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第2話「王子とほうきと、昼下がり」
その日の掃除当番は、私と──
「……おまえが西廊下を。俺は窓側をやる」
という“名ばかりの共働き”だった。
でも──
「…………」
廊下の奥から、ぱさ、ぱさ、とかすかにほうきの音が聞こえる。
「え、殿下……本当にやってる……?」
思わずのぞくと、制服の袖を少しまくって、黙々と掃き掃除している彼の姿があった。
──絵になるの、ずるい。
でもたぶん、それは言ってはいけないやつ。
ふと、目が合う。
「なに見てる」
「い、いえっ、なんでもっ!」
顔が熱い。やだ、わたしなにニヤけてるの。