奪われた自由、そして手に入れた物は…
チャラスとフィオスが病室を出ていった後、仕方なくベッドに寝ていると、しばらくして病室の窓が開いた。「………は?」どう見てもここは三階より上にある部屋だ。なにかの見間違いかと思い目をこすらせてみれば、そこには謎のマスクと謎のスーツを着用した人間…?がそこに立っていた。………何かの間違いだ。今日は早く寝よう。そう思いベッドに寝ると、その人間は俺を持ち上げ窓から飛び降りた。俺がその状況に困惑していると、その人はポケットからUSBのような端子を取り出すと、腰についている謎のベルトの穴に突き刺した。『スプリント!』ベルトが機械音声を響かせると、謎の人は、俺を抱えたまま走り出した。「おい!離せ。お前は誰なんだ?」俺がそう言うも、謎の人間は走り続けた。彼のベルトの影響なのだろうか、脚がとてつもなく速い。しばらくして、俺は何処かの街に着いた。嘘だろ…ここには行きたくなかったのに…
-チャラス-
家に帰ると、親父が帽子掛けに帽子をかけ、ご飯の支度をしてくれた。ご飯を丸い木のテーブルの上に置くと、親父が嬉しそうに話しだした。「今日は久々にチャラスが帰ってきてくれたからな。お前ら、おかずはちゃんと分け合って食べるんだぞ?」といい、テーブルの真ん中に鍋を置いた。今日は俺が帰ってきたから調子が良いのか。まあ良い、6つある座布団の1つに座ると、親父と兄弟達が同じく座った。
ご飯を食べ終え、兄弟達が部屋から出ていくと、俺は親父に問いかけた。「なんであそこまでした。お前のせいでマモスは…」そこまで言いかけると、親父は手を伸ばし、口を塞いだ。「落ち着け、俺も、兄弟達も、誰も殺すつもりは無い。チャラス、明日からは遠出するぞ。俺が久しぶりに車を出してやる」俺は親父に深い憎悪を持ちながらその日は眠りに着いた…
次の日、親父がトラックにエンジンをかけるのに苦戦している中、1番上の兄貴、ナサスに話しかけた。「おい、兄貴、どこに行くんだ?」兄貴は、何も話さず、少し大き目な、何かを包んだブルーシートのようなものを持ちながら助手席に座った。まあ確かに、兄貴は昔から嫌な奴だが、ここまでかよ…?そうして、俺の弟3人と、俺で荷台に座ると、トラックが動き出した。移動している間、他の3人、それぞれ上からゴラス、マガス、スラガスに話し掛けたが、誰一人答えてはくれなかった。俺は何か異様な雰囲気を感じながらも、トラックは止まることは無かった。
トラックが森に入り、少しすると、辺りは紫色の霧で埋め尽くされた。周りはおそらく木しか無いが、何も見えず、少し不安な気持ちになった。そうして、大分霧も深まって来た時、トラックが止まった。兄弟達、そして親父がトラックから降り、俺も荷台から降りた時、眼の前には大きな、そして禍々しいオーラを放っている泉があった。そして、親父が何かを両手に抱き抱えて泉の縁に立った。そのモノとは…
「やめろ!」咄嗟に銃を放とうとしたが、腰には何も無かった。俺が寝てる間に…?いや、それより、あれは…マモス。親父がマモスを泉に投げ込む。そして振り返りこう言った。「君の友達は死んだんじゃない。『魔王様』の生贄になるんだ。」やっぱりおかしい。親父も、兄弟も、あんなヤツじゃなかった。「さっさと化けの皮を剥がすんだな」俺は銃を取り出し、確実に、一人ずつ撃ち抜いた。
-ルセース-
メディに着いていき、歩いていくと、目の前に、テーブルと椅子、そして子供くらいの背丈の、少女と、ニコちゃんマークが描かれた仮面を着けた性別の分からないヤツの2人が居た。そして、少女が嬉しそうにこちらに近づいてくると、抱きついて来た。少女は「やっと来てくれたんだー!まっ…」そこまで言うと、仮面のヤツが手で遮り、「さあ、ルセースさま、おせきにおすわりください」と言った。皆が席に座ると、辺りに電気が付き、テーブルの真ん中にはホールケーキが置かれていた。他の皆がクラッカーを鳴らし、テープがこちらに飛んできた。少女は、席を降り、こちらに来ると、膝の上に乗り、そのまま話し始めた。「私ね!ずっと待ってたの!あ、それでね、私の名前はイーユー!この仮面の子はぬる!私達、ずっとここで待ってたの!でもね!メディと色んな遊びしたりー、ぬるに絵本を読み聞かせたりして楽しかったよ!」そういって無邪気な笑顔をこちらに向ける。ふと前を見ると、ぬるがケーキを切り分けている。「メディさんはたべますか…?」「そうだね…頂こうかな、今日は特別だからね」ぬるは皿を自分以外に取り分けると席に座った。イーユーがフォークを持ってきて、メディと俺に渡してきた。ケーキはとても美味しく、すぐに平らげてしまった。そのあと、メディと4人でカードゲームを楽しみ、お風呂に入り、イーユーと同じベッドで寝た。そうして…明日も…このまま…あれ…何がしたかったんだっけ…まあ…いいか…
次の日、同じようにメディと4人でカードゲームをしていた頃、突然、頭が痛くなった。ぐ…あぁ…記憶…そうだ。
旅をしていたんだ。何故、気付かなかった…それに、なんだこの記憶…これじゃあまるで…俺が…