第二十一話 君の仕事
丞の口調変更します。
(俺が怖い…?)
怯えた丞を見る。目が合うとビクッと肩を振るわせた。
(親に似ているのか?)
トラウマの人物に徹が似ているのかそれとも別の何かが要因なのか。自分で考えててもわからないので本人に聞いてみることにした。
「何で怖いんだ?」
「そ、それは…。」
丞は目を泳がせながら口ごもる。
(力のことならイザベラ先輩に聞いたからなぁ。)
そんなことを考えてたら、丞は目をまんまるに見開いていた。
「聞いたんだね!?」
「…うん?あ。」
普通考え事をしてしまった。
(これ全て筒抜けなのか?)
丞はうんうんと頷く。
(ふーん。バーカ。)
「何言うんだね!?」
「おお、本物だ。」
丞の力に感心しつつ徹は元の話に戻す。
「で、何で怖いんだ?」
「お前の内面変なんだね。」
「変?」
「多すぎるんだね。」
(多すぎる?)
後悔や心残り、人格が多い心当たりはない。
よくわからなくて首を傾げているところで丞が話し始めた。
「人格とかじゃないんだね。後悔とかでもないね。」
「違うんだ。」
「これは記憶だね。」
今度は丞から目を合わせてくる。
丞の目が橙色に光る。
「またダメだった。」
「え?」
「静かにするんだね。わかんなくなるんだね。」
「…。」
丞は徹の瞳をじっとみる。何かが映し出されているように見入っていた。
「国、青空、夢、モモセ…。」
何かの単語を呟く丞。
その時、バチッという音がして橙色の目は元の色に戻った。
「大丈夫か?」
「これぐらいしかわからなかったんだね。」
「いや十分。ありがとう。」
丞と目が合う。すると少し怪訝そうな顔をした。
「なんかついてるか?」
「いんや、そんなんじゃないんだね。」
「じゃあ何だよ?」
「お前の目、茶色なんだね。」
「目?」
「いや、何でもないんだね。忘れるんだね。」
そう言って丞は目を逸らす。
(なんだかんだ聞きたかったことも聞けたしいいや。)
そう思って徹はそれ以上考えないようにした。
「さっきは悪かったんだね。」
「何が?」
「根性なしって言った奴だね。」
「いいよ気にしてないし。」
これは本当だ。気にしてても謝ってもらったんだからそれ以上考えてもどうしようもない。
「お前は根性なしじゃなくて、賢いんだね。」
「え?そう?」
賢いなどと言われて満更でもない徹は少し嬉しそうに聞く。
「相手に踏み込み過ぎずに話を聞くってそうできることじゃないんだね。」
「おお。」
多分ベタ褒めしてくれているのだろう。意外とこの少女はツンデレなのかもしれない。
「話は終わり?」
後ろを振り向くと環先輩が立っていた。
(相変わらずいきなり出てくる。)
丞も慣れた様子なのでいつもこんな感じなんだろう。
「じゃあ、作業場に行こうか。」
「徹もだね。」
「いいんですか?」
「だってこれ職業体験だしね。」
そう言って環先輩は笑う。
「イザベラ姐様はどちらへ?」
「作業場じゃない?」
「とりあえずいってみるんだね。」
そうして3人は石守の作業場に向かった。
作業場では、石を持って目を瞑って何かをしているイザベラ先輩がいた。
「…そう。」
何かを呟いているようだが、よく聞き取れない。
「…環?」
イザベラ先輩はこちらを振り向く。
「あら、お話はできましたの?」
「できました。ありがとうございます。」
「これから見学かしら?」
「そうです。」
「ゆっくりしていってくださいな。」
そう言ってイザベラ先輩は微笑み、また目を瞑る。
「イザベラはね、石の声が聞こえるんだよ。」
「石の声?」
「そうそう。彼女の力は結晶と会話することだからね。」
そう言って何かを呟くイザベラ先輩を見る。
「そう、そう。わかりましたわ。」
そう言いながら石を見るイザベラ先輩からなぜか目が離せなかった。




