奴隷の1日 冬
あれから半年が過ぎました!
今は冬!
布切れ一枚の俺!今日も元気に鉱石掘り!
暑さに負けず、寒さに負けず、誰かの為ならえんやこらさっさ!
おっと!ちょっと鼻歌混じりで掘ってたら後ろでリズム取るようにムチの音が聞こえるぞ!元気な俺は真面目に働くのだ!
おっと!監視役が声を張り上げた!仕事は終わりだ!今日も実に有意義であった!
牢屋に自主的に戻ります!気分上げるために足枷付きの足でスキップ!いやぁ楽しいな!楽しいな!
なんと1日1度食事付き!しかも1人で便所飯ではなく楽しく皆とお食事!あまりの楽しさに笑いが止まらない!アットホームな職場です!
そして元気な俺は布団をかけずに就寝!床の鉄板はほどよく冷えて、ひんやりと気持ちがいい!
最高ですよ!あなたもどうですか!?
「はぁ…」
はい、思わずため息が漏れる。楽しいわけねーじゃないですか。布切れ一枚とか今にも凍え死にそうというか、体に力入んないんですわ。鼻歌?歌う元気があれば労働に勤しみますよ。ムチでリズム?無理して鼻歌で気分上げようとしたら、あまりの音痴さに監視がイラッとしたんでしょう。有意義?どこに運ばれるか分かったものじゃない鉱石掘って?冗談じゃない。スキップで帰宅?やりましたよ。面の皮、何枚か剥けて帰りましたとも。笑顔で食事?泥水すすってるんですよ、こちとら。おかげで痩せ細り、あばら浮き出てますよ、何故死なんのか…。笑顔なんて愛想笑いですよ、もちろん返してくれる人もなく。鉄の板がひんやりとしてて気持ちがいい?掛け布団どころか、敷布団すらないのに、何が気持ちいいんですかね。最低です、あなたは絶対来ちゃダメです。
…あぁ、もう夜明け…今日も労働に勤しみます