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ハルバード  作者: ロメロメロ
第1部
2/11

~第1話~

ツイッターフォローよろしくお願いします!

https://twitter.com/romeromero0520?s=21&t=T4FjRuM5DLCW-n-_Gl46xw

 


 どうして、こうなってしまったのだろう、、、


 僕達はどこから道を踏み外したのだろう、、、


 もし、もう一度人生をやり直せるとしたらどこからやり直せばいいのだろうか、、、、


 ああ、あの日だ。


 僕達の運命を決めたあの日に戻りたい、、


 あの何も知らなかったあの平穏な日に、、




         ✼ ✼ ✼





  人間暦5840年


 晴天の空、少し鼻につくようなミモザの香り、耳を澄ませば遠くから小鳥のさえずりさえ聞こえてくる。町から少し離れた平原の、いつもの樹の下で、毎日やっているように昼寝をしようとしていた。


 今日のアヌファグも平和だ。大きなあくびをした。ここで春の心地よい風に当たりながら昼寝することは俺にとっての毎日の楽しみになりつつあった。


「おーい、レオニダスー」


 ソキウスが俺を呼ぶのが聞こえた。ソキウスはこの辺りでは珍しい、青い髪に青い目をした少年だ。俺の唯一の友達でもある。


「レオニダス、起きてよ!おじさんがまた神話の話をしてくれるよ。聞きに行こうよ」


 そう言いながらソキウスは、心地よく寝ようとしていた俺の肩を揺らした。


「うるせーなー、人が寝ようとしてるだろ。こんな気持ちがいい真っ昼間にそんなしょーもないことで俺の楽しみを奪うんじゃねーよ」


 起き上がる気もさらさらなく、目だけをソキウスの方に向け、答えた。折角、寝ようとしてた矢先に起こされた俺は不機嫌だ。


「昼寝なんて毎日やってるじゃん。ウァラクおじさんが神話について話すことなんて滅多にないよ。あの人って他の人達と違ってもっともっと詳しい話を聞けるから聞きに行こうよ」


 (またこれか……)


 内心そう思った。ソキウスはこの国に神話として残っている、デオス神話という神話を信じている。


「おいもういいかげんにしろよ。俺たちはもう14なんだぞ。いつまでそんな話信じてるんだ」


「けど…」

 

 ソキウスは何か言いたそうな顔をした。


「そんなしょーもねー話なんかより来年どうするか決めようぜ」


 ソキウスが一向に変える様子がないので、俺は昼寝を諦めた。ようやく起き上がり、樹にもたれかかるようにして座り直した。 


「来年どうするって………どうするの??」


 何か言いたそうな顔から一転、ソキウスはポカンとした顔をした。


「来年俺たち成人だろ?だから自分の将来、何するか決めねーといけねーじゃん」


 この国では男女関係なく、15で成人する。だからそこで自分の一生を決めないといけないのだ。


「それなら僕はもう決まってるよ!」


 ソキウスがあまりにもはっきりとは答えたせいで、俺は一瞬面食らってしまった。いつもふわふわしていて、何を考えているか分からないような性格をしているが故、少しショックが大きかった。


「僕は冒険者になる!世界を旅して色々な人たち、食べ物、文化を見るんだ。そして僕はテーヴァの丘に行く。今残っている最後の神具である矛をこの手に取ってみたいんだ」


 (なんだよ、、、結局そこに戻るのかよ。)


 俺は額に手を当て、大きくため息をついた。まともな返答が返ってくると思っていた自分を恨んだ。


「なあソキウス、テーヴァの丘も、矛も、デオス神も全部神話の中の話だぞ。勝手にデオス教徒の奴らが昔作った作り話」


 デオス教とはこの国の国教にも指定されている、絶対神デオスを神として祀っている宗教のことだ。


「それが本当に作り話かどうかなんてどうしてわかったの?」


 (ん??いきなりどうしたんだ?)


 普段は温厚な性格で、人に突っかかったりしないようなタイプなのに、今日、初めて俺に言い返してきたことに俺はたじろいだ。


「この数千年間もの間誰も丘に行ったことがない。だから人々はそれを作り話だと言うんだ。けど僕は違う。僕は疑わない、僕はこの目で見たんだ」


 ソキウスは俺から一切目を逸らさなかった。少し怒っているようにさえ思えた。俺は驚きと戸惑いを隠しきれず、下を向いた。


「何を見たんだ?この目で見たんだって、何を見たんだ?」


 俺はソキウスに聞いた。


「えーとね、それはね、、、」


 ソキウスが答えようとしたその時、遠くから馬の蹄の音が聞こえた。どうしてだか分からないが俺は嫌な予感がした。それもとても嫌な予感だ。


「あれ、ドリスさんだ!」


 ソキウスが音の方向を見て言った。ドリスは俺たちの先生だ。6歳の頃から俺たちに読み書きや剣術、農業などを教えてくれた。


「おーい、ドリスさーん!」


 ソキウスが大声でドリスを呼ぶ。俺もドリスの方に目を向けた。


 (あれ、何かがおかしい…)


 ドリスを見た途端に違和感を感じた。


 (どうしてだろう。何かがいつもと違う)


 違和感の正体を考えているうちにドリスが大声で叫んだ。


「お前達、逃げろ!早く東の森に逃げろ!」



読んでくださりありがとうございます。

誤字、気になる表現がありましたら教えてください。

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