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少女達の奏でる夢想曲  作者: まぐろどん
17章 王宮攻略作戦 カトレア編第3部
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ささやかなパーティ

時は少し遡り…

「さて、到着したようだね」

黒猫は窓を見る。外を見ると1隻の飛行船が空を飛んでいた。

着陸すると、兵士がザッザッと音を立てながら行進を始める。その中央。豪華な衣装に身を包む2つの影があった。

「アイリス!カサブランカ!」

一際大きな声を上げたのは、アルミスタだった。手を振り答える。

王宮内では既にパーティの準備が進められていた。豪華な料理、ピアノの落ち着いた演奏…。全員既にその場に集まっていた。

「私がこの国の新たな国王となります、カサブランカです。本日はごゆるりとお楽しみください」

簡単な挨拶が済まされ、皆それぞれワイワイと騒ぎ始める。

その中に、アイリスと言われた少女、カサブランカ国王、そしてアルミスタの姿が見えなかったのは少し不安を駆り立てた。

いいや、せっかくの再会なのだ。楽しくお話に興じている頃だろう。

「なぁ、アントス」

少し肌寒いのか、長袖のアントスに声をかける。

「ん?なんだ兄弟」

「ほら、呑まないのか?」

もちろん、成人済みだ。この体格で未成年なら誰もが倒れることだろう。

「いいや、やめておく。俺は酒に弱くてな、死ぬ前までは呑まないと決めているんだ。いいか?俺が酒を呑む時は死ぬ時だ」

そう言って、手に持っていた清涼飲料水を飲む。

「ぷはぁ!やっぱりこれに限るぜ!」

飲んでる姿は酒呑みそのものだった。

「ご主人様!お料理お持ちしまっあぁ!」

走って近寄ってくるリタが盛大に転ぶ。直前にそばに居た黒猫が支える。

「まったくもう、そそっかしいねぇ、ニシシ」

そう言ってリタの持っていたお皿に乗っていたローストビーフをつまみ取る。

「黒猫さん、ありがとうございます…あぁっ!それはご主人様の…!」

リタは終始アワアワしていた。

そんなパーティは主役不在のまま、何事もなく幕を降ろしたのだった。


「なぁ、ギューフ」

アントスが人が去ったことを確認してから声をかける。

「なんだよアントス、改まって」

ジッと見つめるアントスの瞳は真剣そのものだった。

「少し、休暇が欲しい。もちろん、ユルと戦う時は駆けつける。どうか、許してはくれないだろうか」

アントスの境遇はよく知っている。だからこそ

「あぁ、構わない」

断る訳にはいかなかった。その後、錯覚か、勘違いか分からないが、目に涙を溜めて感謝を言っていた。


…あれ?泣いて喜ばれるほど、休み無かった…のか?

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