役割
薄暗い部屋を出た先は囲いの中だった。見渡す限り鉄格子、鉄格子…一箇所だけ出入り口が見える。
「◼️◼️………◼️◼️◼️」
知らない言葉を話す人は呆れた声を出し、歩きだす。付いていけばいいのだろうか?とりあえず付いていく。
「◼️◼️」
案内されたのは洞窟…炭鉱だった。レールなんて大層なものは無く、穴が開いているだけ。洞窟と間違えても仕方のない感じだった。
ツルハシを手渡される。………あぁ、そうか、ここは地獄ではない…。
「俺……奴隷になったのか。」
口に出してみて驚く。奴隷になったことにではない。特にこれといった感想が出てこないことに、だ。嬉しいなんて思わないし、楽しいとも思わないが、悲しいとも、憎たらしいとも思わない。そっかぁ、くらいにしか感じない。元から感情は表に出てこない方ではあったが、ここまでとはな…。
「◼️◼️!!」
バチィン!!
怒鳴られ、ムチで叩かれる。叩かれた場所が熱く、赤くなる。痛いのは嫌だ。俺は洞窟に逃げるように潜る。………炭鉱だったや。
中には人がまばらにいる。受付みたいな所へ行き、屈強な男と顔を向き合わせる。
「◼️◼️◼️?◼️◼️◼️。」
やっぱり分からない。しかし、こちらが喋れないことを察したらしく、こちらへ向かってくる。そして屈強な男はしゃがみ、足枷を付ける。タグ付きの重り付き。動く速さは半分くらいに落ちただろう。これでは逃げれない。元より逃げるつもりはないが。ぺこりと頭を下げる。屈強な男は後ろを指差し、ジェスチャーで腕を上下する。あそこを掘れという事だろうか。断れば、ムチが飛んでくると思うのでジャラジャラ鳴らしながら向かう。周りは死んだ魚のような目つきで掘っていた。