恩賞
「ミハエル!!」
「?はい、兄上!」
血相を変え、兄が息をあげながら走ってきた
一緒に運動していた護衛が少し離れ、兄と向き合う
使用人に任せればいいのに当主自らやってくるとは…
「ハァ、皇子様が目を覚まして、ハァ、お前を呼んでいるゲホッ」
「兄上、呼吸が乱れていますので落ち着いて下さい。デスクワークが多いから私と一緒に運動した方がいいかもしれませんね」
「私の事はどうでもいい、早く来なさい」
フフッと笑うと、わしゃわしゃと頭を撫でてくる
ボサボサのまま本館へ向かうとメイドに捕まった
「まぁ、坊ちゃん!その髪型で皇子様と接見はいけませんわ!」
「えぇ〜これ兄上がやったんだよ」
「お髪を整えますからじっとしててください!」
医務室をノックすると中から返事がくる
騎士が扉を開け入室した
「第七皇位継承者、ルーベンス・ララ・ヴィクトワール様にご挨拶申し上げます。私ミハエル・ヴェイロン、お呼びと聞き馳せ参じました」
膝を突き、挨拶をすると「顔を上げよ」と重たい声が響く。あの皇帝と同じ髪色、同じ瞳。少し幼さがある皇子ではあったが自分と20以上離れている腹違いの兄
佇まいだけで皇帝になりうる威厳さも持ち合わせており、支持者が多くいるのも納得の表情をしていた
「そなたが治療を施してくれたと主治医から聞いた。感謝申し上げる」
「当然の事をしたまでです。ルーベンス様、起き上がってはなりません。魔法で回復したとはいえ、まだ安静にしていてください」
「年は離れているが腹違いの兄だ、どうか兄と呼んではくれぬか」
「申し訳ございません、私は皇族を除籍した身の上、私の兄は隣にいるイリーゼ兄上だけです」
「ミハエル…!」
「…そうか、すまない」
イリーゼはハラハラしながらミハエルと皇子を交互に見た。皇子は少し残念そうな様子でミハエルを見つめる
「助けて貰った礼をしたいのだが、受け取っては貰えないだろうか。欲しいものがあれば、なんでも言ってくれ」
「私は本当に当たり前の事をしたまでです。ですが、私が困った時があればお願いしても宜しいでしょうか?」
「…幼いのにしっかりした子だ。覚えておこう」
「お褒め頂きありがとうございます。明日までベッドでお休み下さい」
退室すると、ドッと疲れがやってきた
フラついてしまい、部屋の外で待機していた護衛騎士のラミリアがミハエルの身体を支える
「ミハエル様、大丈夫ですか?」
「うーん、少し…疲れちゃったみたい」
「お部屋までお運びしますね、失礼します」
「頼むよ」
ラミリアに抱っこされ、いつのまにか寝落ちていた
皇族相手に相当疲れたのだろう
起きた時には日が暮れていた




