この悪魔は自由気ままなのです!
王都≪エデン≫にある、とある魔道具店にて。
「何故なのだ? 何故なのだ!」
吾輩はそう言いながら悲壮感を丸だしにし頭を抱え込んでいた。・・・・・・どうやら吾輩はカラス店主の才能のなさをなめておったようだ。
するとポンコツ店主ことこの店の店主リアが心配そうに。
「どうしたんですか? バルスさん。悩み事があるなら私が聞き・・・・・・」
そう言いかけたときだった。吾輩は吹っ切れその言葉を遮るように。
「あああああ! 吾輩が悩んでいるのはひよこ好き店主が原因なのだ!」
そう怒り狂いながら叫ぶ。
「この子はひよこじゃありません。れっきとした精霊です!」
ひよこ好き店主は少し路線が外れたことを言いながら堂々とそのひよこ? をなでなでする。
しかし大きさは手のひらサイズでくちばしは黄色で体は薄い黄色。鳴き声は『ピヨピヨ』なのだ。どう考えてもひよこ以外の何でもないのだが。
「そんなこと前から知っておるわ!」
吾輩はガラクタ好き店主の発言に対し即座に突っ込む。
「私が原因って私何かしましたっけ?」
その穀潰し店主は思い当たる節がないのか首をかしげる。
・・・・・・本気でそんなことを言っているのが怖い。思い当たる節なら何十個も何百個もあるはずだろうに。
吾輩はあきれながら。
「盛大にやらかしておるわ!こんなガラクタを大量に入荷しおって! このままだと破産してしまうわ!」
そういって手に持っていた筒のようなものを床に捨てる。その筒はカランと音を立て店の隅へと転がっていく。
「ちょっとバルスさん! 何で捨てるんですか?ガラクタなんかじゃありません。」
ひよこ好き店主はそう言いきる。
・・・・・・。
入荷してきたものがガラクタではなかったことなど一度もないのだが。
「・・・・・・なら効果を言ってみるがいい。」
吾輩はどうせいつもの流れだろうと思いながらも、念のためポンコツ店主にそう言う。
すると店主は。
「明るいところに持って行くと筒の先が光る、便利ななものなんですよ! 異世界から伝えられたというかいちゅうでんとうのかわりになりますよ! ちなみに一つ百エデンです!」
そういってポンコツ店主は胸を張る。
ほう。一つ百エデンか・・・・・・。確かに懐中電灯はとても高価であるから便利ではあるが。便利なのだが『明るいところに持って行くと光る』というところが引っ掛かるな。
「・・・・・・能力を使わなくても、聞いただけで大体オチは見えてきたがデメリットを言ってみろ。」
「デメリットなんて特に・・・・・・強いて言うなら太陽が出てない夜や、太陽の光が届かないダンジョンなどでは使用できないことぐらいですね。」
「ガラクタではないか。」
懐中電灯は太陽の光が届かない暗い場所でつかうものなんだが。・・・・まず作ったのは誰なんだ?
吾輩は疑問に思い、能力を使う。
・・・・・・。
あのイリス教徒と同じくらいに頭のおかしい魔法使い集団あったか・・・・・・。
吾輩は魔星族に苛立ちを覚えながら、店主を反省さる為魔法を唱える。
「えっと・・・・・・バルスさん? 今後気を付けるのでその・・・・・・魔法を唱えるのをやめてくれませんか?」
女性がそう言いかけた瞬間それを遮るように。
「毎度毎度そう言っておきながらガラクタばっかり入荷しておるではないか! 魔法を食らいたくないなら余計なことはするな!良いか!」
そう叫ぶ。
「はい・・・・・・。」
その女性はそう言ってトボトボと店の奥へと入っていく。
うむ・・・・・・毎度毎度本当に反省しているのが怖い。
吾輩ははそれを見ながら。
「何故こうなったのだ・・・・・・。あやつがこの世界で最強の精霊使いということを疑いたくなるわ。まあ、あやつのためにももう少し頑張るとするか・・・・・・。」
吾輩は、商売の不向きな店主の夢を叶えるためと思い、いますぐここをでていきたいという気持ちを抑え、独り言をつぶやきながら店の奥へと入っていく。
少しして。
吾輩は悪感情を食らうため女性の姿に変装し、裏通りを歩いていた。その裏通りは薄気味悪く、ゴミが散らかっていた。そこからは王都の裏の顔が見て取れた。
すると遠くから。
「あれ良さそうじゃないか?」
「ああ。あれはうまそうだな!」
そんな声が走ってくる音とともに聞こえてきた。
流石は王都の裏通り。しかしうまそうって何なんだ?
そんなことを思いながら吾輩は予想していたかのような笑みを浮かべる。
そして。吾輩はは早歩きになり、曲がり角を曲がる。
すぐ後ろからは。
「よし!あそこは確か行き止まりだ!今がチャンスだ!」
そう言いながら走ってくる男たちの声が聞こえる。
チャンスってなんだよ。
そして男達は曲がり角を曲がった瞬間。
「「へっ・・・・・・」」
そんな間抜けな声を漏らす。
まあ当たり前であろう。男達の視線の先には。
「ルハハハハハハ!綺麗なお姉さんだと思ったか?この卑しいオスたちめ。残念。吾輩でした。ルハハハハハハ!悪感情美味である!」
そういいながら笑う、女性の姿の欠片も無い吾輩の姿があったのだから。
「・・・・・・。」
二人の男はどういう状況かわからずに固まっていた。
少しして。二人の男のうち背が高くほっそりとしている男が。
「えっと・・・・・・まずあんた誰?」
そうおそそる遅る聞いてくる。
・・・・・・まあそうか。
「私はバルス。四代悪魔の主席にして魔王軍幹部の一人バルスである。以後お見知りおきを。」
そういってきれいなお辞儀をする・・・・・・が、男たちは顔を青ざめ。
「いま四代悪魔の主席って言ったか?」
「四代悪魔って伝説の中では神と同等の力を持ってるんだよな?」
「確かそうだったはず・・・・・・しかも魔王軍幹部って・・・・・・」
そう震えた声でそう言う。
吾輩はそれを見て一応。
「安心するがいい。吾輩は貴様らを傷つけたりはしない。魔王軍幹部といっても、実際は名だけの魔王軍幹部だしな。」
そういう・・・・・・が、男たちにはそれが聞こえていなかったのか慌てふためきながら。
「まずい殺される!」
「に、逃げろ!」
そういいながら逃げていく。
吾輩ははそれを見つめながらぽつりと。
「うむ・・・・・・悪感情が食べれたし良しとするか。」
そう呟く。
毎度毎度この流れだな・・・・・・まあいいか。
そういって吾輩はその場を離れる。
表通りに出るとそこでは。
「それではカイネ。行ってきます!」
「ア、アカネ様・・・・・・。絶対に帰ってきてくださいね。」
元気に手を振る女の子と大泣きするひとりの女性がいた。
アカネ・・・・・・何処かで聞いたことのあるような。
吾輩が思い出そうとしていると通りにいた王都の住民が。
「あれってアカネ様じゃないか。」
「ホントだ・・・・・・。まだ十五歳だろ? 凄いよな・・・・・・」
「ああ。しかもすっげー美人じゃねえか。流石は第一王女って言ったところかな。」
そんなロリコン発言をしていた人の言葉で吾輩は思い出す。
「そうだそうだ!」
アカネが誰かと言うことを思いだしたので吾輩は。
「カイネ・・・・・・。少し心配しすぎじゃないですか? 私は剣の勇者。そこらの魔物に負けたりはしません。」
「アカネさまぁぁぁぁぁぁ!」
カイネといった女性が泣きながらアカネにすがりついていたところに近づいていき。
「これはこれはアカネ殿。大きくなられましたね。」
そう話しかける。
すると困った顔をしたアカネがこちらを見て。
「あ! バルスさんじゃないですか! お久しぶりです!」
そう言って手を振る。
うむ・・・・・・。やはりエデン家の中で第一王女だけはちゃんとしておるな。
吾輩がそう思っているとカイネが。
「バルスと言ったか?」
殺気を放ちながらそう言う。
吾輩はその質問に答えるべくいつも通りに。
「私はバルス。四大悪魔の首席にして魔王軍幹部の一人バルスである。以後お見知りおきを。」
そういって吾輩は綺麗なお辞儀をする。
その瞬間。
辺りがざわめき始め・・・・・・そして。
「『サード・ファイアランス』!」
カイネがいきなり吾輩にむけ魔法を放つ。
「過保護貴族め! いきなり何をする!」
そういって吾輩は腕を横に振り払う。
その瞬間、カイネが放った炎の槍は蠟燭の火のようにフッと消える。
・・・・・・まあ食らったところでキズ一つ付かないのだが。
カイネは魔法がいとも簡単に掻き消されたことに驚愕しながら、震えるような声で。
「魔王軍幹部バルス。ここで討ち取らせてもらいます。」
そう言う。
・・・・・・多分六勇者全員集めない限り、吾輩を倒すことなど夢のまた夢の話なのだが。
そう思っているとアカネが。
「カイネ落ち着いて。魔王軍幹部って言っても実際のところ名だけの幹部なの。バルスさんには私が小さかったときよくお世話になったのよ。」
そう言う。
するとカイネは。
「アカネ様がそう言うなら・・・・・・。って言うか小さい時って城から出ることありませんでしたよね?」
そうアカネに問う。
するとアカネは挙動不審になりながら。
「えっ・・・・・・あっ・・・・・・その・・・・・・あ、あれよあれよ! パ、パーティーで会ったのよ! パ、パーティーで。ほ、ほら結構前にあったパーティーで。そ、それよりカイネこ、今度の見合いはどうするの?」
そう言って話題をそらそうとする。
うむ。チャンスであるな。
吾輩は悪感情を食らうため、爆弾を投下する。
「吾輩、パーティーなどの行ったことがないぞ?」
「・・・・・・アカネ様? どういうことですか?」
カイネはそう言ってアカネの方を向く。
うむ。悪感情美味である。
するとアカネは先程より挙動不審になりながら。
「バ、バルスさん・・・・・・相変わらず冗談がお好きなようで・・・・・・」
そう言う。
・・・・・・どうせだしやりきるとするか。
吾輩はポケットから黄色の石ころを取り出し。
「アカネ殿。これを持ってみてください。」
そう言ってその石ころをアカネに渡す。
そして。
「今から聞く質問に答えてくださいね。」
アカネに吾輩はそう言う。
「ではいきますよ。本当に吾輩と汝が出会ったのは結構前のパーティーだったか?」
吾輩は事を成し遂げるためそう質問をする。
アカネは慌てながら。
「そ、そうだけどってぁぁぁぁぁぁ!」
そう言った瞬間、持っていた小石が嘘を断罪するかのように電気を放つ。
そして。
「ちょっ・・・・・・バルスさん? これなんなんですか?」
アカネが持っていた石を放り投げ吾輩に迫る。
よし! これですべてが完成する!
吾輩はアカネにとどめを刺すべく一言。
「嘘を感知した瞬間電気を発する石である。」
「えっ・・・・・・」
その瞬間アカネの額に冷や汗が流れる。
するとカイネはアカネの方を向き。
「アカネ様・・・・・・あれほど・・・・・・嘘は・・・・・・いけないと言いましたよね!」
「ご、ごめんなさい!」
「ルハハハハハハ! ルハハハハハハ! 悪感情非常に美味である!」
うむ。やはり悪感情は最高であるな。




