勇者の血統
「あ!思い出したぞ!城にいた狂った輩ではないか!」
魔王カトレアはそう声にだす。狂った輩って…その通りなのだが、凄く煽っているように聞こえることと、妹に対してそうやって言われることに何か不可解な感覚が身体をよぎる。
「そうですわぁ。。今この場で言って差し上げましょうか。。」
「やめろ!ロベリア!」
俺はロベリアに斬りかかる。しかし、軽く避けられてしまう。
「この人。。私の兄アントスは。。」
「やめろ。。やめろー!」
ダメだ、今この場で言われると、カトレアに聞こえてしまう。それだけはダメだ。勇者の血統が魔王と共にいる事など、あってはならない事なのだから。
しかし、剣は全く当たらない。振っても振っても空振りばかり。勇者の血統は所詮血だけなのである。
「勇者の血を継いでいるのでございます。。」
「。。!」
カラン。。
剣を落とす。ショックのあまり落としたのではない。ロベリアによって、叩き落とされたのである。
カトレアの方を見る。悲しい顔だったり、驚いた顔、もしかしたら怒った顔をしているのかもしれない。
「。。?」
キョトンとしていた。するとカトレアは隣にいたアーチュをツンツンと突き
「のう、アーチュよ?勇者の血とはなんぞ?」
と聞いているくらいだ。
「あらあら。。魔王ちゃん?勇者の血すらご存知なくて?」
「知らぬ!」
カトレアは胸を張り答える。
「勇者の血とは、魔王を討ち果たす事が出来る数少ない種族の1人。。その人は代々、魔王討伐のため世界中を回るのでございます。。だから、魔王は勇者の血統と共にいてはならないのです」
「む?何故じゃ?」
「世界を回る理由の事でございますか?」
「いや、違う」
カトレアはそして、言い放った。
「何故、共にいてはならぬのじゃ?」
伝統を、文化を一刀両断する事を。
次回から書き方を少し変えさせて頂きます。
今までの方が良かった方はすいません。ご理解のほど、よろしくお願いします