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少女達の奏でる夢想曲  作者: まぐろどん
19章 ユルとの決着
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ユルの叫び

「ウインド!」

カランコエが風を起こし、アルミスタはそれに乗る。

「ボーダー!」

アルミスタは結界を広げる。

しかし、ユルは剣を握り、結界が広がる事を阻止しにかかる。

剣が結界とぶつかり、異様な音を立てる。

硬直、約3秒。

「チッ…」

ユルは結界から手を引いた。目の前に迫るアルミスタにも対処しなくてはならないからだ。

「グラビティ」

ユルに過重力がかかる。

ユルは足元にヒビが入りながらもアルミスタの剣を受け止める。

アルミスタは風に乗ったまま、片方の剣を鍔迫り合いの状態から離す。もう片方の剣を軸にクルリとユルの周りを回って、背後を取る。

「はぁ…」

ユルは嘆息1つ。諦めた…訳では無いだろう。

「バーサーク」

ユルが能力を発動し、周りの空気は一変する。

「きゃっ…」

ユルは左足を軸に一回転して、アルミスタに叩きつける。その回転の速さは、とても、何倍もの重力を受けているとは思えない速さだった。

アルミスタは向かい風にも関わらず、こちらに向かって飛んでくる。

「…よっと」

ベゴニアがアルミスタをキャッチする。

時刻はそろそろ0時か…アルミスタの人格が戻るのもそろそろのはずだ。

みんな各々仮眠を取ったので眠気は大丈夫のはず。今はユルに集中できる絶好の機会。

ユルは相変わらず仁王立ちしている。

「デザイン!」

「モノ!」

アーチュは龍を出し、黒猫がユルに飛び込む。アーチュは龍に乗ったまま、ユルに急接近する。

「よし、いけ!」

アーチュが龍に指示を出し、龍はユルに向かって、地を穿ちながら進む。

「ふっ」

ドンッ!

鈍い音が響く。ユルは武器を持ち替え、槌を持っていた。

「本命は…!」

「こっち!」

前方から黒猫、後方からアーチュが迫る。

いや、それだけじゃない

「…影が薄いって、便利ですね」

「そうじゃの、こーいう時だけじゃけど…な!」

左右からはベゴニアとカトレアが迫っていた。

アーチュは定規…剣を振りかぶり、黒猫もまた剣を振りかぶる。

「カトレア!」

「カルテット!」

左右2人は魔法を繰り出す。

「…あぁもう…面倒…面倒なの!」

ユルが取り出したのは宝珠だった。ユルが宝珠を割り、辺りの空気はさらに重苦しくなる。

「ふっ!」

槌を振り上げ、叩きつけた。

全てが弾かれる。いや、それだけで済まなかった。

「うわわ…!」

塔が崩壊を始めた。無茶苦茶だ。

「全員!1時撤退!」

生き埋めなんてのはゴメンだ。1度塔からの脱出を試みる。

塔を下る。全員、とりあえずカードに入って安全を確保してもらう。前方から複数の敵影が見えた。その数は何百、何千という数。

全員服という服は来ておらず、腰巻1枚。おそらく奴隷が駆り出されたのだろう。

薙払わなければ、みんな生き埋めだ…!


「まったくもう…お兄様と同じで、世話が焼けますわね」


どこからか、声が聞こえた。

「ロベリア…!」

ここまでも邪魔をしに来たのか…!?

「待てギューフ!そいつはもう味方だ!」

向かいからアントスが現れる。

「はぁ!」

巨大な団扇のような武器を振ると、風が舞い、向かってくる敵を一掃する。

「こっちですわ」

大人しく、ロベリアの指示に従い、移動する。アントスが殿を務めてくれているため、行軍はかなり順調に進んだ。

ここまで気づかなかった裏口を抜け、外へ出る。

塔は音を立て、崩れ去る。

砂埃が舞い、中が見えない。

「さて、説明…してる時間はどうやら、無さそうですわね」

ロベリアがキッと塔のあった方を見つめる。

「ふふ…ふふふ…」

ゆらりと、人影が起き上がる。見た目は満身創痍、今なら勝てる…!

カードからみんなが飛び出し、ユルの方へと向かう。


「…私はね…負けるわけには…いかないの…!」


ユルは叫ぶ。みんなが1度足を止める。ユルが手に持っていたのは宝珠。

それも1つや2つではない。4つ…。

それを、同時に割った。

ユルはみるみるうちに異形と化す。32番と違い、黒光りする外郭が現れる。手は鋭い鉤爪が付き、体は宙に浮き、その大きさは塔の大きさすら、超えていた。


「さァ…ケッ戦をハジメまショウ」

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