9話 部室の中
俺はこの世界に夢を見ている。世界という【場所】に思いを馳せているのだ。
うららかな陽光さす朝、学校の廊下で高校生達が教室へと歩いていく。そんな中で、俺たち二人は文芸部のある部室へと歩いていく。隣にいる凛は完璧な少女である。【数学オリンピックの日本代表】こそ逃したものの、【いいところ】までいったという【実績】がある。本人の弁を借りれば【名誉ある辞退】という事になっている。そして頭の良い私立高校であるココでも学年トップを維持している。
しかし……ご覧の有様だ。
酒に酔い潰れてだらしない姿を無様に晒している。彼女のこんな姿を見てしまったら彼女に恋する男子生徒、いや女子生徒までもが夢から醒めてしまうだろう。
文芸部、部室は図書室の隣にある。図書室で本を借りてすぐに文芸部の部室に入れるから便利なのだ。俺は部室の鍵を財布の中から取り出すとドアノブに差し込みガチャりとまわしドアを開ける。
部室の中は長机が2つあってスチール椅子が6つ程並んでおり、その机を囲むように【本棚】、あとはホワイトボードや炊飯器、冷蔵庫、電子レンジ、台所のような炊事場までもが並べられていた。恐らく誰かが私物を持ち込んだに違いない。カーテンの奥は【畳み】になっており蒲団と毛布に枕が上に乗せられている。
凛は冷蔵庫から【冷凍食品】を取り出すと電子レンジをスタートさせた。食器棚から食器を2枚取り出して割り箸も2膳取る。それを自分の前に置いた後は俺の前にも皿と箸を置く。
「学校は昼から行こう」
「マジか…」
「うん」