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闇小説鍋  作者: 熱湯ピエロ
次元超越世紀末激闘編
5/19

スマホ嫌い

『スマホ嫌い』


 俺はスマホが大嫌いだ。

 憎悪していると言ってもいい。憎い。スマホが憎い。

 自分も交友関係上で使わざるを得ないのが、また憎悪を募らせる。

 俺は絶対スマホになんぞハマらねぇ。毎月の通信量は20MB以下だ、ざまーみろ。

 スマホにハマっている連中ってのは自分がどれだけ情けない状態なのか客観視出来てない。

 『ながらスマホ』で飯を食う、道を歩く、運転する、電車に揺られる……

 あぁ、情けない。情けなすぎて反吐が出る。

 これをやっているのが『いい大人』だってんだから救えねぇ。

 そんな大人の姿を見ながら育った子供がまともに育つと思ってんのか。親である奴にはじっくりとインタビューしたいもんだね。

 そもそもなんだスマホって奴は。

 携帯端末なんてのは電話とメールと地図が使えりゃ十分なんだよ。万能辞書になって、財布になって、動画も写真も撮れて、ゲーム出来て、音楽聞けて、テレビ見れて、仕事探せて、アプリ次第で何にでもなって、ネットもパソコンより便利である必要ねぇだろ!? お手軽すぎんだよ。これ一つで世界が無限に広がりすぎんだよ。訓練もされていない一介の人間が簡単に手に出来ていい道具じゃねぇよ!

 だから、未熟な馬鹿(ガキ)がやらかすのが後を絶たねぇんだ。

 なんでも出来ちまうとな、未熟な馬鹿(ガキ)ってのは自分が利口になった気になっちまうんだよ。

 本当は全然何も出来てないのにな

 そんな馬鹿に悪徳企業はつけこんで。そんな馬鹿を少し賢い馬鹿が騙して。

 自分の行動に責任も持てない未熟な馬鹿(ガキ)から金を巻き上げんだよ。

 なんて哀しい世界だ。

 本来なら未熟な馬鹿(ガキ)でも時間さえかけりゃ勝手に自分の責任くらいは持てる一般人にはなれんだよ。

 でも未熟な馬鹿(ガキ)の状態でスマホ持っちまったらおしまいだ。

 耳障りのいいことばかり言う知らない人間の言葉に踊らされて、性根がひん曲がる。視野が狭くなる。我慢が効かなくなる。

 で、そんな馬鹿共が聞きかじった意見を考え無しにスマホで拡散するから、馬鹿が馬鹿を産む。馬鹿の悪循環だ。

 そんなのパソコンでも同じだと思うか? 全然違うね。パソコンとスマホじゃな、所有率が全然違うんだよ。絶対量が違う。あと携帯性だ。パソコンは親から隠すのは困難だけどスマホは簡単だ。秘匿性の差がダンチなんだよ。それにパソコンは親と共用がほとんどだから馬鹿な真似すりゃ大体気付かれてド叱られる。でもスマホなら一線さえ超えなきゃ気付かれない。叱られもしない。スマホは馬鹿が馬鹿のまま育っちまうんだよ。

 世間が最近何となく息苦しいのはスマホのせいだ。断言してやる。大人も子供もこんな状態だから当たり前だ。

 目を覚ませ。目を覚ませよ!

 どいつもこいつも気にするのはスマホスマホスマホ!

 スマホが無いと生きてけねぇのか? お前等スマホを人質に取られたら、自分の親だって差し出しそうだな? 俺だったら、5000円以上は無理だね。

 そんなスマホに支配される人生がいいかよ。本当、目を覚ませよ!

 あー、許されるならこの世のスマホというスマホを叩き壊してやるのに。

 そうすれば間違いなく世界は良くなるね、絶対。


<よかろう。その願い、叶えよう>


 突如頭に声が響いた。

 な、何なんだ!?


<我は神。そなたに許しを授けよう>


 その瞬間、体がカッと熱くなり全身が痒くなる。

 体を掻きむしると、皮膚が破れ、下から鋭い棘のような剛毛がもりもりと生えてきた。

 ズボア、と音を立てて背中から二本のゴリラのような腕が生える。

 ムキムキチョモランマに筋肉が膨れ上がり、目は馬のように左右に離れ、口は丸くすぼまり、円形に並んだ歯は全てが犬歯のように尖った。

 つまり俺は全身毛むくじゃらで四本腕の異形と化してしまったわけだが、気分はアゲアゲエレクチオン。超すがすがしい。


<これでお前は妖怪となった。最早人の理に縛られる必要は無い。さぁ、思う存分スマホを叩き壊すがいい!>


 俺は興奮してかろうじて股間だけ守ってくれている破れたズホンのポケットに手を突っ込んで自分のスマホを取り出した。

 手始めにまずはこいつを叩き壊してくれる!


 ガチャーーン!


 アスファルトに衝突し、見事バラバラに砕け散るマイスマホ!


「ギョッギョギョギョー!!」


 せいせいしたぜ! と言おうとしたが、変形してしまった口からは奇声しか出なかった。

 まぁいいや。

 人間を捨て去った今、友も家族も法すらも、俺を縛るものは何もないぜー!

 俺は妖怪『スマホコワシ』! この世のスマホというスマホを破壊しつくしてくれる!!!



 妖怪スマホコワシは15人のスマホを叩き壊し、4店舗携帯ショップを襲ったところで警察に射殺された。

 12人はアップルケアに入っていた勝利者(ウィナー)だったので格安でスマホの修理を受けることが出来たが、2人はケアに入っていない負け犬(ルーザー)だったので泣く泣く高額での修理となった。1人はアンドロイドだった。

 妖怪スマホコワシはいつ君の前に現れるかわからない。アップルケアに入って備えよう。


【スマホ嫌い 終わり】

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