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勇者のその後
「お兄様?良かったのですか?」
ロベリアがこちらに語りかける。パーティを途中で抜け出してきて、今に至る。
「あぁ…正直、想定外だったけどな」
俺は決めていた。ユルとの戦いが終われば、解放軍を抜けることを。いや、ユルとの戦いが終わった時、それを決めたのだ。
「まったく、あんな派手に攻撃を喰らうから…」
そう、あの時、俺は全身を焼かれた。俺の人生は普通、そこで終わっていたのだ。
勇者の血統には様々な血が流れている。俺はその全てを引き出した。
理破りの宝珠を使って。
実家にあった1つ、それを持ち出した。
引き出した力は、痛みを、ダメージを遅らせる力。こんなものがあること自体知らなかった。宝珠を割って、初めて力の全容を知ったのだ。
「さ、これからどうします?」
ロベリアはそう聞いてきた。
「そうだな…」
おれは考える。
「ちょっと、昔の書類の都合でも合わせてくるか」
そして俺は向かう。かつて俺が死んだとされた、藍の国へ。