやる」

 ノリムネの口端がイビツにゆがむ。戦闘狂。それが彼にはふさわしい言葉だ。

 イヨコは彼らから数メートル離れた場所で、足を止めた。薄らいだ恐怖を押しのけ、戦いの行方に興味を持ったからだ。その行動に、イヨコは自分もまた戦闘狂だわ、と微笑をもらした。

「ノリムネ……気をつけて……」

「心配するな、リリ。一瞬で終わらせる」

 その言葉を理解してかどうかわからないが、『サソリ』は指をクイクイと曲げた。

 それを見て怒りを爆発させるノリムネ。

「固そうな骨格だな~。だが、俺の能力には関係ない、タナトス」

 薄い影のような死に神がノリムネの前方に飛び出した。そして、自分の身体よりも大きな鎌を水平にはらった。

『サソリ』は身をかがめそれを避けた。

 イヨコは避けるとは思っていなかった。それで少しだけ驚いた。すべてをはね返す、という自信が怪物からにじみ出ていたので、避けずに受け止めると考えていたからだ。そこから思いつくことは、怪物はとても慎重で、高度な頭脳を持っているということ。『サソリ』が、さらに強大な外敵に見えてきた。

 死に神が大きな鎌を軽々と振り回す――が、かすりもしない。『サソリ』は重そうな身体とは裏腹に俊敏だった。そして、両腕を地につけたとき、肩甲骨に張り付いていた巨大なハサミがグイッと浮いた。来る、と思った瞬間、ハサミはすごい勢いで飛んできた。

 ノリムネの身体をかばうようにして、死に神は鎌を回転させ壁をつくった。

 ピタリと止まるふたつのハサミ。

 それを見てノリムネは大声を張り上げた。

「俺の能力に触れることを恐れているようだな。ということは、お前の精神を直接刈り取ることが出来るということ。一太刀だ。それでお前は死ぬ。俺の能力の勝ちだ」

 そのとき、イヨコは気づいた。

『サソリ』の尾が、床の中にもぐりこんでいることを。

 どうやらリリもそれに気づいたようで、

「ノリムネ! 尾に気をつけて!」と、叫んだ。

 ノリムネが尾の現状を見たとき、彼の足元から床を突き破って飛び出してきた。尾はノリムネの後方から出てきたので前方に飛びのくしかなかった。しかし、接近戦はノリムネの望むところ。すぐさま死に神を自分の前方に繰り出した。それを迎え撃つ『サソリ』。

 緊張の一瞬。

 決着は一閃。

 嫌な予感がイヨコを包んだ。

「アンニュイ」

 ノリムネを補佐するため能力を発動させた。眼球から太陽光が発射される――が、何故か『サソリ』に届かない。見えない壁にはばまれたかのように、何もない空間で熱射線が停止する。

 死に神が鎌を頭上から振り下ろす。

 ハサミを頭の上で交差させ、防ごうとする『サソリ』。

 だが、鎌はハサミを通過して、『サソリ』の身体本体を切り裂いた。

 視覚的には何も変化はない。それもそのはず、ノリムネの能力は相手の精神を破壊するのだ。

 今、『サソリ』の心を破壊した!

『サソリ』は完全に動きを停止させていた。

「こんなもんか。まだ居るんだろ、リリ? 次だ。こんな雑魚じゃ俺の乾きは満たされない」

 ノリムネが振り向き、歩き出そうとしたとき、ドンと見えない壁にぶつかった。

「何だ、これは?」

 ノリムネがパントマイムのように見えない空間に手を這わせる。そして、どうなっているのかを確認するため視線を床に向けた。すると、四隅に『サソリ』の尾についていた針が突き立っていた。見るからに、これは『サソリ』の施した結界だった。

「後ろよ!」

 突然、リリの罵声が飛ぶ。

 振り返るノリムネ。

『サソリ』は脱皮をして難を逃れていたのだ。ノリムネが切り裂いたのは皮。『サソリ』は無傷――が、ノリムネは驚くどころか、むしろ喜んだ。

「いいぞいいぞ、もっと楽しませてくれよ。もう人間相手じゃあ物足りないんだ」

『サソリ』がハサミを高速で動かした。それを鎌で払おうと振り回す。触れられないようにハサミを引っ込め、場所を変えて繰り出す。その繰り返し。音のない攻防。そうこうしているうちに、尾が鎌首をもたげた。もちろん、ノリムネはそれに気づいている。

 次の瞬間、先端についている針が、発射された。

 ノリムネは首をひねり、それをかわした。

 針は空間にグサリと刺さった。

「そんなものが奥の手か? お前にはがっかりだよ」

 ノリムネの言葉が終わったあと、見えない壁に刺さっている針の根元から、緑色のガスが噴出された。瞬く間に結界内に充満する煙。

 リリとイヨコの眼の前で、ノリムネの姿が煙の中に消えた。

 ブルブルと大きく震えだすリリ。イヨコは彼女の肩を抱いた。

「大丈夫よ。まだ、決着はついちゃいない」

 だが、リリは首を振る。

「もう……終わった…………」

 バン! という音が、結界のほうから響き渡った。リリとイヨコの視線が前方を捉える。すると、見えない壁を叩く手が見えた。苦しそうに悶え、壁をかきむしっている。爪がはがれ、血が、十本の線を描く。

「ダメだ。逃げよう。彼はもう終わっている」

 イヨコはリリを抱えたまま走り出した。

 いくら世界樹のちからで能力を得たものたちであろうと、ヤツには太刀打ちできない。

 ノリムネの能力は強力で不思議で強かった。

 そのノリムネでも、子ども扱いされたのだ。

 今は、逃げるしかない。

 あいつと相対するには、数をそろえて立ち向かうしかない。

 そう考えたイヨコは、逃げる選択を選んだ。

「ノリムネなら、勝てると思ったのに。だから、選んだのに……」

 リリは放心状態で、意味不明の言葉を口走っている。

 下へとつづく階段に到達したとき、イヨコはもう一度振り返った。

 煙が薄れ、首筋に爪を突き立てているノリムネが見えた。

 生気を失った眼が、イヨコを見つめている。

 イヨコはかならず仇はとってあげる、と心に誓って、下へと降りようとした、が……ドン! という音とともに彼女の身体がはじかれた。

「結界?」

 それが、イヨコの最後のセリフとなった。

 そして、最後に見た映像は、口を大きく開けた、迫り来るハサミだった。


     2 幻想(げんそう)(もん)


 怪物の容姿は、まるで『ムカデ』だった。

 手、足、胴、身体のすべてが、節でつながっている。グニャグニャと気持ち悪く動く身体に、アリアの背は怖気(おぞけ)立った。

 種を何度も飛ばしたが、はじかれるだけで、身体に付着すらしない。

 アリアには逃げるしか手がなかった。

 どうしようもない。抗うことはかなわない。

『ムカデ』は茶色の骨格に覆われ、口からは図鑑で見たことのあるサーベルタイガーのごとく長い牙が突き出ている。身体は節の連なりで出来ており、そのひとつひとつから、トゲのような短い足が飛び出てモゾモゾと蠢いている。眼は茶色の玉を埋め込んでいるだけのようで、感情というものを感じ取ることは出来ない。

 膝の高さまである水は、アリアの足の自由を奪ったが、『ムカデ』には効果がないようだった。バク転や前転で、自在に、すばやく移動する。

 アリアの行く手を阻むように先回りし、彼女の退路を絶つ。明らかに楽しんでいるようだった。

ふと、『ムカデ』の動きが止まった。あらぬ方向を向いている。不審に思ったアリアは怪物の視線を追った。

湖の端に立つタツアの姿がそこにはあった。寄り添うように、奇麗な女性が立っている。

 タツアはおびえる心を鼓舞し、『ムカデ』から眼をそらさずに、背後にいるルチに尋ねた。

「あいつがそうか?」

「ええ」

「そうか。お前はここで待っていろ」

 タツアがチャプンという音を響かせて、湖に足を踏み入れた。

「そこの女、お前も離れていろ!」

 アリアはタツアと眼が合い、自分に云っているのだと理解し、小さく頷いて世界樹の根元まで退いた。

「さ~て、『捕食者』とやらの実力、ためさせてもらおうか。地球人は、手ごわいぞ」

 タツアはボーリングの玉くらいの大きさの岩を無数に浮かび上がらせた。

その数、三十。

 一瞬でこれほどの数の岩を作り出したのだ。ショウと戦ったときよりも数段、能力がアップしていた。

「ルチが正攻法では通用しない、と云っていたが、本当かどうか試させてもらうぞ」

 いっせいに動いた。真っ直ぐ飛んでいく岩、大きく湾曲する岩とさまざまだった。岩そのものがまるで意思を持っているかのような動き。

 しかし、『ムカデ』は動かない。

 微動だにしないまま、身体中にくらった。だが、砕けるのは岩。『ムカデ』には傷ひとつつかない。

「ま、そうだろうな」

 タツアはそう云って、右腕を上、左腕を下にして前に突き出した。

「こいつはどうだ?」

『ムカデ』の足元がグググと盛り上がった。水の中から巨大な岩が浮上してきたのだ。

「上にも気をつけろよ」

 タツアの言葉に反応し、『ムカデ』が頭上を仰ぐと、空にも巨大な岩があった。

「つぶれてしまえ……ディープ・インパクト!」

 浮いている岩が急降下した。水から顔を出した岩が急浮上した。

『ムカデ』は右腕を上空に突き出した。拳が岩を砕く。それを確認すると次は左腕を振り下ろした。再び岩が砕ける。

 はじけ飛ぶ瓦礫の中を、『ムカデ』はゆっくりと着地した。

 しかし、それすらもタツアは予測していて、四方に飛び散るであろう岩の欠片を、一気に収束させるつもりだったのだ。

「タツア先輩! 怪物の腕が片方、『短くなっている』わ!」

 アリアの罵声がとんだ。だが、何を意味しているのか、タツアにはわからなかった。

 よくよく観察すると、たしかに左腕が数十センチ短くなっている。ちょうど、節のひとつ分――――身体から離れた? 水中? タツアは足元を見下ろした。ゆらゆらと揺れる水の視界は、透明度とは関係がない。波がさえぎっている。危険を回避するため、タツアは自らの足元に岩を作り出し、今度は自分の身体を持ち上げた。

 岩とともに浮遊するタツアだったが、ひと足遅かった。水中から飛び出した怪物の節に左手の小指を攻撃された。

 節のひとつ、それは《小さな虫》だった。脚が四本。中央に小さな黒い眼がついており、口からは細い管が数十本伸びている。

 その管が小指をかすめたのである。一瞬で毒を注入された。

 小さな悲鳴を上げるルチ。

 激痛がタツアの指を走る。紫色に変色し、ボコボコと膨らんできた。

 痛みが腕を昇ってくる。数秒でこぶし全体が三倍に膨れ上がった。おそらくそのままだと全身に毒がまわるだろう。


 今すぐ肘から下を切り落とさなければ!


 岩がふたつ飛んできて、タツアの腕をつぶした。赤黒い血と、濃緑色の液体が、傷口から噴出する。

 顔をしかめるタツア。蒼白になるルチ。

 小さな虫は主の元へ戻り、再び腕の一部に戻る。

 グニャグニャとした足取りで、『ムカデ』は前進する。

 万事休す。

 皆がそう思ったときだった。

 空間から三人の人物が、フッと現れた。

 マサム。アサ。カノコの三人。

「間違いない。この風景です」

「そして、私たちを死に至らしめるのが、あいつって訳?」

 アサは前方にアゴをしゃくって示した。

 マサムとカノコの視界に『ムカデ』が映る。

「どうやらそのようだ」

「ふたりとも気をつけてください。私たちの死体の状態を視るかぎり、おそらく毒でしょう」

 来訪した三人の救世主に安堵したアリアは、すかさず種をタツアに飛ばした。

 種は傷口に付着し、すぐさま成長する。

 タツアが見ている内に、成長を続ける木は腕の形になった。

「義手を作りました。細かい動きは無理ですが、指の開閉くらいは出来るでしょう」

 タツアは一瞥(いちべつ)をくれただけで礼はしなかった。

 『ムカデ』が動いた。ターゲットは新しく加わった三人。もうタツアに注意を払ってはいなかった。そのことに気づいたタツアは、小さな舌打ちをした。ゆっくりと地面に降りる。するとそこに、タツアの身を心配したルチが駆け寄ってきた。


     ☆


「私がサポートします。ふたりの連携で相手をしてください。決して、ひとりで成果を上げようなどと、思わないように」

「いちいちうるさいわよ、マサム。あとは任せなさい」

「考えがある。少し危険をともなうが、まあ、うまくいくだろう」

 そう云って、アサとカノコがズイと前に出た。

『ムカデ』は大きく手を広げた。

 ただでさえ大きな身体がさらに増したような気がした。

 いったい何をするのか。様子を伺うアサとカノコの眼の前で、『ムカデ』の身体がバラバラに崩れた。

「虫になったわ。足元に気をつけて!」

 それがアリアの最後の言葉。

 突然、水中から飛び上がった虫が、アリアの顔に張り付いたのだ。

 視線をアリアに移動させたカノコは、足に激痛を感じた。

「なに――?」

 それがカノコの最後の言葉。

「マサムは下がって!」

 それがアサの最後の言葉。

 振り返ったアサの周りに、水中から姿を現した虫の大群が一気に飛びかかったのだ。

「ああ…………」

 マサムの眼の前で、虫たちが集合し、再び『ムカデ』を形作る。

「地球の命運は――――」

 それがマサムの最後の言葉。


                                         つづく

次からは第二部です。ここまでお付き合いくださいまして、誠にありがとうございます。真相、大破壊、新たなる脅威、が待っています。これからもよろしくお願い致します。

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