いざ、塔へ
「お母様からの伝言よ!この敵を多く倒した者にはボーナスが付くわ!」
声高らか語るのはアイリスさん。あまり深く関わっては来なかったが、なるほど。こういう人か、と一目で分かるような人だった。
「さ、こちらへ」
兵士に案内され、安全が確保された部屋へ。
みんな、不安な様子は…無さそうだ。
「連絡します!天界上方に到着致しました!」
ヴォーチェによるアナウンス。
少し外を見ると、天界の中央に1本、大きく塔が伸びている。
「塔に登るくらいなら!突っ込みます!」
ぶっ飛んでるなぁ…。ヴォーチェは異様に、テンションが高かった。
「…あれ…?私は…何を…?」
ヴォーチェは訳の分からないことを言い出す。
「って!塔が!目の前!?皆さん!衝撃に注意してください!!」
…!!なるほど!やられた!誘われたわけだ!
早速権能を使ってきたか!ここまでで分かることはアルテミスの権能の有効範囲はとてつもなく広い…!勝てるのか…?これは…
ドーン!!
パリパリとガラスが割れる。幸い、安全な部屋に篭っていた俺たちは大丈夫だったが…
「皆さん…!ご無事ですか!?」
駆け込んできたのはカサブランカと、アイリス。2人とも切り傷が見て取れた。
「すいません…油断しました…私達はここまでです…」
この2人の意思は固い。おそらくアルテミスの権能には引っかかることは無いはずだ。
「いや、構わない。むしろ、ここまでありがとう。あとは任せろ」
そう言って励ました。決戦の舞台は、近い。
「皆さん!…すいません!すいません!」
外に出るなり、ヴォーチェが謝り倒す。
「なに、構わんよ。お主は何も悪くない」
カトレアは語りかける。
「悪いのは…この塔にいる、アイツじゃからな」
キッと塔の方を睨みつける。
塔を少しだけ下ると、その部屋は見えた。
かなりの大部屋。
「ふふ…嬉しいです。よく、来てくれましたね」
アルテミスは不敵な笑みを浮かべている。
「退屈だったんです。あなた達は…私を退屈させないでくれますよね?」