ココアとホットミルク
リタちゃんが戻ってくる。一歩一歩踏みしめるように丁寧にココアとホットミルクを運ぶ姿はとても好感が持てた。
「お客様、ココアとホットミルクになります」
「リタちゃんはどっちが好き?」
「私はホットミルクが好きですねー、ここのホットミルクは少しお砂糖が入っていて甘めの味なんですよ」
「じゃあ、俺はココアを貰うね。」
「…???お客様、2つともお飲みになるのでは?」
「いや?違うよ、片方はリタちゃんの」
「いやいやいやいやいや!!受け取れません!私はただのメイド!立場としては底辺!貰っていいのはお給料だけです!」
「リタちゃん、俺のホットミルクが飲めない?」
「トレンチです!」
「それを言うなら破廉恥な…いや、そう言う意味ではないが…」
「では、なんですか…」
「リタちゃん、こういうところで融通をきかせないと、嫌われちゃうよ?」
「嫌われても構いません!私はこの仕事しか残ってないんです!」
「融通きかないメイドさんってやっぱりどうかと思うなー、トレーズさんに言って、メイドさん交代してもらおうかなー?」
「私、ホットミルクだーいすき!」
「それでいい、それでいい」
「で?話ってなんですか?」
「いや、ちょっとリタちゃんが気になって。よかったらメイドになった理由とか訊いてもいいかな?」
「…色々とあるので初対面の人には言いたくないです。」
「そっか、ごめんね。それじゃあ…トランプやろう!」
「トランプですか?2人で?」
「あぁ、そうだよ。スピードなら2人ででも出来るし」
「ふっふっふっ、私はトランプでは負けなしなんです!いざ尋常に勝負!!」
とても面白くなりそうだ。
「じゃあ、これで俺が勝ったらリタちゃんは俺の専属メイドで」
「いいでしょう、ただし私が勝ったら明日1日メイド代わって頂きますからね!」
望むところだった。