3話 文芸部
俺と妹の凛は【文芸部】に入っている。
陽キャのサッカー部から陰キャの文芸部へ
だがその方が俺の性に合っているのかも。
文化と芸術の部であり文が先につくので、小説や詩などの文系部活のようだが実際は、絵や漫画など芸術をしていても良いのである。(顧問の先生も理解してくれている)
基本的に中学・高校・大学にはある部活である。
学校にもよるのだが、ハードな練習をしなければならない運動部に比べれば、かなり楽な部活の部類に入ると言える。やりがいを感じたいためには、少し物足りないかもしれない。とりあえず、作文用紙に何か書いていればそれが活動になるし、絵や漫画を書いていても良い部活だったりする。
ここは【文芸部の部室】、傍らに座っている男が驚いて聞き返してくる。
「航、妹と本気交際してるってマジ?」
男は俺の親友の保科誠志郎だ。
「マジだ」
「なるほど。時代が変わったんだな。コロナが全部変えちまった。人の生き方もだ」
そういう話じゃないと思うんだが
「違う。違う。誠志郎。俺が異常なだけだ」
「その話はひとまず、置いておいてだ。文芸についての話に移ろう。俺は創作ではなく主に作品を批評する側の立場を取っている人間だ。エロ漫画において、『妹とセックスする』という描写が見られる。いやそれを『主目的』としている作品がある。あれについての意見を聞かせて欲しい。どうだ?妹と付き合っている、『航』から見て」
俺は指組みをして顔をしかめた。
軽蔑した表情がありありと浮かんでいる。
「上等な料理にハチミツをぶちまかすような行為」
「よし、理由を聞こう」
「こないだやっていた【髭をそる、女子高生を拾う】というアニメがあっただろ?タイトルは正確じゃないかもしれない。アレは女子高生とエッチをしたいという事ではない。つまり、三十路近いリーマンのおっさんが、女子高生と本気恋愛をしたいという読者の願望を満たそうとしたのだ。だからこそ人気が出たのだろう。【本気恋愛】がいいんだ。俺は妹を性的な目で見ているわけじゃない、性的な関係を持つ事が目的ならもっと興奮できる素材は無数にある。本気恋愛として日常を切り取ったものだからこそ【妹モノ】は映えると言っていい。つまり、妹とセックスするエロ漫画では【ヌけない】し【ヌかない】。もちろん父子相姦モノもだ。叔父と姪なら良い」
「よくぞ、辿り着いたな。サッカー部の元エースがここまで来るとは。俺は嬉しいぞ。航」