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少女達の奏でる夢想曲  作者: まぐろどん
18章 克服と、決意と、親友と アルミスタ&ベゴニア編第3部
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中庭のベンチ

目が覚める。布団の中のベゴニアは昨日の夜出ていく感触があった。

体調は完全に良くなった。今は午前8時頃。とりあえず部屋を出る。

さて、どうしよう…。あてもなく歩いていると、中庭のベンチに人影が見えた。

「カサブランカ姫…」

現国王が日向ぼっこだろうか。それとも誰かを待っているのか。とりあえず向かってみる。

「隣…良いですか?」

「もちろん」

即座に返答が来た。

「誰かを待っていたり…?」

「えぇ、ついさっきまで待ってました」

ん?過去形?言葉の綾かな?

「そして、たった今、待っていた人が隣に座りました」

なるほど、私を待って…私の行動…読まれてる?

「ごめんなさい、こっちに来てからずっと強く当たってしまって」

「いえ…私は姫様のおかげで強くなれたので」

珍しく、シュンとしている。

「…ごめんなさいね、今まで遠ざけていたせいもあって、前までの接し方を忘れてしまって…」

なるほど、確かに1度距離感を離すフリをしただけでも、距離感というのは分からなくなる。それが2ヶ月以上も続いたのだ。

「謝ることはありませんよ…また徐々に縮めていけばいいだけです」

「アルミスター!」

くっついて来た。徐々にと言ったのに、一気に詰めてきた。

「あ…ちょ…苦し…苦しいですって…」

「辛かったのぉ!苦しかったのぉ!今までぇ!自分に必死に言い聞かせてぇ!理性、保ってきたのぉ!」

今理性吹っ飛んでますよね!?

「ひっぐ…うっぐ…うえぇ…」

涙と鼻水で顔がぐしゃぐしゃだった。まぁ、それだけの事をして来たことを私は知っている。

私の寝室で謝り続けていた姫を。たぶん、私が思っている以上に自分を追い込んだのだろう。

「これが無かったら…私…とっくに挫折してましたぁ…」

そう言って、ポケットから紙切れ1枚を取り出した。

「…」

昔の私が浴室にいる時の写真…

頭の中で疑問符が湧き上がる。ついでに羞恥心も湧き上がる。

姫様の行動に対して血の気が引いて、羞恥心で顔に血が上って、バランス良く血が巡る。

「あ、言っちゃった」

失言した事を暴露しつつ、何事も無くポケットに写真をしまい、

「うあぁぁぁ!」

また泣き出した…

姫が落ち着くまで、数時間を要した。


「さて、昔話をしましょうか」

そう語り出したのは、姫が泣き止んだ後だった。

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