来賓
思ったより、傷が深かったらしく皇子様はグッタリとした様子で医務室へ直行だった
バタバタと医者やメイド達が慌ただしい中
自分は訓練着に着替えていた
オーギュストと契約している魔術師は普段から別の空間で暮らしており、仕事の時しか関わらない契約になっているそうで実質すぐ動ける魔術師は自分しか居なかった
「ミハエル、本当に治せるのか?」
「兄上、自分も魔力はあるから治せますが、未熟のため基本的な傷は綺麗になりますがあそこまで深いと傷跡は残るかもです」
「そうか」
「我が家の専属魔術師をお呼びになった方がよろしいかも知れません」
「その方は今父上と行動している」
「なるほど…」
皇子様暗殺未遂事件が起きる前に行なっている隠密依頼を遂行している最中に起きた出来事だった。
父上が疑われる可能性が1番高くなるため、今は撤退するように鴉を飛ばしたそうだ
皇子様がいる部屋に入ると背中に大きな傷があり
とても苦しそうだった。政治的にも死なれたら困るのだろう、医者達が全力で治療に取り掛かっていた
「皇子様の出血が酷く、ショックを起こす可能性があります。ミハエル様のご気分が悪くなるでしょうから外でお待ち頂けますか?」
メガネをかけた白衣の若い男性がミハエルと皇子の間に入り遮る
「いや、待ってほしい」
ミハエルがつま先をトントンと鳴らすと黒い影が現れた
〈やぁーーーーっと呼んだか!ぼくちん参上〜〉
「クロ、食べちゃって」
「ミハエル様!?」
どぷんと皇子の身体が黒く包み込む
「ぎゃーーーーーー!!」
悲鳴と共に医者は意識が飛んで倒れ込む
ミハエルがキャッチすると騎士を呼び
空いていたベッドへ運ばせた
「どう?」
〈あともうちょい!〉
周りの人達が見守る中、モニュモニュと黒い影が動く
10分もしないうちにクロが皇子様から離れた
「お疲れ様」
〈僕ちんえらいっしょ!!〉
「うん、偉い偉い。さっきメイドからクッキー貰ったから部屋に行って食べてていいよ」
〈オッケー!何かあったら呼べよな!〉
影があればどこへでも移動できるクロ。便利でいいよなぁと思いつつ、皇子様の顔を拝見した
長髪の赤毛でまつ毛が長く、血色良く穏やかな表情だった
「いつまで寝てるの?背中を確認して」
気絶している医者を叩き起こす
ハッと起き上がった医者は隣のベッドを見た
「血圧異常なし、脈拍正常…呼吸問題なし。体温はまだ少し高い…が、バイタル問題なし。背中の傷はうっすらありますが、ほぼ綺麗です。驚きました」
「クロのおかげだね、あとで果物沢山あげなきゃ」
医務室を後にして中庭に向かう
ミハエルはジョギングを始めた
侯爵家は普段から夜の手紙は鴉、昼の手紙は鳩を使っている。大至急の連絡は赤い紙を使用している




