第十二話 公園
昨日の街から少し離れた場所に三人は到着した。
「来てくれてありがとう。」
そう言って凪は木から降りてきた。
「道歩いてこいよ。」
「忌み子が簡単にできるわけねえだろ。ただでさえ怪しい格好なのに。」
そう言った凪の格好は皮の外套を纏い腕はおろか顔すら見えない。
住宅街を歩いた日には子どもは叫び助けを呼ぶだろう。
(いや、木の上もまずいだろ。)
そうは思ったが口には出さない。話が長くなるからだ。
「で、どの子だ?」
「あの公園だよ。」
凪は近くの公園を指差す。
その公園では数名の子どもが遊んでいた。
公園に入ると一人端の木の下で土をいじっている子どもがいた。
「あの子?」
「そうだ。」
そうやって話している横では来火が興奮しながら公園を見ている。「懐かしいわ〜」と言いながら見渡すカスミ先生もだいぶと不審者だ。
子どもは気にせず遊んでいるようだが騒がれでもしたら困るので公園の外で見守ってもらうことにした。
凪はその子どもに話しかける。
「こんにちは。一人で何してるの?」
(あ、俺が話しかければよかった。)
徹の心配通り、子どもは見知らぬ外套を纏った人に話しかけられた恐怖で固まっている。
急いで凪を押し退け子どもに話しかける。
「いきなりごめんね。えーと、お友達と遊ばないのかな?」
(ああああ、んなもん聞くんじゃねえ。)
焦ってとんでもないことを口走ってしまった。
次どう話をしようかワタワタしていると子どもは悲しそうに言う。
「私いじめられてるの。忌み子だから。」
今にも泣きそうな子どもを見て思いついたかのように凪が近寄る。
顔にかかっている外套を少しあげて顔を見せる。
「俺も忌み子だよ。」
「ほら、俺だってツノ生えてる。」
そうやって必死で励ます二人を子どもはぽかんとした顔で見る。
子どもはゆっくり凪の髪と徹のツノに触れる。
「お揃いだね。」
そうして子どもはにこりと笑った。
「私、天野空です。神社の子です。」
「あぁ、天野神社の子か。」
「なんで知ってんの?」
「俺元々ここら辺に住んでたから。」
三人で少し話をしていると、公園で遊んでいた一人の子どもが走ってきた。
「あ、やっぱりイミゴだ。」
そう言ってその子どもは嫌な笑みを浮かべる。
(なるほど。)
ひどく醜いその笑顔で子どもは拳を作り空を殴ろうとする。
急いでその腕を止めて徹は子どもを見る。
「な、なにするんだ。」
「お前こそ何してんだよ。」
腕をサッと引き抜いた子どもは徹を睨め付ける。
徹は特に睨むわけでもなく子どもを見る。
「だ、だってそいつイミゴだぞ。」
「だからいじめていいのか?」
落ち着いた口調で聞く徹は空を庇いながら子どもの前に立つ。
「で、でも母ちゃんが…」
「だから?」
外套の奥から声がする。少し怒りを含んだ声で凪は子どもに問いかける。
今にも泣きそうな顔になりながら子どもは後退りするから。
「おれはわるくない!」
そう言った子どもは走って公園から去っていった。残った子どもも少しバツが悪そうな顔をしながら公園から出ていった。
「何してるの?」
後ろからやってきたカスミ先生と少しワクワクしている来火が公園の中に入ってきた。
「さっきのは何?」
少し青筋が浮かんでいるようなカスミ先生。
(おっと、これはまずい。)
徹と凪は一回りほど小さくなってカスミ先生に叱責された。




