「婚約破棄してくれ」と言われたので「よろこんで!」と言って、田舎に引っ越したら好きな人と結婚できました
王宮で行われていたパーティーにて
「ルナ・カルチェア!お前との婚約は破棄させてもらう!!」
会場全体に響くような声で婚約破棄をしてくれと言ったのは、私の婚約者のはずのカナト・アルチェナだ。彼の隣には、レナティア・フェリターナがおり、二人は腕を組んでいた。
ーへぇ、他に好きな人がいるから私と婚約破棄したいと言っているのね。ー
「よろこんで!!」
私は満面の笑みでそう言った。
「やったぁーー!!ようやく、あなたから解放されるのね!カナト様、私と婚約破棄してくれてありがとうございます!レナティア様、彼をもらってくれてありがとうございます!彼の御守りはかなり大変ですので頑張ってくださいね。それではさようなら~」
私はその場を急いで離れた。
「婚約破棄は嘘です」
なんて言われたら終わりだからだ。
私の婚約者、カナト・アルチェナはとんでもない奴だった。彼は、将来家を継ぐというのに本来彼がやるべき業務をすべて私に押し付け、女と遊びまくり、使用人を殴ったり、夜の相手にしたり、挙句の果てには家の金まで使っていたのだ。
私はそんな彼の尻拭いをいつもさせられ、教育も妻の務めだけではなく、当主としての教育もさせられた。そんな私が、誰かと遊んだりできるはずもなく、友達もどんどん離れていった。残ってくれたのは、幼いころからの友人だけだった。その友人たちとは文通でしか話すことができなかった。
私はカナト様をずっと恨んでいた。それは、彼の尻拭いをしてきたことだけではない。彼は私に暴言を吐いたり、殴ったり、パシリにしてきたり、私のことを婚約者として扱ってきたことが一度もないのだ。私をただ、業務を代わってくれる都合のいい奴としか思っていないのだ。
だが、そんな人生も今日で終わった。なんせ、婚約解消を王宮で宣言してしまったのだ。もう撤回などできない。
ーあぁ、カナト様があほでよかった!ー
これから、アルチェナ家は大変だろう。なんせ、当主としての仕事をできるのが私しかいないのだから。(カナト様の父上は、去年亡くなってしまった)多分カナト様は、「誰でも簡単にできるもの」と思っている事だろう。いつも馬鹿にしてきた私ができていたのだからな。
でも残念、いつも馬鹿にしていた私は学園一の秀才と呼ばれていた者です。私の成績はいつでも学年トップだったのです。そんな私だからこそ、妻の仕事と当主の仕事どちらも一緒にできたのです。
そして、今ちょうどアルチェナ家はカナト様がお金を使ったことで破産寸前。そんな時に私との婚約を破棄したので、アルチェナ家はもう終わりだろう。新たに婚約するであろう、フェリターナ家はお金は持っているが、娘は下から数えた方が早いくらいの馬鹿だ。他に子供はいないので、家を継ぐ者がいない。なので、長続きはしないということだ。
これからの、彼らの未来を想像するととても楽しくなってきた。
そんなことを考えていたら、実家へ到着した。
「お母様!お父様!ただいま帰りました。」
勢いよく扉を開けると、二人が出迎えてくれた。王宮で何があったのかはもう知っているみたいだ。
「ようやく私はあの地獄から解放されました!」
「えぇ。よかったわね、ルナ。おかえりなさい。」
「俺たちがもっと早く、あの家の息子がクズだと知っていれば、お前に苦しい思いをさせなかったのに...」
そう言って、お父様は泣いてしまった。
「大丈夫ですよ。今は解放されたのですから。」
「ルナァ~。」
お母様とお父様が私を抱きしめてくれた。
「私、田舎に行きます!私、ずっと緑を育てたかったんです!」
そう、私は緑が好きなのだ。花も木も草もすべてが大好きで一から育ててみたいと思っていた。
「そうね、ずっと言っていたものね。いいわよ。これから王都は騒がしくなるでしょうしね。ゆっくりしてきなさい。」
「そうだな、今まで頑張ったんだ。これからは自分の好きなことを好きなだけしてくれ。この家はお前の弟がどうにかするさ。」
それを聞いて、私は驚いた。
「私に弟ができるのですか!?」
「あぁ」「えぇ」
「やったー!生まれるときにはこちらに戻ってきますね!」
「あぁ。それでいつ出発するんだい?」
「明日です。」
次の日
「本当に今日行くのかい?もうちょっと遅くても...」
「早くここから離れたいんです。すみませんお父様。」
そういうと父が悲しそうな目をした。
「いいのよ。この人のことは気にしなくていいのよ。子供が生まれるとき連絡するわ。」
「はい!それでは行ってまいります!」
それから私は領地の田舎に引っ越し、花や木を育て、緑に囲まれた生活を送った。
4か月後
私は、花屋を開いていた。自分の手で育てるのが楽しすぎて、庭が草原とかしてしまったからだ。
カランカラン
「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
店に入ってきたのはフードを深くかぶった男性だった。
「赤いバラなんてあるだろうか?」
「彼女さんに告白ですか?」
「いや、まだ彼女ではないんだが、どうしても俺の思いを伝えたくてな。この村にいると聞いて、慌ててきてしまい、花がなかったんだ。良かったら彼女の家を...」
そう言って顔を上げ、私を見た。
ー皇太子様!?何故、こんなところに皇太子のレナト様が?ー
「ルナ?君がここの店主だったのか!」
私はとりあえず、赤いバラを花束にして皇太子様に渡した。
ー今、告白しに来たと言っていたわね。私のほかにもこの村に来た人がいたなんて...いいな。私、皇太子様のこと学園にいるときから好きだったのに。ー
私が学園に通っていたころ、私は皇太子様のことが好きだった。皇太子さまは、一つ上の先輩で私と同じ学年トップの成績だった。同じトップということで、よく話していたものだ。
話しているうちにどんどんとひかれて、私は恋に落ちた。
でも、カナト様との婚約が決まってしまい、私は隠れて泣いた。
「包み終わりましたよ。告白頑張ってください!」
私は精一杯の笑顔で花束を渡した。
すると、皇太子さまが片膝をついた。
「ルナ、俺の婚約者になってくれ!!」
「え?」
「俺は、皇太子としてではなく、一人の友として接してくれていた君が、いつも楽しそうに笑っていた君が好きだったんだ!」
私の目から涙がこぼれた。
「嘘。本当に私を?」
「あぁ、泣いてしまうくらい嫌だったかい?申し訳ない。でも、ようやくあんなクズから解放された君が他の人に奪われたくなくて...」
皇太子さまの声はどんどん小さくなっていく。
「違うんです。私も、レナト様と話していくうちに、どんどん好きになっていたんです。でも、カナト様と婚約が決まってしまい、叶わぬ恋だとずっとあきらめていたんです。」
私はどんどん涙があふれてきた。
「まさか、レナト様と両思いだったなんて...」
「ということは、僕の婚約者になってくれるのかい?」
「はい!よろしくお願いします。」
それから数か月後
母は元気な弟を無事出産することができ、弟を見ると同時に婚約のことを伝えた。二人は驚いていたが、とても喜んでくれた。
そして、私たちの婚約発表の場が王によって設けられた。
場所はもちろん王宮だ。
レナト様は少し用事ができたといって、私だけ先に会場に来た。
そこで、あの二人に会った。
「お?ルナじゃないか。」
「あら本当ね。やっほー負け虫さん?アハハッ!」
「・・・あぁ、カナトさんとレナティアさんですか。そういえばいましたね、こんな人たち。」
少しうざかったので、言ってやりました。
ーというか、本当にこんな人たちがいたの忘れていました。ー
「あ?位の高い私に向かって何その口の利き方。つぶしてほしいわけ?」
「つぶせるもんならどうぞ?やろうとするだけ無駄ですけど。」
「本当にお前は俺をイラつかせるやつだな?あ?」
ーこっちのセリフなんですけどー
「お前田舎に行ってたらしいな。俺が恋しくなって戻ってきたのか?だったら悪いな。俺にはレナティアがいるんでな。」
「何言ってるんですか?頭の中お花畑ですか?私が何故、クズのもとに帰らないといけないのですか?」
その話を聞いていた者達が笑い出した。
「お前、自分が俺よりも下の位だとわかってて言ってんのか?あ?」
「ガラ悪いですね。貴族なのに言葉遣いを知らないってどうなんですか?やっぱり、馬鹿ですね。」
カナトの顔がどんどん真っ赤になっていく。
ーあら、煽りすぎてしまいましたか。ー
「もう許さねーぞ、この野郎!!」
そう言って私に殴りかかろうとした。
だがその手は一人の男性によって止められた。
周りからは、うっとりするような声が聞こえた。
「ルナ、あんまり煽るな。いくらむかつくやつでも駄目だろう?」
「あら?ようやく来たんですか?レナト。」
会場に電撃がはしったかのように静かになった。
「お、お前。皇太子を呼び捨てにするなんて、本物の馬鹿じゃないのか!?」
「あなたのほうが馬鹿ではないですか。この場に皆が集まっているのは何故なのかもうお忘れなのですか?」
そういうと、カナトとレナティアは何のこと?という顔をした。
ー本当にこの二人は馬鹿ですね。本当にお似合いな二人ですね。ー
またカナトが口を開こうとした瞬間、国王が出てきた。
誰もが、頭を下げそのお言葉を待った。
「頭を上げよ。」
いっせいに顔を上げた。
「今夜ここに集まってくれたこと、うれしく思う。みなも知っていると思うが、今日は皇太子の婚約発表をする。二人は前へ!」
私たちは腕を組み国王の前出た。
「皇太子レナトの婚約者、ルナ・カルチェア嬢だ!」
あの二人の顔は青ざめていて、とても面白かった。
婚約を発表し終わった後、あの二人は未来の王妃に手を出そうとしたことが問題になり、捕らえられた。
数年後
私たちの間には双子が生まれ、王宮にはたくさんの花や木が植えられるようになりました。




