目的
「お待ちしておりました、お嬢様」
「はいは〜い、どうも〜」
連れてかれた場所は食堂、食事か。
「貴方達はもういいわよ〜、この人と2人きりで話がしたいの〜、席外してちょうだい?」
「いえ、しかし…」
「外せ〜?」
「はっはひぃっ!」
「…」
異様な光景だった。
「さて、広い食堂に2人きり、何も起きないはずもなく〜」
「いえ、特に何も起こす気ありませんから…」
「あら?そうなの〜?ちょっと残念〜」
やはり変な人だ。
「ところで、何故俺を選んだのですか?」
「あぁ、説明がまだでしたね、お話ししましょう。それは紀元前まで遡る…必要もないですね〜…あっ、これはちょっとしたジョークです〜」
「あっ、はい、それでどうしてですか?」
「勧誘ですね〜、あなたはMF発現の予兆が見られます。MF発現者はなんとなくですが分かるようになるのです〜」
「は、はぁ」
ここからの話はこうだった。あの牢の中には複数人発現予兆のある者がいたそうな。しかし、発現予兆者のほとんどは荒れていたり、近づくのも困難な人ばかりだったそうな。そこで従順な俺に目をつけた、と。
「すいません〜、このような選び方で〜」
「いえ、拾ってもらえて良かったです」
「それは良かった〜」
「で、俺に何をしろと?」
「あなたにはしばらく、ここで心を取り戻して頂きます。今はそのための食事です。心が戻ったらこき使いますから、覚悟しておいてくださいね〜」
うわぁ、怖い…