この俺は初めて死にかけたのです!
「どこかな。ここは?」
限定グッズを買うため、俺は玄関から外に出たのだが、出た先はいつもの町ではなく。俺は、だだっ広い平原の真ん中にいた。かすかにだが遠くに城壁と王城らしきものが見える。
(‥‥‥えっと‥‥‥どこかな本当に。いったん家に‥‥‥)
そう思って俺はいったん家に戻ろうとするが。
「あれぇ? 家はどこに行ったかな?」
俺は戸惑いながらも、現状把握のため辺りを見回す。
(周りには平原が広がってて少し遠くには森があって、後は‥‥‥すぐそこにオークの姿が・・・・・・)
・・・・・・。うん? オーク? まさかね。
見間違えだと思い、目をこする‥‥‥が。そこにはまだオークがいた。
「えっと・・・・・・どちら様で・・・・・・」
「ウガァァァァアあぁぁ」
「ひやぁぁぁぁぁぁ!」
猫耳ついてるんだけどこのオーク。
俺は恐怖のあまり走り出す。
「だ、誰かー!誰か助けてー!このまま童貞のまま死にたくないぃー!」
そう言った瞬間、俺は思いつく。
そう、俺はずばり異世界召喚された。ならば、攻撃系のチート能力だったり持ってるんじゃなないかと。そして、今こそそれを発揮する時だと。
そう思っていた俺はあることに気づく。
「あれっ。視界の上にある、固有スキル【収納】ってなんだ?」
気になって、そちらのほうに意識を集中させると。
「えっと・・・・・・なんだって?固有スキルとは、世界に一つだけしかない唯一無二のスキル。固有スキルは一人一個しか持てない。」
つまり、俺はこの【収納】ってスキルしか使えないのか。ちなみにこの【収納】っていうスキルはどんなスキルなんだ?
「【収納】:生命体以外のものを、制限はあるが、なんでも収納できるスキル。【召喚】か【射出】を使うと、収納したものを取り出すことができる」
・・・・・・。
便利なんだけど・・・・・・でも攻撃力がないから、今この状況はどうにもならないんだけど、日常生活でなら便利なんだけど。
「ッ!」
俺は、小さな石につまずいて転んだ。
気づけばすぐそこにまでオークが迫っていた。
「あっ‥‥‥ちょっ‥‥‥」
死んだわ。大剣で真っ二つにされるか首ちょんぱされて死ぬわ。
俺に大剣が振り下ろされる。太陽の光が大剣に反射する、その光は俺の視界を埋め尽くす。
その瞬間、走馬灯が見える。
あぁ・・・・・・。俺ここで死ぬんだ。死ぬ。
死ぬ。死ぬ・・・・・・。死・・・・・・。
死死死死死死死死----
その瞬間、ふと【収納】の能力を思い出す。
(イチかバチかこれにかける!)
「はあぁぁぁぁ!」
喉から声を振り絞る。その雄たけびにも聞こえる声はあたりに響き渡る。
『死にたくない』その一心で、俺は賭けに出る。
「スキル【収納】!」
自らに振り下ろされる大剣に手をかざしながら、そう叫ぶ。
すると。
大剣は俺に届くことはなく、オークはバランスを崩しその場に倒れこむ。
「や、やった・・・・・・。まずは助かった。」
そう、【収納】の能力で、振り下ろされていた大剣を収納することができたのだ。
「次は・・・【召喚】!」
そう言った瞬間、俺の手元に、先ほどまでオークが持っていた大剣が現れる。
そして俺は、その大剣をオークに振り下ろす。遠心力が加わり、強烈な一撃となる。
悲鳴。そして鮮血が飛び散る。
それが【収納】の力を知った、最初の出来事だった。