第八話 言葉
「はぁーつっかれた〜。」
寮に戻った徹はシャワーを浴びて布団の上で寝転んでいた。
(それにしても、ここって結構な金持ちが運営してんのか?)
コウの国ではお湯というものは珍しい。もともとそんなに暖かい地域でもないため、お湯は需要が高いがそれを普及させるほどの施設は整ってない。
つまりとても高価ということだ。
コンコンコン
誰かがドアを叩いた。
めんどくさいが、一度覗き窓から外を見る。誰かが部屋に来た時は必ず行わなければいけない。
そこには来火が立っていた。
ドアを開ける。
「お邪魔しまーす。」
「はいはい、どうぞ。」
そうしてノリノリで来火が部屋に入る。
「うぇ!?お前すっげー部屋綺麗じゃねえか。」
「別に普通でしょう。」
徹の部屋はとてつもなく綺麗というわけではなく、小綺麗な部屋という感じだ。
「おれの部屋はもう汚部屋さ。」
そう言ってドヤ顔を決める。
「誇ることではないだろ。」
「まあまあ」
そうやってヘラヘラしながら来火は床に座った。
「で、なんでおれが来たか気にならないかい?」
「おう、早く帰って欲しい。」
「ひっどいなぁ。」
もともと休憩しようとしていた時に来たのだ。徹はあからさまに不機嫌な顔をする。
「さっき授業で習った言葉覚えてる?」
「あの魔法の言葉?」
「そうそう。あれどこの言葉か気にならね?」
少し気になってきた。徹はお茶と少しの菓子を出す。
「わかりやすいなお前。」
「うるさい。で、どこの国だった?」
「この国だ。」
そう言ってどこからか本を取り出した。表紙にはタイトルが書いてあるが、異国語で書いてあるため読めない。
「なんて書いてあるんだ?」
「わかんない。」
「じゃあなんでわかったんだ?」
「あ、それは先生がミスったからだよ。」
そうして一枚の紙を出す。
「これは?」
「魔法の言葉。覚えられないから紙に書いてって言ったら、あの先生異国語で書いたんだよ。読めないって。」
「これがで『めでぃうるまるむおるよろとぅせーまる』って読むのか。思ったより短いな。」
紙にはかなり少ない文字数で何かが書かれていた。
来火をみると首を傾げている。
「違うぞ。これは『ヨロウアメディスゥイリルカルホ』だぞ?」
「教えられてる言葉が違う?」
「どういうことなんだ…おれ勉強してみるよ。」
「何も読めないのに?」
「…。」
とくに勉強方法を思いついたわけではないらしい。
「なんとかする。」
「なんとかって、どうやって。」
「先生の紙がある。後誰かに聞いたりして。」
「何か手伝えることはないか?」
「大丈夫。だってお前異国語苦手そうだし。」
「なんで」
「だって発音ボロボロだったし。」
確かに言語系の勉強は苦手なので、ぐうの音も出ない。
「てことで解読してくるわ。」
そう言ってお茶を飲み菓子を平らげて帰って行った。
(嵐みたいなやつ。)
そう思って寝転んだ徹はしばらくして、寝息を立て始めた。