堕天使の堕ちる街
街に入ってみたが、俺を見ても誰も何もしない。
やっぱり俺がやったとは分かってないらしい。
街の真ん中まで来たところでチャラスが嬉しそうに話し出す。
「さて、犯人は何処に隠れてるかな〜?」
そこでクニサキが提案する。
「新聞にも犯人の情報は書いてなかった。ならば、普通に生きてる可能性もあるな」
3人で固まっている所に1人の警備員が話しかけてきた。「休憩中かも知れないんですけど、すみません。街の外から来た方ですよね?」
あぁ、こいつは確か、毎日そこらじゅうで見つける元気の良い警備員。名前は…マモス…?だったか。
「すまない、街の外から来た場合は何かしなければならなかったか?」クニサキが話し出す。
マモスは元気良く「いえ!あの事件があった後なのに、わざわざこの街に来てくれたんですね!」
「まあ、避けて回る程でもないかと思ってな」
そうして、マモスとクニサキが雑談をしてた時、チャラスが手に大きな果物を持って帰ってきた。
「おい!お前ら!コレ見てくれよ!」
クニサキが呆れたように聞く
「それ、どうやって持ってきたんだ?」
チャラスは自信満々に答える
「賭けで俺が勝ったんだ。俺がギャンブルで負けるはずが無いのにな、ハッハッハ!」
クニサキは呆れながら「はあ、まあいい、すまない、警備員さん。俺たちはこれで」
マモスは元気に
「はい!それじゃ楽しんで!」
俺たち3人は近くのホテルを取り部屋に入った瞬間、クニサキが怪訝な顔で
「おい、お前ら、あの事件の犯人はおそらくあの警備員だ」
チャラスは驚きながら話す。
「なに?あいつの心を読んだのか?」
クニサキは頷きながら「あぁ、お前が勝手にギャンブルした事はこの街では違法だって、その後、とてつもない憎悪を感じた。あいつは恐らく、何かがトリガーとなって壊れた感じだ」
チャラスは自信満々に「それじゃあ、俺がおびき寄せて、仲間にしよう!」
バカなの?あの事件が本当なら、チャラスは確実に死ぬと思うけど…
クニサキが答える
「あぁ、多分死ぬ。でも死なないのがあいつだ。安心しろ」
そうなんだ。死んだらどうすればいい?
「死んだら、さっさと逃げる」
それを聞いたチャラスが急いで「おい!俺は死なねえし、俺が襲われても見捨てんなよ!仲間だろ!?」
クニサキが整理し始める
「とりあえず、あいつは夜に動き始めると思う。それまでゆっくり休め、戦闘になる可能性もある」
とりあえず、その日の昼は休んで過ごした。
そして夜…街の中心にチャラスが立っている。
「おい…俺1人なのかよ…あいつらは!?」
チャラスは周りを見渡し、何も無かった為安心して後ろを振り向くと…
「あ!お昼に会いましたよね?」
マモスが立っていた。血まみれの服で淡々と話し始める。
「ダメですよ、街で勝手にギャンブルなんかしちゃ」
チャラスは恐る恐る「いやいや、すまねえな、知らなかったんだよ」
マモスは淡々と「ふふ、知らなければ何しても許される訳じゃないんですよ?」マモスは鎌を振りかざす
「危なっ!」
チャラスは間一髪で避けた後懐からリボルバーを構え、トリガーを引く。銃弾が発射…されなかった。
「あのバカ…」クニサキが頭を抱え、俺に話しかける
「おい、あいつの援護に行くぞ、着いてこい」
えっ、でも、戦った事なんて、俺…
「大丈夫だ、死なないように動け」
「終わりですね」マモスが鎌を振り上げ、寸前の所で
キンッ!クニサキがナイフで切りかかるも、鎌で受け止められる。「あなたも、僕の敵なんですね?」
「クソッ」クニサキはナイフを構え、マモスと対峙している。
突然、クニサキが叫ぶ
「チャラス!右だ!避けろ!」
ヒュンッ!
チャラスが右に転がると、鎌が空を斬り、地面に突き刺さる。チャラスがリボルバーを構えながら「次こそ当てるぜ…」
リボルバーから今度こそ発射された銃弾はマモスの右腕を撃ち抜き、鎌を落とさせた。
その瞬間俺は咄嗟に鎌を奪い取り距離を取った。
クニサキがマモスに近付き、話す。
「1度、頭を冷やした方が良い」
そう言ったあとチャラスの頭を叩き、叱った。
「お前、また『運試し』しただろ?」
反論するようにチャラスが「大丈夫だぜ?弾が出なかったらそん時はそんときだからな!」
クニサキはチャラスのリボルバーを奪い取った後見せてくれた。
チャラスのリボルバーには6分の1でしか弾が入ってない。俺も静かに、チャラスを殴った。
その時、マモスはゆっくりと話し始めた。
「申し訳無いです。自分が何かに取り憑かれたみたいに、止められなかったんです」
チャラスはマモスに笑いかけ話す
「大丈夫だぜ!俺たちは死んでないしな」
クニサキが何かに気付いたようにマモスに聞いた
「そういえば、鎌はどうやって入手したんだ?」
マモスは不思議な顔をしながら
「いや、気づいたら使ってて、どうやって入手したかは分からないです…」
鎌を手に持ってみた。すると、鎌は溶けるように消えて無くなってしまった。
クニサキが仕切り直し、また話始める。
「とりあえず、今の時点で分からない鎌の事は置いておいて、マモス、お前をスカウトしたい。」
マモスは驚き、話す。「僕は、みんなを殺そうとしたんですよ?それでも、良いんですか?」
チャラスが胸を張りながら「良いってことよ!お前、強そうだし…あ!俺の名前はチャラス、こいつはクニサキ、こいつはルセースって言うんだ、よろしくな!」
マモスに皆を紹介した後、マモスと共に、街の外へ出て気付いた。乗り物が無いことに。
クニサキが話し出す。
「まあ…幸い近くの村までは歩きでも行ける。このまま歩くぞ」
その時、マモスが閃いたように喋り出す。
「あ!僕、馬車借りれますよ!」
マモスは少しの間街に戻った後、馬車を連れて帰ってきた。マモスは「お金なら使ってないので沢山あります!」と言ってた。
チャラスは「これでそこら辺の人に土下座しなくて済むのか…」と言いながら馬車に乗り込む。
呆れたようにクニサキが喋りながら馬車に乗り込む
「そんなことをした覚えは無いが」
俺もすぐに乗り込んだ。今は、仲間が3人もいる。
もう、あの時とは違うんだ。そんなことを考えながら、外を見てたら、出発していた。次は、何処へ向かうんだろうか。