この戦いは初陣です!
「アカネ?魚って木に実るものなの?」
森の外へ向かう途中、木になっていたことを問う。
「一部はね。大体の魚は、海に住んでるんだけど、なぜか一部の魚だけは、木に実ってるだよね・・・・・・。そこについてはいまだに解明されていないのよ。」
「そうなんだ・・・・・・。」
まあ、確かに解明されようがないよね・・・・・・。共通性って言ったら、あのくだらない部分だけだしね。
そう考えていると、アカネが突然。
「みんな。止まって」
という。
アカネの目線の先には、大量の魔物の群れがいた。
「あ、あれって・・・・・・」
「魔王軍よ」
その言葉で、体に緊張が走る。
「ど、どうしますか?」
「幹部はいないし、決まってるでしょ」
アカネはそういう。俺は意味が分からなかったが次の言葉を聞き、驚く。
「魔王軍撃退よ」
まじか。
少なくとも百体以上はいる感じなのに、大丈夫なのかな?
「みんな。準備はいいわね」
「「「はい!」」」
その言葉に、俺を除いた仲間たちはためらいもなく言う。
そして、剣や槍を構え、一人は、魔法を唱える。
・・・・・・全然良くないんですけど。ていうか無理ですよ? だって俺、バリバリの初心者だよ?
「ユウサクもいいね」
これ、やらないといけないやつだ。
「あっ・・・・・・」
・・・・・・やるしかない。
「はい!」
俺は覚悟を決め、剣を構える。
「私がスキルを放ったら、一斉に攻撃してね」
アカネは、そう言い剣を構える。
「サード・パワーオーブ!」「サード・スピード」「サード・プロテクト」
準備が整った俺たちに魔法がかけられる。
支援魔法だろうか。どこからか力がわいてくる。
少し重く感じていた剣が、紙切れのような軽さに感じる。
「ふうぅーー」
アカネは、息を整え、敵を見据え。
---その瞬間。
周りの空気が一変する。
アカネが持つ剣に、淡く光る気体が吸い寄せられる。
この世界に来て間もない俺でもわかる。
-大技を放つきだ。
剣がまぶしく輝き、あたりを照らし、その光は、あたり一帯を包み込む。
魔王軍はその光に気づいた瞬間、顔を青くして逃げ出す。
アカネはそれに向けて、剣を振り、スキルを放つ。
「エクスカリバー!」
剣から大量のエネルギーが放たれ、一直線に飛んでいく。
地面がえぐれる。それに巻き込まれた魔王軍の手下たちは、跡形もなく消し飛んでいく。
「さあ。今よ!」
その言葉を合図に俺たちは飛び出し、魔王軍を撃退すべく、攻撃にかかる。
「収納!」「収納!」「収納!」
俺は、落ちていた剣スキル≪収納≫で片っ端から収納していく。
先ほどの魔法のおかげで、いつもより素早く動くことができる。
「やっぱり魔法もスキル≪収納≫もすごいな」
そう呟いていると、三体の敵が俺に突っ込んでくる。
俺は素早く三体の敵に剣を振り下ろし、その死体と化した敵の手から剣を奪い収納する。
「後ろ!危ない!」
タスクの声で俺は後ろを振り返る。
そこのは俺に県を振り下ろそうとしていた敵がいた。
剣が振り下ろされる。
俺はそれを避けようとせず、剣に触れ収納。そして、攻撃してきた敵の体を、剣で二つに割る。
それを見て、単体で攻撃したらダメだと思ったのか、集団で突っ込んでくる。
「くっ・・・・・・」
どうしよう。さすがに大量すぎる・・・・・・。
あっ。そうだ。
俺は、突っ込んできた大量の魔王軍に対して収納されていた剣を一斉に≪射出≫する。
射出された剣は一直線に飛んでき、魔王軍の手下の胸や頭に刺さっていく。
「ッ・・・・・・!」
その光景を見て、周りの魔王軍の手下たちは、驚きの表情を露にする。
そして。
「龍流剣!」
アカネがスキルを発動。アカネの剣の周りに龍がまといつく。
そしてアカネは、別のスキルを放つ。
「雷撃剣!」
その瞬間、稲光とともにアカネの姿が消えた。
そして瞬きをした瞬間、別の場所にアカネがいた。
「えっ・・・・・・。瞬間移動?」
俺は、不思議さのあまり声を漏らす。
アカネは左右に剣を振り、再度剣を構える。
それと同時に、その場にいた大半の魔王軍の体には、雷のようなものが走り、真っ二つに割れる。周りに鮮血をまき散らしながら崩れ落ちる。まき散らされた血は地面を真紅に染める。
そこにいた残りの魔王軍は、絶望に陥ったような顔になる。
遠くには、アカネや俺以外の仲間たちが倒したであろう、大量の魔王軍の死体が転がっていた。
つまり、この場にいる敵達が、最後の生き残りなのだろう。
その生き残りにアカネのスキルが放たれる。
「エクスディション!」
その瞬間、俺たちが遭遇した魔王軍は全滅した。