それぞれの思い
ロベリアが耳打ちする。
「あの魔力球は叩けば割れます。もちろん、それなりの威力は必要ですが」
「なら俺が…!」
「ダメですわ」
ロベリアはどうやら俺のお目付け役のようだ。
カランコエの魔力球は割れ、カランコエが降ってくる。
「なるほど、それなら…!」
カランコエはそう言うと弓を構える。
「アルミスタお姉ちゃん!お姉ちゃんが私を助けてくれた時、ホントはちょびっとだけ嬉しかった!だからさ…目を覚ましなさい!」
そう言って矢を放つ。
「サンダーアロー!」
その矢はユルにより防がれる。
「ウインド!」
しかし、同時に放った2本目の矢は見事アルミスタの檻を貫いた。
「さぁ!早くカードに!」
ロベリアが叫ぶ。確かにあの高度から落下したらひとたまりもない。
カランコエをカードに収める。
「ベゴニア、修行に付き合ってくれてありがとう…強気な私はね、ずっと嬉しかった。もちろん、私も嬉しかった。だからさ、目を覚まして」
アルミスタは結界を広げる。
「グラビティゼロ」
無重力の中、アルミスタは檻に向かって駆け、
パリンッ
檻を割った。
それと同時に結界も割れる。ふと見ると、ユルが結界を割っていた。
アルミスタをカードに収める。
「カトレア様はきっと、私があなたを助けたら、また助けられたって責任を感じるんでしょうね…。でも、私もずっと、カトレア様に助けられているんです!だから…お互い言いっこなし、ですよ!」
ベゴニアが放った魔法弾はカトレアの檻を目掛けて飛ぶ。ユルがそれを防ぐ。
しかし、魔法弾はユルをすり抜け、
パリンッ
カトレアの檻を割った
ベゴニアをカードに収める。体が徐々に回復する。
「のぅ、アーチュよ。地下室でお主について行った時、妾の事で怒ってくれたじゃろ?妾は凄く嬉しかった。ずっと1人で生きてきたのじゃ。じゃからな…お主も1人で閉じこもってるんじゃない!」
カトレアは宙を舞い、檻の近くに寄り
「咲け!カトレア!」
檻を盛大に割った。
カトレアをカードに収める。魔力が体の底から湧いてくる。
「アンスール、お前がいなかったらきっと、私は今でも国家の言いなりだったな。私はお前を恩人と思いたい。でも、きっと、それ以上に私はお前を親友と呼びたい。…また話そう、お姉様の事でもいい、料理のことでもいい。だから…そろそろ目を覚ましたらどうなんだ?」
アーチュは檻の残骸を力いっぱい蹴ると、黒猫の檻へと一直線で跳んだ。
スパンッ…!
檻は真っ二つに割れる。あれをまだ定規と言い張る辺り流石だと思う。
アーチュをカードに収める。
「さて、いつまで殻に閉じこもっているんだい?キミの大切なご主人様がお困りだよ?ニシシ…さぁ、思う存分」
黒猫は銃を、剣を、杖を、弓を纏う。
その全てを、リタの檻にぶつける。
「ご主人様の力になってやれ」
最後の檻が割れる。
黒猫をカードに収める。
「ご主人様!さぁ!反撃と参りましょうか!」
リタをカードに収める。勇気が湧いてくる。
「ギューフさん、これを」
宝珠を渡される。一つだけ。やはりお目付け役のようだ。
「私はあなたの事をまだ信用出来ませんの…だから…私に出来るのはこれで精一杯ですわ」
「あぁ、ありがとう。助かった」
遠くでアントスが親指を立てる。
「ユル!俺は今、大変お怒りだ!」
宝珠を割る。
「さぁ!決着を付けようか!」