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初めての野宿


「今日はこの森で野宿する」


「はい、父上」


連れてきた騎士たちがテント設営と料理に別れ各々作業を始める


「坊ちゃん、こちらの森からは気候が変わりやすく、寒くなりますのでこちらを羽織り下さい」


「ありがとう」


黒いローブを羽織り地面に敷かれたシートの上に座る

オーギュストはにっこりと笑い隣に寝転んだ


「ワシと一緒に寝転んで上をみてみなさい」


「え…?」


オーギュストは空に指を差した

上を見上げると満点の星空が広がる


「わぁ…!」


クロが作った空間とはまた違う銀河の空が広がる


「この森は魔物が巣くう場所だが魔法士たちの結界で入ってこれないようにしておる

夕餉の支度が終わるまで少し寝ると良い」


「私をあそこから出して養子にしてくださり、ありがとうございます、父上」


「…そうだな。流れ星が流れている間に願い事を唱えると願いが叶うらしいぞ」


「ほんとですか!」


流星群が続々と流れ、ミハエルの歓喜の声に騎士たちが作業を止め

同じく上を見上げた


この幸せな時間だけは、絶対に記憶に残るだろう

オーギュストのどこか寂しさが残る瞳にミハエルは気づかないまま

願い事を三回唱える


「      なりますように」


その言葉を聞いて、オーギュストは悲しそうに微笑んだ


(地獄が待とうなんて知らずに微笑む天使よ

どうか心が壊れない事を願うぞ)


料理が作り終わり、白い液体と野菜が混じったスープが出される

飲み物は牛乳だ


「これは何という料理ですか?」

「クリームシチューですよ、坊ちゃん」


「温かいうちに食べなさい。ロールキャベツもあるからな」


「はい!」


初めての野宿は楽しい思い出となったに違いない

オーギュストにはサラダ、ローストビーフが出され、ワインで頂いた


夜が明けるころ、フクロウの鳴き声でミハエルは目を覚ます


「ん…?」


パチパチと音が鳴り、ほのかに香る匂いに鼻が反応し、先を見る

焚火の前でマグカップを片手に夜明けを眺めるオーギュストの背中があった

立ち番をしている騎士を除き、他は寝静まっていた


「起きたか」


「父上、寝ていらっしゃらないのですか?」


「睡眠は取ったぞ。少し早く目が覚めただけだ

まだ出発しないから寝ていなさい」


「はい」


再び眠りにつくと、不思議な夢を見た


大人になった私が、誰かの胸に剣を向けている

苦しそうに、泣きながら、愛おしそうに


剣が胸に刺さる瞬間、そこで目が覚める

赤い瞳の青年が自分に向けて声をあげていた

何を言っているのか理解できない言葉だったが怒っている顔をしていた


夢でよかった


起きた時には周りは片付けの準備に入っていた

ミハエルは身体を起こし自分の両手を見つめる


この手は綺麗でいたい


手を強く握る

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