全ての思い
1歩、大きく踏み出す。
『さぁ!戦闘開始だ!』
「モノ!」
数多の武器の中から剣を取り出す。
「いいですか!?あなたの力を最大限まで引き上げます!どうか!しっかりと制御してください!」
ケトラは言った。そう、能力が最大限まで引き上げられた。記憶の共有、技術の共有も出来る。
魔力や、能力だけじゃない。感情すら、共有出来る。
走り、アルテミスに向かっていく。
「あなたの剣術程度で、私が負けるとでも?」
アルテミスは剣を構える。
『勝てますよ!』
カィン!キッ…
鍔迫り合いになる。この剣術は、ベゴニアのもの。
『私達なら!』
カッ…
剣を左に押し出し、回り込む。この技術はアルミスタのもの。
背中を取る。しかし、
「!?…でも…甘い!」
アルテミスは手を天にかざす。
すごい風圧で飛ばされる。
『この程度、何ともないだろう?』
「デザイン!!」
アーチュの能力で衝撃を和らげる。そして、壁を蹴る姿勢から、龍を召喚する。
次は弓を手に取る。
『お兄ちゃん、幸せは近いよ!』
「サンダーアロー!」
雷を纏った矢がアルテミスを襲う。
風圧で雷は相殺される。でも、矢だけは飛んだ。
カィン!
剣で難無く弾かれる。
その間にも、龍は近くまで飛翔する。
「こんなもの…!」
アルテミスが腕に力を込める。
俺は龍から飛び降りる。
左手をアルテミスの前に持っていく。
『ご主人様の血を扱えるなんて!光栄です!』
「ブラッドシールド!濃縮!」
ガイィィン!!
辺りの地面が凹む。血の盾はヒビが入る。
その間に、右手をアルテミスにかざす。
『お主の力も、みなの力も、妾は信じておる!』
「カトレア!」
頭上からは龍が襲いかかり、前方からは魔法の花が咲く。
「くっ…!」
アルテミスは有り得ないほど、機敏で、的確な動きでそれら全てをかわそうとする。
そんなこと、既に予想済みだ。
「ボーダー!グラビティゼロ!」
空間から重力が消え去る。
「レイン!」
雨が降り、雨粒は宙に浮いた。
「さぁ、終わりにしよう」
雨粒に触れ、意識を研ぎ澄ませる。雨粒は氷となり、辺り一面を覆う。
目の前に咲く魔法の花と、それを突き破り侵入する龍が、とても幻想的に映る。
ドォゥン!!
空気が揺れる。砂煙が晴れ、徐々にシルエットが映り出す。
「はぁ…はぁ…」
息も絶え絶えのアルテミスがそこにはいた。
「ノナ」
「!?」
彼女は、俺を見失った。
「マジックブレイズ」
全ての思いを乗せ、一撃を叩き込む。
『いっけえぇぇ!!!』
「クローバー!!」