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しあわせの芥  作者: 柊春希
第一章 学園編
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第十四話 説明

「幸先輩、説明を求めます。」


徹は不機嫌な顔で尋ねたのは、大鷹という人が来火を連れ去ったすぐ後だった。


「すみません。予定ではあと数日後のはずだったんです。」

「もともと話すはずだったと?」

「そうなんです。まあ彼の行動を予測できると思っていた私が浅はかでした。」


幸先輩は申し訳なさそうな顔をして話す。

大鷹という人は無鉄砲な人間らしい。


(なんだかんだ来火と相性は良さそうだ。)


連れ去られて同級生の顔を思い浮かべる。


「大鷹は私と同い年だ。」

「へー。」

「カスミ先生も同い年だ。」

「え」


霧がかった髪を持つ女性を思い浮かべる。


「ほんとですか?」

「間違いなく。」

「でも、どう見てもカスミ先生の方が年上…あ。」

「…。」

「ふっ」


しまった。つい口が滑って言ってはならないことを言ってしまった。

幸先輩は必死に笑いを堪えているが、恵先生はとても不機嫌だ。

表情ではなく何となくそんなオーラが漂ってる。


「恵先生、すみません!」

「うん、大丈夫…だ。」


気まずい空気が流れる。


「えーと、じゃあ説明しましょうか。」


幸先輩が空気を変えようと話し始めた。


「徹くんはこの学園から卒業した時のことを何か知ってますか?」

「…わかりません。」

「この学園から卒業した生徒が就く職は主に二つ、教師か祈守です。」

「祈守?」

「祈守というのは力を使って、コウの国の治安を維持し、暴走した祈りの結晶を管理したりする仕事です。」

「管理ってもしかして…。」

「きっと想像している通りですね。」


幸先輩は少し悲しそうな顔をした。

さっきまで不機嫌だった恵先生がやってきた。


「幸先輩は祈守だ。私はもともと祈守だったが教師不足でこちらにきた。」

「教師不足なんですか?」

「基本外出て力使った仕事したい人が多いですしね。適性さえあれば祈守になりたい人が多いですね。」

「適正とかあるんですか?」

「結晶を管理するんです。そこに慈悲やその他の感情はあってはいけません。冷静に行動できなければ祈守にはなれません。」


(来火は大丈夫か?)


少し心配しながら、徹は自分の将来について考える。


力のわからない、使えない。

よくわからないツノが生えている。

絶対に普通の職にはつけないだろう。


「俺は、教師になりたいです。」

「力がわかれば祈守にもなれますよ。すぐ決める必要はないんです。」

「いえ、俺にはきっと管理はできません。」

「そうですか。わかりました。」


そう言って幸先輩は微笑んだ。


「管理のことは秘密にしてください。」

「来火にもですか?」

「来火くんには別で話が入ってるので大丈夫です。」


幸先輩は恵先生を見る。


「恵くんからは何かありませんか?」


恵先生は少し考える。

チラリと徹の目を見る。


「徹。」

「はい。」

「私には後輩がいる。」

「はい?」

「そして私はここの卒業生だ。」

「じゃあ俺の先輩ですね。」

「そうだ。」


何が言いたいのかよくわからない。

助け舟を求めて幸先輩を見るが、恵先生を温かい目で見守ってるだけだった。


(相変わらず甘すぎる。)


遠い目をしながら恵先生の話を聞く。

どうやら一つ下の後輩が二人いるらしい。

名前は環とイザベラ。

よくできた後輩らしく、恵先生なりに自慢をしていた。


「ご飯だよ〜。」


寮母が運動場のそばまで来ていた。

話し続ける恵先生を幸先輩が嗜めつつ、3人は寮に戻った。

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