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「λが導かれる先はφであることをθは知っている」

作者: 森里ほたる

自分で探し出した答えなのか、誘導された道なのかはθしか知らない。

 僕は相手の心を読むこともできる。


 相手の望むことを理解し、理想通りに行ってあげることなどとても容易であった。この力で嘘を見抜くこともでき、犯罪の捜査にも協力した。


 しかも心を読めるのは人だけにとどまらず、人間以外の動物や生物の声を聞き、心を見抜けることもできた。





 そんな人知を超える能力持ちな僕はあまりにも優秀で、有用で、有能で、異能で、異質で、異常だった。





 当然、そんな人間は世間から乖離するし隔離される。 それはもはやニンゲンの形をした未知の生物に見えただろう。


現在、僕は極秘裏に国指定のとある超高級高層ビルの最上階とその下二階分で生活させられている。しているのではなく、させられている。


 この生活は外にでる自由は無いが、衣食は好きなものを好きな時に入手できるし、ジム、映画館やプール等の娯楽も完備されている。軟禁というか飼いならしというか、そのようなものだ。


 こんな生活を見た人は、一度は味わってみたい最高級の生活と感じるだろうか。それとも実験用のモルモットを連想し、可哀想と思うだろうか。


 いや、僕のことを知っていれば、未知の細菌兵器を隔離しているだけにしか見えないか。


 だが、周りからどう思われようが、僕の人生に僕自身は概ね満足だった。国のサポートとお金やコネクションから、欲しいものすべて手に入り、やりたい事はなんでもできる。国からも個人としては異常過ぎる程の支援を受けている。


 それに、直接会ったことは無いがネット上に親友が一人いる。正直、それで十分だ。


 昔は家族や友達という一般的な人間関係も築いていた。しかし今は全ての縁を、つながりを全て切った。僕と知り合いだったり、面識がある人物は概ね危険にさらされてきた。


 つながりを切った時も、直接会ったわけではないが、何かしら僕に不満や恨みがあっただろう。申し訳ないが、犬にかまれたと思って忘れて欲しい。いや、彼らも早く忘れてしまいたいと思っているだろう。


 ふと、彼らを思い出すと同時に昔の僕自身のことも頭をよぎった。


 昔、国が僕自身の能力について調べた時期もあったが、結局分からなかった。


 血縁関係でいえば父も母も一般的な出生で平凡な生活をしていたし、僕は宇宙人に改造された過去もなければ、何かスピリチュアルな超常現象に巻き込まれたこともない。


 そんな特殊な事情もないのでは、現代科学の力をもってして能力を測定することはできても、発生原因については明確な答えを出すことはできなかった。


 僕自身も僕が何なのか良く分からないとひどく落ち込み、自殺も考えたがなんだかんやで今も生きている。生きることを選んでいる。


こんなことを考えてしまうのは、やはり自身の節目の歳が近づいているからだろうか。

そう、僕はこんな環境の中、明日、二十歳の誕生日を迎える。




***




 誕生日用に用意させたイチゴのショートケーキとミルクレープの写真をSNSに投稿した。本来SNSなんて許されないのだが、「ないと死ぬ」と脅して、かなり特別な処理を施された携帯端末とPCと回線を使いSNSを利用している。もちろん二十四時間の監視付きで。


 僕の投稿に対して、親友からコメントがきた。僕はそのぼっち誕生日を茶化してくるコメントを見ながらケーキを食べた。そして最近のおすすめのノベルゲームについて話し合った。


 その親友との出会いはとあるノベルゲームに関するSNSだった。親友は僕の最推しキャラをコテンパンに叩いていた。久しぶりに僕の心が燃え上がった。


 そこから十三時間ぶっ続けでSNS上で殴り合い、ぶつかり合い、語り合った。人生でトイレにまでPCを持ち込んだのは初めてだった。


 結局、最初の論点からずれて、二人でこのノベルゲームを褒め称え続けていた。あとは自然と何でも話すようになり、友達になって親友になった。


 その時は久しぶりに、本当に単純に、楽しかった。一生直接会うことはできなくても、この親友の存在をしっかりと感じていた。




***




 誕生日から数週間後、何も変わらないいつもの日常、そんな退屈な時間を過ごしていると親友から変なメッセージが来た。


『変あメッセージがみえる』


 焦っているのか、分かりやすい誤字付きで。焦っているような雰囲気を出すパフォーマンスだろうか。仕方ない、その雰囲気に合わせつつ、質問返すと、


『目の前に『Reincarnation in another world』『Y/N』って出てきてる』


 また変な返信が帰ってきた。言っている意味が良く分からない。目の前とはなんだ。が、そのおふざけに乗ることにした。


 僕はせっかくだから行くことをお勧めし、お土産も依頼した。


『いや、本当にみえるの』

『どうしよう』

『怖くなってきた、助けて』


 僕の親友は普段はこんなことを言わない。なんだか普段とは違う振る舞いを感じたので、状況を詳しく聞くことにした。まぁ、おふざけに僕が本気で返事して笑われたとしても、この親友ならしかたない。後で仕返しする事で許してやろう。


 聞いた内容をまとめると、親友は一人暮らしで現在はアパートに一人でいる。入浴後にパジャマに着替えパソコンを起動させようとしたら、目の前に『半透明な』ウインドウがいきなり出てきたらしい。パソコンの画面上ではなく、親友の目の前に。もちろんVRが見えるゴーグル等はつけていないし、虚言癖がある人物でもない。


 そのウインドウにメッセージで送られてきた英文が書いてあったらしい。他に何かないか書かれていないか尋ねると、

「文末にNGT-GSG I.B.って書いてある」


 即座に検索したが、めぼしそうなものはヒットしない。急に湧き出てくる今まで感じたことのない嫌な予感。親友にNを選ぶようにメッセージを送った。 なぜだか急に僕は身震いした。それに鳥肌が立っている。呼吸も浅く早くなっている。


 メッセージの返事を待つ。


 返事を待っている。


 更新ボタンを何度も押している。早く返信しろよ。


 更新なし。更新なし。更新なし……。








 その日、返信は無かった。








***




 親友からのメッセージが途絶えたあの日から三日が経過した。あれから一切の音沙汰無し。


 僕は連絡が取れなくなった次の日には一切の迷いなく、コネを使えるだけ使い、自分自身をも対価として払い、親友のことを調べさせた。


 間違いなく捕まるレベルのお願い。親友の使っているSNSや携帯端末の使用履歴や親友個人やプライベートまで特定させるように脅迫した。そして、結果は直ぐに得られた。


 まとめられたレポートには親友の生後からの個人情報と電子的な使用履歴が細かく報告されており、僕は一通りレポートを確認した。


 やはり何かしらの電子デバイスで通信をしたのは、僕と連絡していた時が最後のようだ。そして周辺の聞き込みと近隣の防犯カメラ等の映像から親友がアパートから外に出たような情報は掴めなかった。


 その情報を得るとすぐに僕は親友が住む県と周辺地域の失踪事件やオカルト掲示板を調べた。が、同じような事件や話は見つからない。そのあとに、最近の他県での失踪事件等を調べたがこれも空振りだ。


 今度はSNSを調べ直してみる。親友はSNSで他にも友達がいるようだ。その友達も親友と連絡が取れなくて心配しているようだ。これで僕だけに見える妖精という線が消えた。


 もちろんレポートから親友が今まででそこに生きてきた情報があるのだが、なぜか親友の存在が急に偽り、虚像、幻のようにまるで本当はそこには無かったもののように感じてしまっている。SNSやオンライン上の親友だからだったのであろうか。



 ……僕は冷たく冷えてしまったコーヒーを一口飲み、ひと呼吸を入れた。


 何が起きているのか全然見えてこない。こういう時には一度落ち着く必要がある。



 今までの情報を脳内で整理する。イメージするのは、白い大きな紙。その中に得られた情報を書き込んでみる。



親友


変なメッセージ


半透明なウインドウ


音信不通


行方不明


SNS


オカルト


異世界


Y/N


都道府県


NGT-GSG I.B.


そして、僕自身



 一息はいて体に力を入れる。僕のやることが決まった。




 パスポートを入手して、親友の元へ乗り込む。




***




 内容を整理してみよう。

大筋としてはSNS上の親友から変なメッセージが来た。その後、親友は忽然と姿を消した。


 まず、メッセージの内容等は無視して、親友が神隠しにあったように消えたことに着目する。このご時世、完全に電子的監視や人の目を盗んで煙のように人が消えることができるのであろうか。


 恐らく、環境や条件次第ではできないことはないのであろう。現に高名なマジシャンも人を想像もしない方法で消し、出現させる。


 しかし、この消滅マジックというものは重要な要素がある。それは消えて現れる本人の協力が必要不可欠になってくる点であろう。


 では、この親友の場合はどうだろうか。親友が本人自身もしくは協力者を得て、姿を消したのだろうか。 そうならば、そもそもなぜそんなことをしようと思ったのだろうか。


 もし本人何かしらの理由で身を隠したい、もしくは驚かせたいなどの意図で行ったのしたらどうだろうか。もしくは、何かしらの特殊な事件に巻き込まれてしまい、抵抗もできないまま連れ去られてしまったとか。


 これは合理的ではない。調査報告書からはそのように明らかに自身に対する極度の負荷や特殊な相手と関わりを持つようなことは見えてこない。また、親友や関係者の資産や所持品も特筆すべき内容はなかった。


 また、薬物の使用経歴もなく、精神疾患を患っていたわけでもない。


 もしも僕を驚かそうとするならば、変なメッセージを送ってSNSでの連絡を絶つだけでよいはず。わざわざ本人が消えさる必要はない。


 そうして誘拐等の事件性があるのであれば、消しきれない痕跡や誘拐を行う理由が出てくるはずなのに一向にでてこない。部屋内部の痕跡や周辺の防犯カメラの映像、それに一切の痕跡を残さないなんて困難だ。


 これらの条件から、親友自身の意思で消息不明になったわけではないと考えられる。

つまり、本人の協力無しで、人や機械の目をかいくぐり消え去ってしまった。


 そんな魔法のような出来事が起こりえるのであろうか。いや、ありえない。これはまともな方法ではない。




 つまり、まともではない方法によって行われた。




 まともではない方法、常識を超えた現象、超常現象。神秘。それらによって起こされた神隠し。異なる場所への転移。だから僕は親友のいた都道府県のオカルト情報が気になった。残念ながら調べても有益な情報はなさそうだったが。


 親友が消えたという結果。消える方法が見つからない現状。親友がいない世界に残された僕。このギャップを埋める。それは『親友が行った異なる場所へのパスポートが必要』ということ。


 当然のことながら僕が言うパスポートは行政の窓口で申請する本物のパスポートを意図しているわけではない。比喩としてパスポートと呼んだに過ぎない。親友が姿を消した先へ向かうための旅の券としてそう呼んだ。


 では、この場合のパスポートとはなにか。どうやって手に入れるのか。このパスポートでどこへいくのか。これは非常に難しい。それとまず考えなければいけないことがある。




 パスポートを使ってどうやって異なる場所へ行くのかだ。




 が、それは明白だ。それは親友が消えた方法を使う。


 この方法に名称がないので、仮にXと呼ぶことにしよう。Xは残念ながらどのような方法なのかは分からない。しかし、一つ言えることがある。それは親友を実際に異なる場所に移動させたという事実をこのXは持っている。


 これがすべてであり、その実である。まぁ、Xのイメージは透明なワープ装置であるとしておこう。


 Xを使うことで異なる場所へ行ける。合わせて考えるのは、どこにあるのかとどうやって使うのかだ。


 もちろん、この世にXのようなワープ装置や瞬時にどこにでもつながるドアが、道端にも家電量販店にもオンラインショップにも置いてあるわけではない。さらにそんな存在しないものに対する使い方や説明書なんてものもあるはずがない。



 一見すると八方塞がりな状況である。



 入れ直してきたコーヒーを飲む。……昔は微糖が好きだったのに、ブラック派になったのはなんでだっけかな。


 息を吐き、見方を変える。


 親友はXの使い方を知っていたのか。知っていた場合、どこからその情報を入手できたのか。知らなかった場合、どうやってXを使ったのか。


 前者はレポートから読み取れないため、考察は不可能。後者も決定的な証拠はない。ここは仮定するしかないだろう。




考える。

X。




 Xに限らずこの世にある何かしらの利用目的のある物は、利用者が利用できる形でできている。使いこなせるかではなく、使えるかどうかという話だ。


 そういうものは、説明書なんてなくてもある程度のものは使用できる。正規の使用方法がわからなくて、性能を全部発揮できないかもしれないが何かしら動作することは多いだろう。


 ただ、Xが実在し、ある程度簡単に使えてしまうならば、この世界は消息不明者で溢れてしまうだろう。現実はそのようなことはない。


 つまりに何かの条件や環境が満たされている状態が必要である。 親友はその何かしらの条件が満たされていたため、Xを使うことができたとする。



 これが"パスポート"。



 この世にはXが存在しており、パスポートがある人だけが使えるのではないだろうか。これが最初の疑問に対する答えになる。




 では次にパスポートはどうやって手に入れるのかだ。


 Xを使用した親友。親友が残した情報から条件を出し、その条件を満たす行動をすることでXを使用できる。


 しかし、これは残念ながら非常に困難である。情報が少なく、更にルールも不明なものの条件を満たすことなどできるわけがない。砂漠に落ちている一粒の砂金を見つけるようなものだ。いや、どれが砂金化もわからない状態なのだから、もっと困難であろう。


 それに加えて時間的な制約等があれば、同じ条件でもすでに失効しているかもしれない。まさにパスポートの有効期限というところか。


 次に失踪や神隠し等で行方不明になった例をもとに何かしらの共通項を出し、それを模倣することで親友のもとへ行く方法。これもやはり難しい。


 親友以外にも神隠しにあった人がいて、それぞれの共通点を探りだす。無限に出てくるであろう共通点から答えとなる共通点を見つけ出すのは困難だ。


 他には、神隠しから帰ってきたとされる人物もしくは死んだはずなのに蘇った等々の人物に親友が消えた時の情報を伝え、何かしらの情報を得る。これはもう検証済みだ。


 実際にそのような経験のある人物にコンタクトできたが、めぼしい情報は得られず。SNSで親友と交友があった人物にも情報を得ようとしたが、突然連絡が取れなくなった程度の話しか出てこない。


 つまりこれらの考えは合理的ではない。だから僕はこの方法をする事にした。






 "NGT-GSG I.B.に直接連絡してパスポートを発行してもらうこと"






 どのような媒体でもそうだが、何かしらの組織・団体・個人が名前を残す理由はなんであろうか。それはその媒体や内容に責任を持つ・担当を明確にする等理由はたくさんあると思うが、基本的には連絡先としての役割も持っていると考えられる。


 つまり親友が言っていた「『半透明な』ウインドウ」に記載があったNGT-GSG I.B.にはなんらかの手段で連絡がとれるようになっているはずである。


 また、記載が日本語ではなく英語で書かれていた点も日本人向けではなく地球人向けに向けて作った文章なのではないだろうか。そう考えると、地球人側からのコンタクトも考慮した文章と考えられる。


 もし地球以外の知的生命体や異世界で地球向けの旅行ガイドブックがあれば、[地球:公用語 英語]みたいな書き方をされているのかもしれない。


 他のアイディアとして、国の上層部レベルではこのNGT-GSG I.B.と秘密のやり取りや取引があり、英語でのやり取りができる実績があると考えることもできる。


 もしそのような正式なルートがあるのに、一般人が急にいなくなるような状況は交流上大きな問題である。であれば、この可能性は低いだろう。



 まあ、どんなに考えたところで、進まない。まずは試してみよう。それと残った最後の疑問である行く先は着いたらわかるだろう。



 次の行動を起こす直前、脳の奥が一瞬刺すようなわずかな痛みと熱くなるような感じがした。


 起きていたはずなのに、なぜか今目が覚めたような感覚に陥っている。両手を掴んでは握りしめては開く。繰り返す。


 そこで気が付いた。








 ……僕はなぜそんな異常を普通に受け入れているんだ。








 なぜ僕はこんな荒唐無稽なアイディアをさも当然のように受け入れているのだろうか。確かに調べ尽くした結果から、"あたかも神隠しにあった"ように見えるのは確かだが、それを素直に信じて超常現象が起こったと当たり前に受け入れている。


 状況をより分析すれば、超常現象以外の可能性も出てくるはずなのに、なぜか僕自身が超常現象やXの存在を意図的に肯定するような考え方をしている。


 疲れているのか。現実から目を背けるために僕自身に都合の良いような解釈で進めているだけなのだろうか。


 そう思うと、急に熱が冷めた。夢から覚めた。心が沈んでいく。


 これは間違っている回答だ。


 僕はどうやら何か変な方向に突っ走っていたようだ。早く結論を出したい。自分の論理が間違いだったという終止符を突き付けて惰眠を貪ろう。


 この親友のことを考えすぎて食事と睡眠がおろそかになっていた。親友の情報や人材を動かしてもらうために、僕自身も大きな代償を払ってしまったという後悔に苛まれる。


 ただ、最後の最後で変な未練を残してしまわないようにやろうとしたことだけはやっておく。


 失敗することを確かめるためのだけの検証。


 存在しないものに連絡を取るには、存在しないもので連絡をとる。 イメージするのはノートパソコン。


 自分の脳内にしかないノートパソコンをブラインドタッチで文章を作り上げていく。 親友の元へ行く許可が欲しい旨を英語で書いた。文章の宛先はNGT-GSG I.B.。僕自身、自分のしていることが異常であると感じている。早くベッドに倒れこみたい。


 最後に文章を送信した。脳内で作り上げた架空のPCのenterを押して。


 押した直後、なんだかすごく疲れを感じた。早くベッドへダイブして起きたらアイスクリームが食べたい。色々な事を考えながら目をつむり、ゆっくり開いた。








 ……なぜ目の前に”『半透明な』ウインドウ”が現れているのか

『Reincarnation in another world』『Y/N』








***




 本当に入手してしまったパスポート。


 これは現実なのだろうか。


 そもそもなぜ僕以外には情報的に解けないような状況だったのに、奇跡的に答えに辿り着くことができたのか。


 この情報はおそらく僕にしか送られていない。 僕にしか親友が消えたことが分かるわけがない。不可能なことが可能という見えない橋を架けられていて、そこを進んでいるように思えてしまう。


 つまりは、これは奇跡でも偶然の連続ではなく、推測と読みの先に生まれた必然的な結果ということだ。




 親友によって作られた奇跡。




 僕はぼーっとした頭で考える。


 親友は僕と一緒に異世界転生をしたかったんだと思う。ただ、何かしらの条件か何かでこんな回りくどい誘い方をしたのかせざるを得なかったかという感じか。


 仕方がない、正直こんな面倒な招待は受けたくない。でも、親友からの頼み事なんて初めてなんだから、誘いに乗ってみたくなるじゃないか。とりあえず会ったらなんて言ってやろうか。


 あと、もう一つの謎である、『なぜ僕はこんなにも親友を探すことに執着しているのか』は会ってから考えることにしよう。


 では行こうか、僕はYを力強く選んだ。






 その瞬間、その部屋にいたLambdaは部屋から消えた。






END

Thanks so much for your reading!


主人公よりも先に読み解けた方はぜひ教えてください。

総合評価50ptいきましたら、転生後のお話を執筆します。

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