表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堕天  作者: 中島
9/12

友情

-チャラス-

子供の頃、俺たち5人は河原に捨てられてたって親父が言ってた。それを親父が拾って、男手ひとつで育ててくれたらしい。


俺たち5人は学校に行く金が無かったから、俺以外の4人は毎日学校に行けない代わりに沢山勉強してた。俺は…勉強するのか嫌だったから、毎日外で遊んでた。でも親父はそんな俺を許して、毎日遊ばせてくれたし、俺が賭けに勝ったら一緒に喜んでくれた。


でも近所の奴らはそうはいかなかった。毎日俺を見るたび泥や石を投げつけてきて、誰かがギャンブルに負けた腹いせに殴りに来たりもした。何で俺はこんなに虐められないといけないんだって、泣きそうになった。でも、親父はそんな俺にこう言ってくれたんだ。


「辛い時ほど笑えうんだ。何ともねえって、ハッタリをかましてやるんだ」それから俺は、何をされても泣く事はしなかった。


代わりに、もっとギャンブルで大勝ちしてやったり、石でもなんでも、投げ返してやった。そうしたら、俺の周りから人は消えた。誰も関わろうとしなくなったんだよ。


そして、つまんねえと思いながら歩いてたら、あの空き地に着いたんだ。そこには何もねえ、ただ草が生い茂ってるだけだった。


でも、その空き地で、俺はガルドと出会った。聞いた所によると、ガルドは学校が嫌になって、それでたまたまここまで来たらしい。意気投合した俺達はそれから毎日共に遊び回った。カジノでイカサマをして金稼いだり、レストランで食い逃げしたり、あぁ…今思い出してもいい思い出だな。でも、ガルドの両親はそれを許さなかったんだ。


………

「大丈夫か?」宰が足を止めこちらを向いてくる

「あぁ、少し…昔のことを思い出してたんだ。もう大丈夫」

「忘れ物があったんだ。銃を、取りに戻りたい」


宰は、「そうか」とだけ言うと、街の方へ方向を変えた。


-ガルド-

毎日、学校に行って、勉強して、ご飯を食べて、寝る。それだけ。何も面白くなんかないし、誰とも遊ぶなって言われてたから、学校でも面白いことなんて無かった。


だんだん、自分は影になってしまえば良いって思ってきて、そうしたら、いつの間にか能力スキルが使えた。名前は…影開拓者シャドウウォーカーと呼ぶことにした。でも、親はそんな事より勉強しろって、もっと勉強して、あそこにある大きな街で立派な大人になれって…俺も、そうならなきゃと思って勉強してた。


ある日、その日はいつもと違う道で帰ってみようと思って、空き地を通った時、あいつが居たんだ。名前はチャラス、年齢に見合わぬ黒いスーツに、左目に7の文字が刻まれているような、不思議な目をしている。俺はそこでチャラスと話し、意気投合した俺達はそれから毎日共に遊び回った。でもそんなある日、家に帰ると、俺の両親は俺を殴ったんだ。


「あんな学校にも行ってないような子と遊んではいけません!それに、そもそもこの街では誰とも遊ぶなって言ったでしょ?なんで言ったことが分からないの!?」それを聞いた俺は、思わず家を飛び出した。


家を飛び出した俺が向かったのは、あの、いつもの空き地。そこにいつもの様にチャラスが居た。右手でコインを回して遊んでいる。


俺はいつもの様に隣に座ると、それをするのが自然であるかの様に、静かに、吐き捨てる様に、今日起きた出来事を語った。それを聞いたチャラスは「ふーん…」とだけ言うと、再び、右手のコインを回し始めた。


『裏』

コイントスで裏が出た時、チャラスの連続表記録が34で止まった時、チャラスはこっちを向いて言った。


「じゃあ…居なくなれば良いんじゃねえか?そいつら」

「………え?」


ふと彼の顔を見ると、左目には、7の様な、不思議な模様が着いている。その不思議さに吸い込まれたのかもしれない、あるいは、そうする運命だったのかもしれない。俺は吐き捨てる様に、


             「お願い、チャラス」

と言うと、チャラスは肩に手を置き、何事も無かった様に、コインを回し始め、「今度は50回連続だぜ!」って言ってた。その日は特に何処かに行くこともなく帰り、両親の罵詈雑言を受けながら2階に戻って寝た。


………

ん…?あぁ、寝てたのか、この記憶は、嫌な出来事でも、良い出来事でもない。それに、俺が言ったんだ。だから何をされても文句は言えなかった。でも…それでも、俺の大切な両親を…『殺した』のは、あいつだ。悪いのは全部…あいつなんだ…


-チャラス-

そういえば、気になる事がある。知ってるかは分からないが、宰に聞いた。「俺…さっき武器を持ってなかったのに銃を撃ったんだ。意味分かんねえけど、ほんとだ」


それを聞いた宰は、「なるほど」と言い、こっちに近付いた。

「今、右手には何も持っておらぬ、刀も鞘に入っておる」そう言いながら右手を開いて見せてきた。次に

「だが、ふとした時には、ここに刀があるであろう?」見ると、確かに刀があった。


「何で何にもねえとこから剣が出てくんだよ?」不思議に思い、俺はその刀に触れたが、それは宰の手を離れた途端に消えた。


宰は「これは精神力だ。いわば心の具現化怒りや、極限の集中など、心が最大限パワーを発揮している時に出現する。」と言い、「汝も、これを使えるほど、心が強いのであろうな」と、笑った


心がつよい、か…「いや」今は出せる気がしねえ。ガルド…やっぱり、ずっと根に持ってたんだよ。俺が、帰る所はもうねえんだ。親父も、意味分かんねえし…街の奴らも居ねえ。何で…何で俺は!


気付けば、既に自分の家の前に居た。「行くのではないのか?」宰が首を傾げながらこちらを見つめてくる。「あ、あぁ…すまねえな」とだけ言うと、俺は中に入った。


いつも通り、玄関を上がってまっすぐいきゃあリビングがあるし、階段を登れば俺達5人の部屋がある。……でも、もう誰も居ねえ。毎日リビングで新聞を読んでた親父も、4人で勉強かボードゲームでもして待ってた兄弟達あいつらも。


俺は親父の部屋にある、引き出しを開けると、中には大事にしてた家族写真と、母さんの写真のペンダント、そして俺の銃と弾を見つけた。全部取って家から出ると、宰は空を見て待っていた。


「終わったか?」

「あぁ…もう、帰って来ねえからな…」

俺は言い聞かすように呟くと、宰の後を追い歩き始めた。


森に戻ったと思ってから、しばらくすると、屋敷のような所に出た。見たところ、元はこいつの家じゃ無かったみてぇだが、勝手に住み着いてるように見える。


「この街、森の住人は皆居なくなったのだ。さすれば、我がここを使おうが勝手であろう?」

「…そうだな」

特に何も言わず、俺は宰の後ろを行き、館に入った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ