~第7話~
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「俺もお前と冒険者になる。それで、絶対テーヴァの丘に行って、矛を手に入れる!」
元々やりたいことも、なりたい職業もなかった。ただなんとなく、毎日をゴロゴロ過ごしていただけだった。
けど、今日、俺の腹は決まった。昔、子供の頃感じた、あの情熱を思い出してしまった。
ソキウスは驚いた顔をした。目を大きく見開き俺を見つめた。
「なんだよ。なんか文句あるか?」
ちょっと恥ずかしくなった俺は顔を赤らめた。
「いや、文句なんかないよ。けど、、なんか、びっくりした。レニオダスがその話覚えてると思ってなかったからさ。」
(まあ確かに、ついさっきまで忘れていたが……)
「けどさ、、僕も考えてたんだ。本当に自分が何になるのかを……」
「え?冒険者になるって言ってなかったか?」
「僕は冒険者になりたいよ。けど、今日、突然、故郷も、お父さんも失って、いつまでも夢を見ていちゃいけないと思った。」
俺はすごく驚いた。ずっとソキウスは冒険者以外の選択肢がないと思っていた。
「けど、まだ冒険者になりたいんだろ?」
俺はソキウスに確認した。
「なりたいよ、なりたいけど。お父さんを亡くした今だから思った。僕やっぱりお父さんがなって欲しがってた、町役場に務めるよ。」
ソキウスの親父が冒険者になることに反対していたのは知っていた。ソキウスが冒険者を目指すことを、俺と親父さん、二人で止めようとしたこともあった。
「じゃあ、お前は俺と行かないんだな?」
昨日まで完全にソキウスの夢を止めていたのに、今は自分勝手ながら一緒に行ってほしかった。
「レニオダス、君は本当に冒険者になるの?もしテーヴァの丘に着いたとしても、矛に認めてもらわないと、持ち上げることすらできないんだよ?」
「俺が認められないって決まったわけじゃないだろ?」
なんか夢を否定されている感じがして、腹が立ってきた。
「そうだけど、、僕達が使っている人間歴。これは人間が初めて自分達の国家を作った年を、1年として数えてるから、、、今は5840年ってことは、、、だいたい6000年もの間、矛は主を見つけていないってことだよ。」
「ふ~ん。で、それなんか俺達が矛を目指す上で何か関係あるのか?」
俺は本能で動くタイプだから、こういう頭を使う系には疎い。ソキウスが目を見開いて言った。
「初めの5人が神具を授かってから約6000年、この間、矛が主として認めるほどの人が現れなかったってことだよ?それほど長い間現れなかった人材だよ。僕達が選ばれし者である可能性のほうが低いよ。」
まだ理解できない俺は首を傾げた。
「それが俺達が矛を目指す上での問題なのか?どうしてだ?」
「えっと、、、だから、、、矛が僕達のどちらかを主として選ぶ確率はほとんどゼロに近いって話で……」
ソキウスは言葉をつまらせた。俺はこの辺で言いたいことが分かってきた。
(こいつは、可能性が低いから夢を諦めるのか?)
俺はそう思った。そう思うと怒りが湧いてくるのを感じた。そのまま勢いで立ち上がり、ソキウスを睨んだ
「なんでここでお前が弱気になってんだ。確率がゼロに近いってだけだろ?6000年間、誰も手にしたことがないからって、明日、誰かが手にしないことにはならないだろ?」
俺はソキウスに向かってまくし立てた。
「確率が低いとかどうとか知らねーけどよ。俺が選ばれる確率はゼロじゃねーんだろ?なら、十分目指す価値、あるぜ。」
一気に言いたいことを吐き出したせいで肩で息をしていた。またソキウスの横に座り、最後に言った。
「俺は決めたぞ。どれだけ笑われようと、バカにされようと、関係ねー。一度やるって決めたことは最後まで貫き通す性格だからな。」
ふただびソキウスの方を向いた。
「で、お前はどうする?このまま夢を見続けながら一生を終えるのか?一生やりたくもない町役場の高給取りになって終わるのか?」
長い沈黙が続いた。ソキウスはその間、ずっとうつむいていた。
「お前の人生なんだからお前が決めろよ。」
俺は最後に言った。
「ごめん、レオニダス。言い出しっぺの僕が弱音を吐いてどうするんだ、って話だよね。」
ソキウスが長い沈黙を破り、ようやく口を開いた。
「僕も行くよ。当たり前だろ。僕達の夢だったでしょ。」
ソキウスも俺と同じように覚悟を決めたようだった。
「それが聞けたら十分だ。」
俺は笑いながら言った。
色々話していて周りが暗くなっていることに気づかなかった。遠くからドリスが俺たちを呼んでいる声が聞こえた。
「そろそろ行こう。ドリスさんが僕らを呼んでるよ。」
ソキウスが立ち上がり声の方へと足を進めた。
「おう。そういや夜ご飯まだだったな。」
そう言いながら俺もソキウスの後を追って歩き始めた。
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