~第3話~
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威勢よく言ったものの足の震えと冷や汗が止まらなかった。馬に乗っているヤツはまだはっきりと姿が見えないが、やはり、手には長い槍を持ち、全身を鉄鎧で覆っていた。
「クッソ、こんなことになるなら剣を持ってきたら良かった」
昼寝をするために平原へと向かったから当然剣は家に置いてきた。言うならば、素手対馬上でかつ槍持ちと戦わなければならないという状況だ。
こうしているうちにヤツらが近づいで来た。俺が立ち止まったことに気づいてか、ヤツらは馬の速度を緩めた。
ここで俺は初めてヤツらの顔を見た。そして驚愕した。ここまではっきりと目を合わせるとさっきまでとは比べ物にならないぐらいの恐怖心が心の底から湧いてくるのを感じた。
片方は大きく尖った耳に緑の肌、黄色い目、高い鼻、見た目はゴブリンだが通常よりも一回りも二回りも大きかった。
もう片方は皮膚が剥がれ、髪が抜け落ち、骸骨と化した、果たして生き物と呼んでいいのか分からないようなヤツがいた。
「ふぅ~」
俺は大きく息を吐いた。ヤツらは槍を俺に向けようともせず、肩に担いだまま俺を馬上から見下ろした。
「クソが。完全に舐めやがって」
俺はそう呟いた。この最悪の状況下でも俺は舐められるのが気に食わなかった。
骸骨が口を開いた。
「少年よ、我々を見てどうして逃げない?君のお友達はお前を放って逃げたようだが、、、」
低い声で口を動かすだびに骨がギチギチと音を立てた。それを聞いた巨大ゴブリンがギャッギャッと笑った。気色悪い笑い方だ。
「お前人間の言葉が話せるんだな」
自らの恐怖心と怒りを抑えながら、俺は冷静に応答することができた。普通は各種族によって言語が違い、こうやって骸骨なんかと話すことができないのだが、、
「ん?あーまあな。俺は元人間だからな」
骸骨はなんの苦労もないというような素振りで言った。
「元人間ならどうしてこんなことするんだ?お前らのせいで俺の町は……それになんでゴブリン何かと手組んでんだ?」
人の生活を営んでいた経験がある、元人間がこんな残虐なことをするということに、抑えきれないほど怒りが湧いてくるのを感じた。もう恐怖心は一切なかった。
「10年ほど前の戦争で俺は死んだはずだったんだがな、、、気づいたらこんな姿でこの世に帰って来たらしい。俺も詳しいことはわからん」
(詳しいことはわからんってなんだよ)
今にも骸骨めがけて殴りかかりそうな勢いで俺は骸骨を睨みつけた。
こいつらは、目的がなにかも分からないのにいきなり攻めて来て、俺の町を破壊して、今俺を殺そうとしてやがる。
骸骨が巨大ゴブリンに向かって手を上げた。
「悪いが少年、ここで死んでもらう」
巨大ゴブリンが槍を置き、腰に下げていた剣を引き抜く。
「ギャッギャッギャッ!」
巨大ゴブリンの気色悪い笑いが耳をこだました。
(本当にここまでか、、、俺はここで終わるのか、、)
俺は覚悟を決めた。俺はここまでの人生だった。そう思い込むことにした。
「もういいぜ。俺を切れよ」
体の震えは消え、腹の底から声が出た。
「殺れ」
最後に骸骨の声が聞こえた。まるで、時の流れが遅くなったと錯覚するかのようにゆっくりと剣が俺に振り下ろされるのが見えた。俺は目を閉じた。
その瞬間、轟音と爆風とともに俺の体が後ろに飛ばされた。
(何が起こった、、、)
戸惑いの中俺は目を開けた。
「わりーな、坊主。ちょっと勢いつけすぎちまった」
(誰だ、、こいつ)
俺の前にいたのは、さっきまで俺を殺そうとしていた巨大ゴブリンでも、骸骨でもなかった。
そこにいたのは、目を背けそうになるほどの眩い光を放った剣を肩に担いだ男だった。
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