~第2話~
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その瞬間に俺は違和感の正体に気付いた。普段は剣を嫌い、剣術の講義の時しか剣を担がないドリスが剣を背中に掛け必死の形相で叫んでいた。
遠くに見えるアヌファグの町から黒い煙が上がっているのが見えた。俺は嫌な予感が当たったと思った。鈍感なソキウスも流石に気づいたらしい。
「あれ、どうして町の方から煙があんなにたくさん出てるんだろう?」
俺はソキウスの手を引っ張った。何が起こっているのか分からないが、ドリスが逃げろと言ったということは、町では只事でない何が起こっているということなのだろう。
アヌファグの町は小さい。城もなければ城壁すらない、国境近くの田舎の町だ。そこに俺の家がある。家族もいる。
(でもここで冷静さを欠いてはいけない。)
俺は感情的になるのを抑えながら自分に言い聞かせた。
「ソキウス!行くぞ!」
俺はそう叫び、ソキウスの手を引きながら地を蹴った。
「ちょっと待ってよ。行くってどこに行くの?」
混乱状態であろうソキウスが走りながら俺に聞いた。
「東の森に決まってるだろ!ドリスが行けって言ってるんだ。そこが一番安全だ」
走りながら後ろを振り返った。ドリスが後ろ姿が見えた。たぶん俺たちが走り出したのを確認したから町へ戦いに行くのだろう。
「煙が、、ドリスさん町の方に向かって行ってるよ」
ソキウスも後ろをチラチラと振り返りながら走っていた。
「そんなこと気にすんな!今はとりあえず森まで走れ!」
俺はソキウスにそう言うしかなかった。
(そうだ。森までだ。森に行けば家族も友達も、みんないるはずだ。)
俺はそう信じるしかなかった。いやそう信じたかった………
❋ ❋ ❋
もう10分ぐらい草原を走っただろうか。全力疾走したせいで足がおかしくなりそうに感じた。横でソキウスの荒い息遣いが聞こえる。俺よりも体力が少ないソキウスはもっとしんどいのだろう。
「ねえ、レオニダス。町で何かあったのかな?」
泣きそうな顔で何度も俺に聞いてくる。今ので3回目だ。
「わかんねえよ。俺にそんなのわかんねえ。」
俺が考えられる選択肢は2つしかなかった。1つ目は、町全体に影響を及ぼすほどの大火事が起こったということだ。2つ目は、この真っ昼間に町が何者かの襲撃を受けたということだ。
俺は2つ目の選択肢でないことを祈った。だが、薄々2つ目の選択肢以外の答えがないと思うと、背筋が凍るのを感じた。
(これは夢だ。これは絶対夢だ。)
何度心の中で繰り返したか分からない。
「レオニダス、後ろから……」
震えた声でこっちを向いた。
「誰か来る!」
俺は急いで後ろを向いた。馬が2頭こっちに向かっているのが見えた。そして、まだ遠くてはっきりとは見えないが、乗っているナニかが槍らしき長い棒を持っているように見えた。
「ソキウス前を向いて走れ!」
馬と人の足では人の方に余程も分が悪い。背中で少しずつ、だが確実にそのナニかが近づいて来るのを感じた。
(もうここまでなのか?俺はここで死ぬのか?)
そう思うと心臓の鼓動が自分でも驚くほど早くなっていくのが分かった。
「ソキウス!森まであと1キロほどだ!お前はそのまま前を向いて走り続けろ!」
俺はソキウスに言った。
(二人で死ぬぐらいならソキウスだけでも生かすほうがいい。)
格好つける気じゃなく本心からそう思った。
「レオニダスはどうするの?」
それは自分でも考えてなかった。とっさに頭に浮かんだことを口にした。
「俺はここで時間を作る。お前はその間森まで行って戦える人を呼んでこい!」
ソキウスは迷った顔をしたように見えた。
「でも……それじゃあ……」
「いいから行け!」
俺はソキウスが躊躇うのを無視して、ソキウスに怒鳴った。ソキウスは怖気づいたが俺の覚悟を感じたようだった。
「分かった。でも絶対、人を呼んで帰ってくるから。」
「おう!」
俺はそこで足を止め、振り返った。
「来いよ!ケダモノどもが!」
読んでくださりありがとうございます。
誤字、気になる表現がありましたら教えてください。