この自宅警備員は外界を知らないのです!
俺の名は織田優作。俺は今史上最強の危機に立ち向かっているのである。そのピンチとは‥‥‥。
「せ、先着百名様に限定グッズだと‥‥‥?」
そう。今流行りのアニメの限定グッズが少し遠くにあるコンビニで先着百名に無料配布されるのだ。
そのアニメにのめり込んでいる俺としては是非それを手に入れたい。手に入れたいのだが。
「外に出るの何ヶ月ぶりだろ‥‥‥?」
自宅警備員として家に四六時中ゲームをしながら居座っていたことが影響し、外の道をあまり知らないのだ。ゆえに危機なのである。
俺はしたくはなかったが苦渋の決断で仕方がなく最終手段にでる。
「おーい!奈々香! ちょときてくれ!」
「どしたの? ニート兄ちゃん?」
小学三年生の妹奈々香は、痛いところを突きながらタタタタと階段から駆け下りてくる。
二、ニート兄ちゃんか‥‥‥。
俺は少しばかり傷つきながらも妹に。
「近くのコンビニまで案内してくれねーか?」
「おかーさん! 兄ちゃんがついに壊れたー!」
「ま、待って! 壊れてなんかない! は、話をしよう!」
案内を頼んだとたん、勘違いをした妹はそう叫びながら母の方へと走っていく。
なんて恐ろしい妹なんだろう。
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「なーんだ。けっけょくいつも通りの腐れきったくそニート兄ちゃんなんだ。」
「誰がくそニートだ。」
妹はがっかりしながらそう言う。
ニート兄ちゃんだの腐れきったくそニートだの誰が妹に吹き込んでいるのか知りたいところなのだが。
「なあ奈々香? くそニートとか言う言葉誰に教えてもらったんだ?」
「田中の兄ちゃん」
「あのやろう」
今度あったらしばいておこう。
「と、とにかくコンビニまで案内してくれよ‥‥‥」
俺はそうお願いするが、答えは『えー‥‥‥‥』と、いまいちなものだった。なので。
「お菓子好きなだけ買ってあげるから。」
「いく!」
即答だった。
「よし。 それじゃあ行くか!」
俺は妹にそう呼びかけ玄関のドアを開ける。